37話 叙勲式
すいません、遅れました!
前回のあらすじ
ドレス着ました。ミラは母を泣かしました。
首都の中心に聳え立つ、氷龍の魔城。
そこで私の叙勲式が行われる。
なんでも勇者が1枚噛んでいるらしい。
そんなことを街で聞いた。
そして、今日はその叙勲式当日である…
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私、レティ、フィーネの3人は先日試着したドレスを着て、髪型を整え出番を待っていた。
ミラは先に入っているようだ。
「…緊張しますわね…」
「…そうですね。」
いつも話している筈のレティにすら緊張しているようだ。
すると、
「主様~少々お願いがあるのですが…」
とフィーネが上目遣いで言う。
端整な顔立ちの中からカーマインレッドの瞳が潤んでいる。また、フィーネの白く透き通った肩に少し紅髪が垂れる。豊満な胸元やスリットから覗くスラリとした足が大人らしさを醸す。
その姿は男が見れば誰でも虜になるだろう美しさを放っていた。
「…どうしたの?」
一瞬見蕩れてしまったが、すぐに言葉を返す。
その状態のままフィーネは、
「主様。頭を撫でてはくれませんか?」
という。
正直可愛さがやばい。
思い切り抱きついてしまいそうな衝動を堪え、
「いいよ」
と返事をしつつ、頭をなで始める。
その後は「ふにゃぁ~」と何処から出しているのかわからない声を上げながらフィーネが満足するまで頭を撫でていた。
そして、その出番が遂に来た。
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軽快なトランペットの音が聞こえるとともに目の前の重厚な扉が開く。
私の後ろにはレティとフィーネの2人が侍っている。
私は前に敷かれた赤の長い絨毯を歩く。
周りには大臣と思しき人物らしかおらず、前にも8人しかいない。
そのうち2人はミラとエンヴィーである。
では、他の6人は…?
そう思いつつも、前に進み彼らが座る椅子の少し前で跪き、
「不肖このレーヴァ・ヘイム・ラーフ、参上致しました。」といい頭を下げる。
すると左右で分かれている席の内、左側の一番右の席の精悍な青年が言葉を発した。
「よく来た!頭を上げよ。我が名はワース、サタン家の長である。」
「!!?」
「驚いているようだな。我らは“魔王議会”である。その内の1柱、“憤怒”が議事を努めさせていただく。
さて、この度、こちらにいるレーヴァ女史は未知の迷宮を乗り越え、奥に潜んでいた悪龍を滅し、この世の秩序を保った。よって、我々は彼女に感謝と期待を込め魔王議会の1柱として新たに加え、旧ガレア王国領の統治を委任することを宣言し、彼女を“熄滅”と名乗ることを許可する!!!」
広間にワースの声が響く。
「異論のある者はいるか?…うむ、いないようだな。では、我らの新しい同胞へ拍手を送ろう!」
その言葉に則った者達が拍手をして、忽ち先程の静寂とは程遠い、拍手喝采が起こった。
その瞬間、私はこの大陸を支配する魔王の1柱となったのだった…
3章終了です!
次話は宣言通りで!
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