14話 白の過去
大分遅くなってしまいました。すいません。
構想で一日かかりました…過去って書くの難しい。
武器が出来た夜、私は魘されていた。
────嘗ての悪しき記憶に…
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東雲八助としての生を受けたのが、2月上旬。
実業家の父とデザイナーの母の長男として、東雲家に私は生まれた。
東雲家は平城京のあった頃より続く名家であり、明治から戦後にかけては財閥としても名を馳せていた。
その来歴を引く父は優しくも厳しい人であらゆることで上に立てるようにと厳しい教育をするような人であった。
僕は子どもの頃、そのためにとやらされていた習い事の数々が嫌で何度か母親に泣きついた記憶がある。
時間が経つにつれ、だんだんとその生活にも慣れが生じ、父ともうまくいっていた。
しかし、8歳の頃、父が交通事故死して父方の実家から追い出された。父は次男だったのだ。
父の死という衝撃的な出来事に加え、人間の汚さを見せつけられた僕は人間不信になり、2週間自室に閉じこもった。母は暫くは傍観していたが、流石に2週間経っていたので私は怒られてその翌日からきちんと学校にはいっていた。
その1ヶ月後、更に悲劇は続き、母までオフィスで起きた火事に巻き込まれ死んでしまった。
そうして私は一人ぼっちになってしまったのだ。
あろう事か父方・母方両方の親戚たちは短い間に起きたこの2人の死は私によるものだ、と思い込み、「自分も殺されてしまうのでは」と畏怖し、私を「悪魔」と呼んで誰も進んで引き取ろうとはしなかった。
ここから私の心はどんどん凍っていった。
それは親戚の家を約3ヶ月周期で転々としいつも最後は「やっぱり悪魔と過ごすのは無理」と言われ追い出されていた。
そしてそれは終焉を迎える。
5軒目の家族によって。
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その夫婦とは母の弟夫婦、つまりは叔父さんとその奥さんであった。
彼らは今まで海外出張に行っており最近戻ってきたという。
そして…
叔父さんと奥さんは今までの親戚の所業に自分のことのように怒り、息子のように笑顔で受け入れた。
彼らの娘2人も実の兄や弟のように思ってくれていた。
そこからの日々はとても幸せだった。
優しい叔父夫婦、世話焼きで清楚系な妹、豪胆だがいつも気にかけてくれる姉、自分と真っ直ぐ向き合ってくれる親友がいつもそばにいた。
私はそんな彼ら彼女らが好きだった。
自分が生きている、という感じが一番あった。
また、姉妹には家族愛というより淡い恋慕を抱いていた。彼女たちのお陰で何故か女になってしまっていても彼女たちの行動を手本として過ごすことで不安や恐怖を感じることは無かった。
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宿のベッドの中、私は目から垂れる何かに気づいた。
「泣いてるのか、私は。…グスッ…ああ、会いたいなぁ。」
私は姉妹を思い出し枕を濡らした。
「またいつか会いたいね…香那、翠姉さん。」
気付けばそう呟いていた。
今日も星は輝いていた。
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