戦争と大相撲
取替神社は大きな神社のそばの小さな社。
夏を秋に、昼を夜に取り替える強き神。
八百万の神々の頂点に近い神格を持ちながら歴史から隠された神をお祭りしています。
その神様は何かを取り替えることによって願い事をかなえてくださいます。
ただ冬から秋に戻せないように、一度取り替えたものは元には戻せないのです。
もちろん、新しい春に取り替えることは出来るのです。
世界のどこかで、今日も誰かが武器を取り、血を流します。
彼は戦争の悲惨さを人々に伝え、少しでも非人道的な出来事が減るように新聞社を辞め、フリーの戦場カメラマンになりました。
真実を伝えるために火薬と血の香りの立ち込める町や村から画像を送り続け、ボロボロになった私が日本に帰ってきてふと立ち寄った食堂で見たものは、私のとってきたニュースの映像を見向きもせずにご飯を食べている人々の姿です。
ニュースが自衛権について語る政治家に代わっても誰も見向きもしません。
これでいいのか!
店を出た私は、ふと目に付いた小さな社の賽銭箱に握り締めていたおつりの620円を全て投げ込んでいました。
『神様お願いします、武器など使うから人が死ぬのです。戦場から人を傷つける武器をなくしてください』
俺は小兵ながらも技を磨き、何とかあこがれの相撲部屋に入門した。
予想されたことながら体格の差は大きく、とりわけ外国人力士の壁は厚かった。
つらくてつらくて、部屋から逃げ出し気がつくと小さな社の前に立っていた。
『神様お願いです、俺勝ちたいんです』
なぜか、願いがかなうような気がした男は、電車の切符を買うために持っていた。620円全部、賽銭箱にぶちこんで男は親方の待つ部屋に戻った。
ニュースでは強国ロシアの横暴振りを伝えている。
EUもアメリカも弱腰だ。
『ロシアの大統領すばらしい技の切れです』
日本でもおなじみの道着に黒帯を締めたロシアの大統領はウクライナの代表を怪我をさせることも無く土俵に沈め、ウクライナの東部を独立させていた。
日本では元レスラーの彼が首相になるという。
アメリカはイラクの少数派の代表達に対し、1対多数で苦戦中。
『はっけよ~い、のこったっ!。…面』
国技館では裃をつけたサムライ達が竹刀を振り回していた。
だってねぇ。