ビンテージ
取替神社は大きな神社のそばの小さな社。
何かを取り替えて願い事をかなえてくださいます。
ただ冬から秋に戻せないように、一度取り替えたものは元には戻せないのです。
もちろん、新しい春に取り替えることは出来るのです。
若い女が金の懐中時計を持って社の前にうずくまっておりました。
「神様お願いです、彼の命と私の命を取り替えてください。」
神様にも出来ないことはあるのです。
なぜって…
テレビで髭を生やした年配の男がグラスを手に評論していた。
「ワインは一般に古いものほど良いとされています。古いものには何百万と値がつくものさえあるのです。」
「へ~そうなんだ」
「そうなんですか」
「神様お願いします、このワインの新しさとこの時計の古さを取り替えてください」
親戚一食通を辞任する男が一本のワインに目を留めました。
「この古さは、おや?今年のワインか。置いておく場所が悪かったんだな」
骨董好きは、時計に目をつけました。
「おや、このメーカーの時計が、やけに新しいな…復刻版か。本物なら止まっていても数百万はするのに、おしい」
客達が帰った後、女の子は仏壇のグラスにワインを注いでいる祖母に微笑みかけて。
「おばあちゃん時計が直ってよかったね」
「おじいちゃんが時間が分からなくなったら大変ですからね。これはきれいな色をしてるけどお酒だから飲んではいけませんよ」
落としきれなかったのが悔しいのですが。