7話 別れ、そして出会い 2
お待たせしました。
私はクランから出た後、料亭“レッド・レイク”の自室に戻って旅立の用意をしていた。
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「はぁ、今日でこの部屋に泊まるのも最後か。」
ふと、呟いていた。
それほどここは居心地が良かったのだ。
このベッドで寝られなくなると考えると、自然と気分も落ち込んでしまう。
「ん…そういえば…」
偶然ベッドと自分の下着を見て思い出した。
それは4日目の夜のことである。
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私はある問題に直面していた。
そう、下着を替えないといけないのだ。
今まで家では侍女にやらせていたし、1~3日目も下着の中に手を突っ込んで躰を拭いていた。
しかし、さすがに洗わないと汚くなって臭いを放ち始めたのだ。
手を突っ込むのでさえ、恥ずかしかったのだ、下着を替えるのとなると卒倒しかねない。
(風呂も目を閉じて侍女に洗わせてたしな…)
そう思うと侍女に全部任せていた自分が恨めしくなった。
(せめて子供の時はやれば良かった…!)
服を脱ぐことは出来る。若干恥ずかしいが。
しかし、それ以上となると手が動かない。
途轍もない罪悪感と羞恥心で燃え上がりそうになる。
一旦、下着の紐から手を離しベッドに寝転がる。
そこで名案を思いついたのだ。毛布の中なら直接見えないのだからいけるだろうと。
案の定、恥ずかしいながらも着替えることが出来た。
しかし、次は毛布なしでやってみようとしたら鼻血の噴水が出来た。
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「あれは悲惨だったな…」
その後、血の海を女将が不思議がりながらも拭くのを手伝って貰ったことを思い出しつつ呟く。
気づけば準備は終わっていた。
そして別れの挨拶をしようと1階に降りた。
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階段の下で主人と女将が立っていた。
「どうしたんですか?」
「あんた飯はあんのかい?」
「いえ、ないですけど。でも、大丈夫ですよ?」
「なにがだよ。とりあえずこれ持ってけ。」
と相変わらずの様子で主人から袋包みを貰った。
「これは?」
「ベヌー豚のカツサンドだ。」
「!!!ありがとうございます。」
「歩いてる途中で食えるだろう?頑張るんだよ!
」
なんて優しい人たちなんだろう。私は感極まって泣いてしまった。
「…えぐっ…本当に…ありがとうございました。」
「泣くんじゃないよ、いくらでも来れるだろう?」
「そうだ、いつでも歓迎するから、来るといい。」
「…うぅ…絶対、絶対来ますから!」
「「待ってるぞ(よ)!」」
私は2人にハグをして別れた。
2人は入り口の所で手を振り続けていた。
私はその姿を振り返って1度見た後、レーンの都から駆け出した。
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紅艶連峰に今私はいる。
レーンの都から若干離れた山地でその名の通りの活火山だらけの連峰だ。
「暑い…」
噴煙で周囲は煙っている。更に聳え立つ火の山は容赦なく身体から水分を吸っている。
喉も涸れていて、嗄れた声しか出てこない。
突如目に水色が映り、私はそれに疾走して近寄った。
だが、それは水では無かった。
「…女の子?」
そう、自分と同じくらいの女の子が倒れていた。
これが倒れている少女、ミラ・ドラウニールとの出会いであった。
新キャラ登場です!
至らぬ点や誤字などがあったら是非ゆるーく教えてください。
宜しくお願いします。