28話 太陽の勇女
いつもより遅れました。
すいません。
アンネ・ニブルス
“太陽の勇女”と呼ばれる彼女はその名の通り勇者であった。
彼女はどこまでも誰よりも勇者であった。
時に道端に転んだ少女の傷を癒し、
時に邪悪たる者を打ち倒した。
彼女は人の2倍を優に超える正義感の持ち主であった。
それだけに彼女にはある悪癖があった。
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「ここのボスを倒したのはお嬢さんたちね?」
10人ほどの男女のパーティーから出てきた女性がその翠の瞳をこちらに向け人懐こそうな笑みを浮かべそう問う。
「そうですけど、何か?」
「あっ!いや私たちは怪しいものじゃないのよ!全然安心、大丈夫。」
余程怪訝な顔をしていたのだろう、女性はあたふたしながら訳の分からない言い訳をしている。
そして、そのまま彼女は自己紹介を始めた。
「私はアンネ!アンネ・ニブルスっていうの。戦職は勇者よ!私たちは今ねこの辺りの警戒をしていてね、あっでもこれは自発的なものだよ。それでこの辺りを──」
長い。
もう少しまとめればいいのに。
そう思って彼女のパーティーの方を見るとやれやれといった様子で彼女が話しているのを止める気はないようだった。
するとそのパーティーの方から1人の女性が出てきた。
若緑色の髪をした彼女は、
「すいませんね、うちのリーダが迷惑を掛けてしまって。すぐに謝らせますから。」
とニコニコとしたまま未だに話し続けるアンネの方へ行きその頭を掴み、こちらに引き摺って連れてきた。
そしてそのまま迷宮の床に頭を叩きつけ、
「本当にすいませんねぇ。」
などと言っていた。
尚、こちらの表情は蒼白である。
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落ち着いたところで、私とレティ、アンネとその頭を叩きつけた女性は話し合いを始めた。
「それではアンネさん。なぜ私達に声をかけたのですか?」
「ああ、それはねここのボスってなかなか強いじゃない?そのボスが一瞬で灰になっちゃうほどの魔道を使ったのかなと思っただけよ。で、どうなの?レティさん。」
私は渋い顔をする。レティも同様の表情をしている。
「…どうします、レティ」
私は耳打ちする。
「…素直に話せばいいじゃない。それに何も問題は無いのよ。」
レティにそう言われ決心のついた私は、「『炎帝穿鎗』を使いました!」と言う。
その言葉にニヤッとした表情をするアンネ。
そして、こう言った────
「一緒に来てください!!」
と。
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