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~関西弁のマーメイド!?~  作者: 七福 船
12/17

12話 本当の気持ち。

時刻は3時00分。


心の奥から込み上げてくる想いが涙となって湖に落ちていく。


静かに落ちて、湖に溶けていく涙。


まるで、僕の心の重りが消えていく様な感じがした。


『大丈夫、大丈夫。うちが側にいたるから』


その言葉が胸に刺さり心のリミッターを解除させた。


こんなにも涙が流れるなんて。


アーシュと会話している中で「自分の気持ち」について気づいていた。


友人に水野さんとのことを話したことはない。


友人の前で涙を流したことはない。


それなのに…


アーシュの前ではこんなにも簡単にできている。


不思議なこと…


いや、不思議ではない。


僕は彼女に心を開いている。


「大丈夫や」と言って僕の背中を擦る手は小さい。


しかし、その小さい手に心が温められる。


今日は心が左右上下によく揺れる日だ。


『ありがとうございます』


僕はそう言ってアーシュの手を握った。


『ちょっと落ち着いたか?』


『おかげさまで。落ち着けました』


『ほなら良かったわ。ポジティブとかネガティブとか関係なく今、感じている気持ちが大切。人に迷惑をかけるからってそれを押し殺してたら…』


『しんどくなりますね』


『そういうことや。好きなら好きでええ。嫌なら嫌でええ。人間なんて皆、迷惑をかけて生きてるんやで気にすんなや。その代わり誰かが困っていたら手を貸してやったらええ』


『そうですね。難しいことはいらないですね』


『せやで』


「あの計画」を実行するのにここを選んで良かった。


ここを選んでなければ今頃、僕は…


抱えた荷物の下ろし方を教えてくれたアーシュ。


そんな彼女に僕は言わなければならない。


ここへ来た理由を。


「あの計画」のことを。


『アーシュ。僕は…ここへ…』


『ここへ…なんや?』


『僕はここへ「自殺」しに来たんです』


時刻は3時30分。


僕は人魚の湖に来た「本当の理由」をアーシュに話した。


するとアーシュは…

【登場人物】

青野 海→人間、20歳。

アーシュ→人魚、220歳。

水野 絵里→昔のクラスメイト。

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