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泡沫の恋  作者: 憂憂(ゆうゆ)
4/7

白い転校生

4月13日 2年4組―朝のHR―





「白雪 真結です!」




―――私はまた、時間が

止まったような体験をした。

今、教壇の前にいる彼女…

どこかで見たことがある。

確か…昨日のライブの時の…

ずっとこっちを見て微笑んでいた、

白い髪のあの娘だ!

あぁ…改めて見ると、綺麗だ。

まるで風花のような儚くも

華麗な美しさと可愛さ…。

同じ女子としてとても羨ましい。



あれ?またこっちを見て笑った…?





ルル「はーい、皆仲良くしてねー

それじゃあ真結ちゃんは

あの空いてる席についてねー」




彼女は笑顔で先生に頷くと、

こちらの方へ歩いてきた。

そして、彼女は私の隣の席に座る。

また笑顔でこちらを見ている…。

ま、眩しい…。



玖羅々「よ、よろしくね…!」


真結「あのね、あなたくーちゃんでしょ?」


玖羅々「ほぇ!?」



私は突然自分の名前、しかも愛称で呼ばれ

思わず情けない声を出してしまった。

私と友達…?この娘が…?

必死で記憶の中で検索している。




真結「え、忘れちゃったの?これ、

くーちゃんがプレゼントしてくれたんだよ?」




彼女はそう言うと、ネギを持った熊の

可愛らしいキーホルダーを出してきた。

それは確かに私が幼稚園の頃、

友達にと、お母さんが

買ってくれた記憶がある。

確か名前は……

――――あっ!真結ちゃんだ!!

え、でも雰囲気が違う!



真結「あ、やっと思い出したー?

見た目も雰囲気も違って驚いたでしょ!」



――――あの時の真結ちゃんは

前髪が目を覆ってて、

あまり笑わない、静かで

ミステリアスな子だった。

幼稚園の時、今では笑い話だが

私はよくお漏らしをすることがあり、

なかなか遊んでくれる

友達がいなかった。

そんな私にも、ずっと側でいてくれたのが

真結ちゃんだった…。

彼女もまた、友達がいない側の子だった。

(いや、私ほどではないか…)

そして、進学するとともに、

別々の小学校へ行くことになり、

私は大号泣をした覚えがある。

そんな私を見て、お母さんは

真結ちゃんとお揃いのキーホルダーを

買ってきてくれたっけ。

あの時のことは忘れない。




しかし、あまりにも変わりすぎて

少し適応するのに時間がかかった。

目を覆っていた前髪は、オン眉ぱっつん。

長く伸びた髪はゆるいウェーブパーマ。

吸い込まれるようなクリクリした目。

そして、眩しいほどの笑顔。

どれも私の記憶の真結ちゃんとは

似ても似つかない…。

検索エンジンがヒットしないのも仕方ない。

そんなことより、キーホルダーを

まだ大切にしてくれていることに

私はとても嬉しく思った。




玖羅々「えーっと…雰囲気変わったね…」


真結「そう?新しいパパが

いい人だったからかなー??」


!?!?!?!?!?


真結「小学校の頃にママが再婚して

新しいパパが来たの。優しくておもしろくて

とっても大好きなんだよ!

ちなみにパパは美容師さんでね、

いつも真結の髪を切ってくれるんだよ。」


玖羅々「そ、そうなんだぁ…

うん、すっごく、可愛い…」




やはりすぐに慣れろと言うのも、

私が知ってる真結ちゃんは

あまり笑わない、静かなイメージだから

その180度変わった真結ちゃんに

なかなか適応できない…。

しかし、本当に可愛い…。





4月13日 体育館―入学式前―





朝のHRが終わり、そろそろ入学式。

あの長ーーーーい退屈の時間が来る。

私は真結ちゃんと思い出話に

花を咲かせながら体育館に向かっていた。




「おーい、くー。隣の可愛い子誰だー?」



誰かが体育館前に座ってたむろしている。

あー、樂さんだ。

学校の樂さんは…少し苦手。

少しヤンキーっぽい。

いい人なんだけど、

樂さんの周りの人が怖い。



樂「おーい無視かよー!くー!」



ええい、仕方がないから

ささっと行ってささっと帰ろう。



玖羅々「なんですか樂さん。」


樂「そこの女の子、可愛いね!名前は?」


真結「白雪 真結です!ドラムの方ですね。」


樂「ライブ見てくれてたの?ありがとね!

君、くーの連れか?楽器できるなら

俺達とバンドしない?」


玖羅々「ちょ、何言ってるんですか!

そんないきなり誘わないでくださいよ!」


真結「くーちゃんと、バンドかぁ…♪

ふふ、良いかも♪」


樂「お、やはり俺の目には狂いはないな!

名前聞いてピンと来たんだ。

真結ちゃん、ピアノ弾いてるよね?」


玖羅々「(は!?友達の私が知らないのに

何で樂さんが知ってるのよ!?)」


真結「当たりでーすっ!」


樂「この間、ピアノコンクールで

金賞獲ったんだよね。良いの?

本当にバンドしても。ジャンル的にも

奏法的にも問題ない??」


真結「あー、丁度刺激が欲しかったんです。

それに、くーちゃんとできるなら

断る理由なんてないですよ~!」


樂「よし、決まりだな!海とアネゴに

ちょっくら報告してくらあ!

…これからよろしくな、真結。」




そう言うと樂さんは、三年が並んでいる

列の中に消えていった。

はぁ…さっさと帰ろうと思っていたが

予想外の展開に、また頭がついていけない。

そんな私をよそに、真結ちゃんは

とっても楽しそうだ…。

まぁでも、良かった話…かな?






~登場人物紹介~



白雪(しらゆき) 真結(まゆい)2年4組(英数)

担当…Pf.Vo.

玖羅々の幼稚園来の親友。玖羅々の

バンドの噂を聞き、白梅高校に転校する。

実は玖羅々が知らないだけで、

幼稚園の頃からピアノをしていて、

それに伴う実力を持っている。

喜怒哀楽が激しい、純粋(ピュア)なお嬢様。

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