第27話「ラノベ主人公」
最近インフレが凄い。
第27話「ラノベ主人公」
俺は黒木 健。クラスではあまり目立たない、所謂陰キャと言うやつだ。
俺は目立つのが嫌いだ、だからこの立ち位置は好きだ。
だが、今日、俺の平穏な日々は壊れた。
足元を見ると光る魔法陣のようなものがあった。教室全体を囲っている。
教室内では、
「おい!なんだよこれ!」
「う、動けねぇ!」
「誰か助けて!」
などの声がうるさいほどに飛び交っている。
それから俺の視界は光に包まれた。
どれくらい寝ていただろうか。俺は目を覚ますとシャンデリアのようなものが目に入った。
「こ、ここは?」
「おお!成功だ!」
喜びの声を上げる身体を金で覆ったような年寄り。
「すみません、これはどういうことですか?」
クラスのイケメン学級委員が声を出した。
「突然呼び出してすまん、だがこれも魔王を倒すためなのじゃ」
まさかのラノベ展開。
「魔王?なにそれ」
「ラノベ展開キターー!!」
混乱する女子、謎に喜ぶオタク共。
どいつもこいつもうるさい。
「まずは君達のステータスを確認してくれ。念じれば出てくるはずじゃ」
ラノベかよ。そう思いながらも、俺はステータスと念じた。
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黒木 健
Lv 786
職業 無職
種族 人間
体力 28090
筋力 16000
敏速 5000
知力 903700
魔力 1590000
幸運 30
スキル
魔力回復
ユニークスキル
?????
エクストラスキル
死の領域
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うわ、幸運値ひっく。魔力異常だしユニークスキル分からんしでやべぇ。
「おお!武人のステータスやべぇ!!」
1人の男が声を上げた。
「いやぁ、そこまで言う程かな…?」
その男のステータスを見ると全ステータスを合わせても10000いかない位でレベルは38だった。
「えー!武人すごーい!」
女子が群がって来た。
…帰りてぇ。
すると近くの男が俺のステータスを覗いてきた。
「はぁ?!こいつのステータスやっべ!!!」
「えー?こんな陰キャがー?」
うっさ。黙ってくんないかな。
俺にはラノベのように可愛い幼馴染も彼女もいない。だからこういう場面で助けてくれる人がいないのだ。
「辞めなよ君たち。ねぇ、健君?君がみんなのリーダーをやってくれないかな?」
「え、やだよ」
「みんな!これからは健君がリーダーだ!!」
いや人の話を聞けよ。
そんな感じで俺は今勇者のリーダーを務めているのだが、昨日クラスメイトが教師に喧嘩を売られたと言ってきた。
どうやらその教師はゼロと言うらしい。
少し前の俺なら断っていただろうが、今は違う。レベルも上がった。俺は成長したんだ。
だからクラスメイトが喧嘩を売られたならば俺が買うしかないだろう。




