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第二話 実力の程は

 開始の合図と同時に二人は更に距離を詰め、冷徹な目つきで敵をとらえる。

 互いに一撃必殺の距離。チャンスを逃すまいと両者ともに一撃を放つ。


「シッ!!」


「やぁッ!!」


 二人の拳と拳がぶつかり合い、骨のぶつかり合う鈍い音が響く。

 しかしこれだけでは両者共に終わらない。


「フゥッ!」


「でぇい!」


 二撃、三撃と続けざまに技を放つが一向に拳が命中することは無い。

 美鈴に拳が迫れば見極めて回避をし、師匠に拳が迫れば最小限の動きで攻撃を掠めるだけに済ませる。

 互いにかなりの実力を持っているだけあって大きな技を繰り出すことは無い。

 咄嗟に自分の身を守れ、なおかつ素早く相手にヒットする技を繰り出しているため、二人の拳は到達した所しか見えない。


 このままでは埒が明かないと感じたのか。両者は後方に素早く下がり、息を整える。


「ふぅ…まさかここまでやるとは。成長しましたね美鈴」


「師匠も相変わらずの強さですよ。衰えてはいませんね」


「当たり前ですよ。免許皆伝もしていない弟子に負けるほど……僕も甘くはないつもりです」


「ならさっさと免許皆伝してくださいよ」


「どうしましょうか。…この攻撃に抗えたのなら、考えましょうかねェッ!!」


 最初に接近したスピードよりも早く、まるで一陣の風のように師匠は美鈴に接近する。

美鈴が見た師匠の顔はまるで鬼のようだった。幻想郷という環境の中、幾度となく見ている筈の鬼のどの顔よりも獰猛で狂気に満ちた表情に美鈴の身がすくむ。


時間にすれば1秒にも満たない僅かな隙。師匠にはそれで充分だった。


「フッ!ッラァ!!」


「がッ!?」


 それは一瞬の攻撃だった。接近のスピードに乗せて高速の一撃を水月に叩き込むと、その衝撃で下がった顎にアッパーカットを叩き込んだ。


 その衝撃で美鈴の体は宙に浮き、仰向けに地面に叩きつけられた。

受け身も取れぬほどの一撃。美鈴の意識を奪うには充分すぎた。


「……フゥ。美鈴は気絶ですか、まだまだですね。

 ですがあれほどまでに成長しているとは…想定外でした。」


 師匠は倒れている美鈴に目をやると、肩を回しつつ疲れたようにため息を吐く。

 しかしその次の瞬間、師匠の体がピタリと止まる。


「……首元に刃物は危険ですよ?」


「ええ。でも格闘戦で美鈴を倒す貴方はもっと危険だわ」


 師匠の背後には何時の間にやらメイドがナイフを持って立っていた。

 首元に添えられたナイフは皮膚を裂いて少量の血が伝う。


「いきなり背後に現れるとは、それが貴女の能力ですか?」


「ええ、『時を操る程度の能力』ですわ」


「それはそれは…厄介極まりないですね」


「そうですわね。…もし動こうものならグサリ、ですよ?」


 もうすでに少しグサリとしているのだが。

 師匠はそう思ったが口に出すと首と胴体が分かれそうなので言わなかった。


すでに師匠の頭の中にはこの状況に対する迎撃を思いつき、実行できる状態にあったが…やめた。

冷静に考えて美鈴のことを知り、助けるために自身にナイフを突きつけているのだ。今ここで迎撃をしたところでなんの利点もないのだ。


「抵抗の意思などありませんよ。弟子を相手に少々本気になってしまいましてね。

おそらく気を失っているだけですが介抱をお願いできませんか?」


「もちろん構いませんわ。今回は真面目に仕事をして受けた怪我ですし」


「ありがとうございます。ええと…」


「十六夜咲夜ですわ。以後お見知りおきを」


 咲夜はナイフをしまうとスカートの端を少し持ち上げてペコリと礼をする。


「よろしくお願いします咲夜。名前はありませんのでナナシとでも」


「ではナナシ様、美鈴を運んでもらえますか? 私では少々難しいので」


「任せてください。美人の頼みごとは断らない主義ですので」


「まぁ、お上手ですね」


「残念ながら嘘が下手なもので、正直者なんですよ」


 そう言って美鈴をおぶるとナナシは咲夜の後に続いて紅魔館へと足を踏み入れる。

戦闘描写は難しいですね…

しかも格闘戦なので派手な描写が少ないですし。


もっと努力せねば…!

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