殺し屋
取替神社、大きな神社のそばの小さな社。
お願い事をすれば、何かを取り替えてかなえてくださる、かも。
俺は殺しで飯を食っている。
組織なんかにゃ属していないフリ-の殺し屋だ。
別に楽しくて殺しているわけではない。
殺さないと喰えないから殺しているだけだ。
殺し以外にとりえは無い。
俺は小さな社のそばでターゲットの女を狙っている。
もちろん神様なんぞにお祈りをしたりはしない。
俺はプロだ。
俺は風景に溶け込んでこちらに近づいてくる女を待つ。
来た。
目にも留まらない速さで俺の刃が閃く。
「おばあちゃん、大きい蟷螂が、小さい蟷螂を食べてるよ。」
「蟷螂のメスは卵を産まないといけないから、栄養を取るためにオスを食べちゃうのよ。」
「ふ~ん。」
俺は殺しで飯を食っている。
組織に属し言われるままに人を殺している。
別に楽しくて殺しているわけではない。
マシンのごとく冷徹に、それが俺の信条だ。
俺は大きな神社の人ごみの中でターゲットが近寄ってくるのを待っている。
もちろんお参りなどしない。
神様なんぞいるものか。
相手は若く美しい女、なぜ殺さねばならないか俺は知らないし、知る必要も無い。
女に近寄りすれ違いざまに毒の塗った針でプスリ、さされたことも気づかず女は1時間後に心臓発作を起こす。
これが何度もしてきた作業だが今日に限っては確実にしとめなければならない。
俺は念のために持ってきたコルトピースメーカーを服の上からなでた。
なん世代も前の銃だが信頼性が高く確実に弾が出る。
おっと女が来た。
「おばぁちゃん、テレビに映っているのさっき行ったお宮さんだよね。」
テレビの画面の中には、アナウンサーが痴漢警戒中の婦警がつかまえた殺し屋が映っていた。
銃を持っていたので大騒ぎになっている。
取替神社の神様が取り替えたのは”習性”です。
蟷螂はメスに前から近寄り、殺し屋は若い女に後ろから抱きついた。
なぜお参りもしてないのに取り替えたのかですって?
それは女の子が悪いやつをやっつけてくださいってお祈りしたからなんです。
女の子は悪い野良猫に花壇を荒らされて本当に困っていました。
でも今回はお賽銭を入れなかったんです。
お金を持っていませんでしたから。
4段落ちです。
さすがにこれだけ段差があれば滑らず落ちてもらえるでしょう。
結構うまく書けたつもりですので、単品発表したりします。