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~関西弁のマーメイド!?~  作者: 七福 船
2/17

2話 奇怪な出会い。

時刻は24時00分。


この時間に「人魚の湖」にいるのは僕だけだ。


虫の鳴く声も聞こえない。


なのにさっき、僕に問いかける声が聞こえた様な気がした。


いや、幻聴だろう。


早く「計画」を実行しなければ。


もう20歳になってしまったのだから。


よし、今度こそ…


『聞こえとる?そこで何しとるの?』


また聞こえる。


その透き通った声の関西弁が僕の動きを止めた。


ここは湖のど真中。それにこの時間だ。


誰かがここにいるはずはない…


『無視すんなや!』


大きな怒鳴り声が水面を揺らした。


僕は確信した。


この時間のこの場所の僕の後ろに誰かが居る。


『もしかして、うちの言葉通じへんの?それは困るわー』


僕の後ろに居るだろう誰かは勝手に解釈してへこんでいる。


しかし、このまま放置するのも気が進まない。


『すいません。驚いてしまって言葉が出てきませんでした』


僕は優しく丁寧に答えた。


『そうかー、それならほんま良かったわ』


どうやら怒りは鎮められた様だ。


『ほんで、あんたはここで何しとるん?』


『えーと、…観光地巡りですよ』


『観光地?ここって有名なんか?』


『はい、人魚の湖は観光地としても有名な所なんですよ』


そうここは観光地としても有名だが、「あるスポット」としても有名な所。


当然、僕はここを観光地という認識で足を運んで来た訳ではない。


「あるスポット」という認識でここへ来たのだ。


『へー、ここって有名なんやー、嬉しいわー』


呑気で嬉しそうな声が湖に響いた。


ところで、後ろのこの人はどこから声を僕にかけているんだ。


この小さなボートに乗っている訳ではないないだろう。


僕がボートを漕ぎ出した時に乗っていないということは、途中でボートに乗り込む必要がある。


いくら「あの計画」で頭がいっぱいでも、誰かがボートに乗り込んできたら気が付く。


ならば…どこから?


この湖は深いと聞く。


人なら間違いなく溺れるだろう。


…人なら…?


『何でずっと背向けとるんよ。こっち見て話してぇーや』


『えっ、はい』


もしかして人ではないのか?


ありえない。


妖怪や幽霊なんているはずがない。


そんなの迷信のはずだ。


僕は振り返ることにした。


どうせここで「最後」なんだから夢ぐらいみたい。


冷たい風に背を向けるように僕は後ろを振り返った。


そこには、鮮やかな金色の髪と透き通った青い眼をした、美形の女性らしき人が水面から顔を出していた。


『おっ!やっとこっち向きおったな』


そう言って笑う姿を月明かりが照らしている。


『うちの名前はアーシュ。女の子や。あんたの名前は?』


その容姿に「不似合いな関西弁」で彼女は僕の名前を聞いてきた。


時刻は24時10分。


水面から顔を出す謎の美女との自己紹介が始まった。

【登場人物】

青野 海→人間、20歳。

謎の美女→アーシュ。

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