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~関西弁のマーメイド!?~  作者: 七福 船
7/17

7話 歳の差。

時刻は1時15分。


アーシュの「なんでやねん」の叫びが湖に響いた。


僕の心に歩み寄ってくるアーシュ。


そんな彼女と一緒にいると「ある計画」も実行しづらい。


『さて、一旦悩みは置いとこか』


『マジシャンがそんなことで良いんですか?』


『ゆっくり話そうって言うたやろ?』


『確かに言ってましたけど』


『暗い話ばかりやったらあかんで!盛り上がっていこうや!』


アーシュはそう言って両手を夜空に突き上げた。


何とも…


何を考えているかわからないというか、マイペースというか、楽天家の様な彼女。


それでいて、時に鋭い指摘をしてきて僕の心を震わせる。


そんな彼女に僕は…


『そういえば、あんたって歳いくつなんや?』


『僕の歳は19…じゃなくて20歳です』


『えらい、若いな。…食べ頃やないの///』


『えっ!?』


今、「食べ頃」と言ったのか?


待て待て待て!


落ち着け。


人魚と人間が交わることができるかということよりも、アーシュが痴女だったことに驚いた。


この容姿で痴女とは…///


『その~、まだ僕、経験がなくて///』


『わかった!こうしよか!うちがあんたの悩みを解決したる!その代わりうちにあんたを「食べさせてな」///』


『食べる…///まぁ~はい。悩みを解決してもらって、食べられるなんてなお、元気になりま…す』


『やった!約束やで///』


約束してしまった。


もう「あの計画」を実行しなくとも良いのでは?と本能が問いかけてきたが、すぐに僕の理性が本能を押さえつけた。


ここまで来て簡単に曲げられない。


『そういえば、僕のことを若いって言いましたがアーシュも僕と同じぐらいの年齢ではないんですか?』


『もしかして、うちのこと20歳前後やと思ってくれとんの?』


『容姿的にそれぐらいかと』


『もう嬉しいわ~、うちもまだまだ若いちゅーことやな』


『うん?20歳前後じゃないんですか?』


『220歳や』


『220歳!?』


僕の驚いた反応に便乗してか、湖の周りの木々が風で大きく揺れた。


人間ではないとしても、ここまで歳の差があったとは。


やはり妖怪だ。


『じゃ220年もここで住んでいるんですか?』


『そういうことになるな』


…違和感を感じる。


ここは関西ではない。


関西育ちなのであれば、220年間ここで住んでいるというのはおかしい。


その疑問をぶつけたい気持ちもあるが、小声で冷たく放たれた言葉を思い出すと、その疑問をぶつけることができなかった。


『じゃここを人魚の湖と名付けた、旅人と出会ったんじゃないんですか?』


どうでも良い質問だ。


この湖の名付けの親のことを知りたいとは思わなかったが、何となく何か聞かなくてはいけない様な気がした。


『旅人?うーん、色んな人がたくさん来とるから覚えとらんわ』


『確かに220年間で誰が来たなんてわかりませんよね』


『そうやで。それにうち、人の顔とか名前覚えるん苦手やねん』


きっと、この220年間色々な辛いことを経験してきたのだろう。


だから、こんなにも彼女は眩しいのだろう。


自身の関西弁の理由を明らかに語らないのも、その辛い経験が呼び起こされるからなのかもせれない。


彼女が僕の悩みを解決してくれようとしている様に、僕もちょっとでも彼女の笑顔を増やせる様に頑張りたい。


『アーシュには今まで恋人がいたことはありますか?』


『なんや、急に!』


『気になってしまって』


時刻は1時45分。


僕は人魚の恋愛事情についてアーシュに尋ねた。


【登場人物】

青野 海→人間、20歳。

アーシュ→人魚、220歳。

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