5話 レーンの図書館
短めです。
『ヘルド名誉図書館』。それがこの図書館の名前らしい。
この図書館は図書館というより屋敷の書斎をそのまま広げた様な造りになっていた。煌びやかなシャンデリアがホールを照らしている。
「うわっ、目がア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ。」
「えっと?お客様?」
上を見た時、つい某空の城の侵略者さんみたいなことを言っていたら司書らしき女性に心配されてしまった。
「すいません。因みにあなたは司書さんですか?」と私が聞くと、その女性は
「司書?というのが何かは分かりませんが、私はここの智の守り手ですよ。」
そんな戦職あるのか、と思ったが、私は聞きたい気持ちを抑え、
「この国の沿革がわかる本ってどの辺にありますか?」と聞いた
すると女性は、彼女の右後方を指差し、
「あちらです。」と教えてくれた。
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本を読んでいくとこの国についての事がしっかりと書いてあった。あの女性はやはり元の世界で言う司書であることも分かった。
この国は正式名称を聖レーン公国といい、魔族の大半が信教する『ヒルデ教』の聖王の統治する国で一切魔王が関与していないとされる。実際は聖王の元には魔王のスパイが潜んでいたりするそうだ。この聖王は魔王と同等の権限を持っていて、名をヘルド=カリア・レーネンと言い、彼の名にちなんで建てられたのがこの図書館だという。また、彼はまだ10代らしい。
めっちゃ若いなーと思ったが、自分も同じくらいであったのを忘れていた。
精神年齢的には17+15=32歳なのだ。十分に少年少女の域を超えている。
そんなことを思いつつ、図書館で必要な情報を手に入れた後、そこを出た。
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“レッド・レイク”の自室に戻り、ベッドに飛び込むと日はまだ天頂に近いままであるのに強烈な眠気が襲い掛かってきて、そのまま惰眠を貪っていた。
◆ ◆ ◆
数時間後、女将の呼び声で起こされた私はぼさぼさになった髪を直しベッドから起き上がった。
「ああ、起きたね。飯は出来てるよ。」
「あ、ありがとうございます。頂きます。」
今夜は野菜と鳥肉の煮物だった。相変わらず美味しかった。
「あぁぁ、美味しいなぁ〜」
「そうか、それは良かった。ではこれも食うか?」
「はい!…ん?えっと、どちら様ですか?」
「この店の主人でいつもは料理を作っている者だ。」
彼がこの美味しい料理をつくっているらしい。私は自然と「!!大変お世話になってます。」と固くなってしまった。
「ああ、そんなに畏まらなくていい。うちの鬼嫁からいつも料理を美味しく食ってくれる別嬪さんがいると聞いてな、見に来たわけだ。」
「冗談が上手ですね。」
「そうか?」
と話しているうちに時間が立ち、店を片付け終わった女将も加わり日をまたぐまで3人で談笑していた。
結果的にはとても楽しい1日だった。
至らぬ点や誤字などがあったら是非ゆるーく教えてください。
宜しくお願いします。