第2話「冒険者ギルド」
第2話「冒険者ギルド」
俺はギルドに向かった。歩いてる最中に周りの人間が話しているのが聞こえてきた。
ここは王都でこの国の中心らしい。最近エルフの奴隷が増えただとか、王族が何かの実験をしているだとか、近くに龍の巣があるとか、そんな噂話だった。
そして俺は冒険者ギルドの前に立った。
「デケェーなー…」
そんな感想しか出てこなかった。
俺はギルドの扉を開け、中へ入った。中には冒険者で溢れていた。騒がしさだけなら世界一じゃないか?
そんなことを思いながら俺はギルドの受付へと向かった。
「登録をしたいんだが」
俺がそう言うと受付嬢はニコッと笑い、
「ようこそ冒険者ギルドへ!」
と決まり文句を言ってきた。
「ギルドの説明はしますか?」
「いや、しなくていい」
正直俺の知っているものと変わらないだろう。ランク制度があってEXが1番上のランク。次にS〜Fまである。多分。
「わかりました。では登録の説明をしますね。登録は試験をするかしないかで扱いが変わります。試験をクリアすればより上位の依頼を受けることができますが、試験を受けない場合はEランク以下の依頼しか受けられません。あとから試験を受けることもできますよ」
うーわ、面倒なやつだ。でも上のランクの依頼をこなさないと金貯まらないし…
「試験受けるわ」
「わかりました。ではこちらの闘技場へ」
そう言い、受付嬢は俺をギルドの奥へ案内した。
奥へ行くと広々としたドーム状の空間があった。そこでは冒険者達が訓練のようなものをしていた。
「みなさーん!今から登録試験をするので真ん中を開けてくださーい!」
受付嬢がそう言うと冒険者達は皆、端へ寄った。こういうのって絡まれたりするのがラノベあるあるじゃないのか?
「ではやりましょうか!」
ん?
「まさか、お前とやるのか?」
「はい!もちろんです!申し遅れました、私はシュリーと申します。元Bランク冒険者です!」
そう言い、ニコッと笑うシュリー。
正直勇者やら英雄やらを相手にしてきた俺からしたら余裕で勝てるんだが…どうするか。
「その前に…あなたのお名前は?」
俺は迷った。日本人だった頃の名前を使うか、魔王だった頃の名前を使うか。
「…ゼロだ」
だが、今更名前を元に戻したところで違和感しかないからゼロのままにした。
「そうですか。では…行きます!」
そう言い、俺に突っ込んでくるシュリー。木剣を俺に振ってくる。俺はそれを軽く避けて足を引っ掛けた。
「わっ!」
ドテッ、とシュリーは顔から転んだ。
「…すまん、大丈夫か?」
これは怒られるかもしれないと少し不安になっていると、シュリーは起き上がって、
「いてて…まさか避けられるとは…。まぁいいです。ちなみにゼロさんってどうやって攻撃しますか?」
「うーん…基本は魔法かな。でも剣とかも一応使えるぞ」
「魔法ですね。わかりました、ではこの水晶に手を置いてください」
おお、これは…触れると魔力量がわかるという謎の水晶か…!だが俺の魔力量がバレるのは…
俺がそう悩んでいると、
「もうっ!早くしてくださいっ!」
と、シュリーが俺の手を無理矢理水晶に置いた。
すると、水晶は強い光を放ち、すぐに爆発するように割れた。
これはヤバいかなと思っていると、
「…す、凄いです!こんな魔力量は初めて見ました!しかも、魔力操作も一流…あなたは一体何者なんですか⁉︎私の攻撃を軽くいなしたところを見ると戦闘にも慣れているようですし…ランクをEからにするようギルドマスターに頼んでみます」
そう言い、シュリーは闘技場を慌てて出ていった。それにしても飛び級か…まぁ俺の魔力もここにいる一部の冒険者にしか見られてないし、噂程度で収まるだろう。
しばらくしてシュリーが知らないおじさんを連れてきた。恐らくギルマスだろう。全く…早く帰って来いよ。待ってる間冒険者達の視線が凄かったんだからな…
「すみません、遅くなりました。こちらが当ギルドのギルドマスターのベルフさんです」
「ゼロさん。大体の実力はシュリーさんがみてくれたそうですね。私もEランクからにするか少し迷いましたが、優秀な人材には早めにランクを上げて欲しいですし、今期4度目の飛び級を認めます」
ギルマスのベルフがそう言うと闘技場内の冒険者達はわっと沸いた。
「ギルドカードは明日までに作っておきますので、またお越し下さい」
と、丁寧に対応してくれるギルマス。こんなカッコいい大人になりたいと思いながら、俺はギルドを出た。
ギルドを出てすぐに気づいた。
「金がねぇ…」
仕方ないから野宿した。
正直この物語にそこまで思い入れがないので設定は曖昧で矛盾があったりします。その辺は見逃してくれると泣いて喜びます。
まず主人公が来たこの世界、名前はまだ無い。物語中で必要になったときに考えます。
後付け設定も沢山出てくると思います。