4話 レーンの露店通り
クランマスターに受付嬢と一緒に説明した後、私は街を散策することにした。
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この世界には暖期と寒期があり、今はそのうちの寒期の終わりかけにあたる。ここ、レーンは降水量が少なめで、暖期と寒期の温度差があまりないので、過ごしやすい街として有名だ。また、ここを領有する伯爵も人徳があるので、人々にも好かれている。このような街なので、活気がつくのも仕方が無いが…
「人が多い…」
ちょうど昼間で街の中は人でごった返しており、行列のある店ならば20人程が並んでいる。
元の世界でも行列や満員電車が苦手だった私は裏道に入ることにした。
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裏道に入って気付いたことがある。もう既に遅いが、顔を隠すのを忘れていたのだ。3人の男共にナンパされてしまっている。
私は元々のしがない男子高校生の見た目ではいまはもうない。美女美男の間に生まれた深窓の令嬢然とした美少女なのだ。下衆が放っておくはずがない。
「ねえ、君。こんな暗いとこにいないで、うちにこない?」
「いや、こいつん家より俺ん家来いよ。」
「グガガガガ(俺ん家のほうがいいぜ)。」
…最後のは人ですらないではないか。
私は「結構です。」と言って、街に戻ろうとするが勿論帰してくれるはずもなく、下男1に腕を掴まれ、下男2に肩を掴まれ、下男?が前に立ち塞がっている。というかなにか着ろよ、全部見えてるぞ。
狼狽えはしない。狼狽えればこいつらの思う壷だ。
と思いつつ、「離してください。」と言った。
しかし、
「いや、君が来てくれないと僕は駄目なんだ。」と下男1。
「俺はただ君がいてくれればいいんだ。」
と下男2
「グガ…グゴガァ(早く…俺ん家に来い!)」
と下男?
などとのたまっている。
苛立ってきた私は笑顔で「遺言はそれだけ?」と言って、魔道の発動準備をした。下衆共は不思議な顔をしているが、遅い。
「三連氷弾!!!」
3人の下衆は抵抗すらせずに氷像と化した。
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その後私は表通りに戻ると、先程の喧騒は収まっており、まだ通る人の数は多いが気になる程でもなくなっていた。
とりあえず気持ちの悪いものを見てしまい気分が落ち込み気味な私は露店で串焼きなどを買って食べながら街を練り歩いた。
そうしているうちに気分も戻り、楽しく散策していて、露店商に有名な場所や景色はないかと聞くと、近くに国立図書館があり、かなり凄いものであると教えてもらった。
気になった私はその図書館に向かうことにした。
至らぬ点や誤字などがあったら是非ゆるーく教えてください。
宜しくお願いします。
下男たちは死んでないよ?半殺しなだけさ。