第1話「夢の始まり」
自分が面白いと思うものを書きます。
第1話「夢の始まり」
俺はこの腐った世界が嫌いだ。
俺は元は地球の人間だった。今ではその記憶もほとんど残ってない。
俺がこっちに転生してきたときは、魔界の全ての住人が活気に溢れていた。だが今は勇者やら英雄やらで俺ら魔界の住人は疲弊している。
基本、勇者と英雄は交代で生まれる。だからどちらか片方だけを相手にすればいいのだが、今回は違う。勇者と英雄が同時に出現した。本当にめんどくさい。
一刻も早く魔王であるこの俺が倒さなければならないのだろうが、敵は2人。しかもそれぞれが厄介なスキルを持っているため、殺すことは簡単ではない。まぁ、殺されることもないがな。
「魔王様!また勇者と英雄が攻めてきました!敵の兵力は900万程度!そのうちの10万はレベル700以上です!」
ぼーっとしていると、俺の側近であり魔神を束ねる長髪イケメンの『ケイジュ』という男が焦った様子で情報を伝えに来た。
「…はぁ。いつも通り雑魚には100万程度の兵力を当てればいいな。あとは…俺が出るしかないか」
ラノベやらだと勇者共は玉座の間まで来るが俺はそんな馬鹿な事はしない。入り口で返り討ちにしている。
だから今日もまた、俺は城門まで足を運んだ。
俺は門の前に立った。
最初に声を上げたのは勇者だった。
「魔王ゼロ!今日こそ貴様を討つ‼︎」
勇者は本当に主人公のようでその圧倒的な力がありながら容姿も整ってるときた。本当に嫉妬するレベル。
そして俺の名前、『ゼロ』この名は俺が付けたのではない。敵からは全てを『無』にするということでそう呼ばれている。味方からは毎回被害がゼロということでそう呼ばれている。
次に英雄も声を張った。
「貴様のせいで、多くの民が犠牲になった!今も魔獣からの被害に怯え、苦しんでいる‼︎それを今日、ここで終わらせる‼︎」
こちらも勇者と同じレベルでイケメンだ。そもそもこういう場合はどちらかが女じゃないのか?どっちも男とかやる気起きないんだが。
「…あのなぁ、それは俺のせいじゃないって何度も言ってるだろ。ほとんどの魔獣には知性が無いんだから…俺がやめろと言ってもやめねぇよ」
「それが本当だとしても、魔王が存在しているから魔獣が生まれるのだ!行くぞ、勇!」
このセリフは何度も言っている。だが、なんらかの理由をつけては俺に襲いかかってくる。魔王がいると魔獣が生まれやすいのは本当だが、いなくても多少は生まれる。
「英都!いつも通り、2人で行くぞ‼︎」
そう言い、そいつらは聖剣を持ち左右から俺に斬りかかってくる。何故魔法を使わないのか、それは俺のスキルだ。俺には一切の魔法が効かない。だから物理で俺を倒そうとしてくる。だが…
「すまんな、今眠いから遊ぶ気になれねぇんだよ。《時空魔法-空間転移》」
「くそ…卑怯だぞ!」
「次こそは…必ず…」
そう捨て台詞を吐いた勇者と英雄を王国に返した。こんなのは時間稼ぎにしかならんがな。
「魔王様、お疲れ様です。他の兵も撤退しました。こちらの被害はゼロです」
「そうか。俺は物凄く眠いから少し寝る。あとは頼んだ」
そう言い、俺は寝室に向かった。視界が霞むほど眠い。普段俺はあまり睡眠は取らないタイプなんだがな。
「…な、なんとか辿り着いたぞ…」
ベッドの上に寝転がり、俺はすぐに眠りについた。
何時間くらい寝ただろうか、俺はとても明るい所にいた。そして騒がしい。目を開くと…
「…ここは…人間界…?」
過去に1度だけ人間界に来たことがある。技術は進んでいないが、楽しく、明るい雰囲気が好きだった。地球を思い出させるようだった。
「…もうここで暮らそうかなぁ」
魔界はにいても攻められるばかりで、いい思い出がない。…だが、俺は腐っても魔王だ。魔界を守る義務がある。不本意だが帰るか?
そう思い、魔王城の座標を確認しようとすると…
「魔王城が…ない…?」
千里眼で確認してみても魔王城どころか魔界すらも存在していなかった。俺はこの世界を千里眼で確認してみた。魔界はあるが、全く違う場所にあった。しかもそこには別の魔王が君臨していた。
「…どうしよっかなぁ…」
帰る場所が無ければここに留まるしかないが、金がない。
「そうだ、冒険者ギルドへ行こう」
俺はそう決心し、ラノベあるあるの冒険者ギルドへ向かった。
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