06 アイドル少女と奇才少年
今回、テーシア・セイルメリーがついにベールを脱ぐ・・・のか?
・・・まあ今回は若干ふれた、みたいな感じで思ってください。
あと後書きで新コーナー、開始します。
入学式翌々日の朝。二崎家ではある騒動が起きていた(なお、入学式翌日は世間一般で言う所の確認テストのため、割愛)。
「ルティア・・・」
「さくら、どうしたの?」
さくらがルティアの制服の腕部分を引っ張って寂しげな顔で訴えていた。ちなみに、さくらは非常に賢かったため、ネコから人になったその翌日の夜には単語に近いレベルでの会話ができるようになっており、また、ルティアにも懐くようになった。ただ、その理由が「ご飯くれて優しくしてくれたから」らしい。
「かなで・・・いない・・・」
「奏君が・・・あ・・・」
ルティアはある一つの答えを見出した。同時に近くにいたリーシャやロロットもだ。
「学校・・・だね」
「学校・・・ですね」
「学校しかないわね」
「がっこー・・・?」
キョトンと首を傾げるさくら。そんなさくらにルティアが説明を始めた。
「えと、奏君が中学2年の時だったかな?その時からだったんだけど、朝早くに家を出て、学校で眠るようになったんだ。・・・理由は・・・多分私たちかもしれないんだけど・・・」
さくらはルティアの説明に頷きながら、しかし不安そうな目でルティアを見つめていた。
「ルティアー・・・」
「だ、大丈夫だよ、朝早く行っただけで、帰ってきたらまた遊んでくれるから」
目を潤ませているさくらを宥めるルティア。その代わりにリーシャが朝ご飯を作っていた。・・・奏のいない、朝ご飯を。
~奏SIDE~
午前7時30分。いつもならこの時間、奏はまだ夢の中にいた。・・・だが今日、奏は既に登校していた。
「・・・下駄箱に靴がある?・・・あの靴箱の下は・・・確かルティアのだったから・・・テーシア・セイルメリーだったか?もう来てんだな、早いな・・・」
珍しく誰もそばにいない奏。傍から見れば「なにがあったのか?」と聞きたくなる光景だが・・・
「・・・まあいいや、1週間分の寝不足分を補わないとなぁ・・・。さっさと教室行くか・・・」
奏はそのままさっさと歩きだした。目的はただ一つ、教室で寝るため。
~???SIDE~
朝早い、誰もいない学校。そこに一人の少女が自分の席に着いていた。何かするわけでもなく、ただぽつんと座っているだけ。
(・・・こんな朝早くなら・・・誰もいないはず・・・。マスコミとかに騒がれたくないから早く来ちゃったけど・・・結局30分くらいしたら騒がしくなるんだろうなぁ・・・)
その少女、テーシア・セイルメリーはそんなことを思いながら座っていた。そんな時、突如前の扉が開いた。
「っ!!」
「・・・わり、驚かせちまった」
突如と下音に明らかにびっくりした挙動をするテーシアに、少年は簡単に謝り、すぐ自分の席に着いた。
「よし寝よう」
言うや否や、机に突っ伏しすぐに寝息を立て始めたのだった。テーシアは、その少年に興味を持った。初めて見た男の子、といううわけではない(実際、アイドル時代に何度も異姓は見ているため)。単純に、自分を「アイドルのテーシア」としてでなく、「白鷺高校生徒のテーシア」として見たことに、だ。
「・・・この人・・・どんな人なんだろう・・・」
テーシアはぐっすり眠っている少年の近くに行って、彼の机をまじまじと見つめる。
「二崎・・・奏・・・奏君かあ・・・」
テーシアは心のどこかで少年・・・奏の事を気になりだしていた。
(私の事を初めて一人の女の子として見てくれた・・・嬉しいなぁ・・・)
テーシアは奏の左隣の席に座って、彼の寝顔をじっと見つめていた。・・・後にそれが事件になることも知らずに・・・
~ルティア達SIDE~
「・・・お兄ちゃん酷い」
「しょ、しょうがないよ。たまには奏君だってゆっくり眠りたい時だってあるし・・・」
「そうね、大概お姉ちゃんやリーシャが決まった時間に起こすし、そうでなくても沙霧が全裸で布団に潜り込んでたりするから・・・そりゃ疲れるわよ」
沙霧が小さな声で「パンツ履いてるもん」と呟いているのを無視しながら、ロロットは4人のうちの先端を歩く。後ろにルティア・リーシャと続き、最後尾に沙霧という感じだ。
「アタシたちが来た時まだ寝てるんだったら顔に落書きしてやろうかしら」
「だ、ダメだよロロット」
「水性マジックでおでこに『肉』って書いてやるだけだから」
想像して思わず吹き出してしまうリーシャ。沙霧は未だ「パンツ履いてるもん」と呟いているだけだった。
「・・・ふぅ、朝ご飯も冷えてないです」
「どうせお茶も水筒でしょ?」
[やっぱりロロちゃんにはばれちゃいますね]
生徒玄関にて、4人が自分の靴を室内靴に履き替えていた。その時、ルティアがあることに気付く。
「・・・あれ?奏君以外に既に来てる人がいる・・・」
「へー、よっぽどのガリ勉かアイツと同じ目的で来てたりして」
「そんなわけないですよ、きっと」
「・・・おにいちゃぁん・・・」
「・・・沙霧、アンタいい加減兄離れしたら?」
ロロットが沙霧に突っ込みながら歩き始め、3人もそれに続いて歩き始める。
(・・・あれ?そう言えば靴が入ってた靴箱・・・私の靴箱の真上だったような?)
現在、教室では。
「・・・」
「・・・すぅ・・・すぅ・・・」
今もなお自分の席で眠り続けている奏と、(ルティアの席に座って)奏を眺め続けているテーシアの二人だけだった。そこに会話はなく、ただテーシアがじーっと見つめているだけ。
・・・だが、事件が迫っているとは、テーシアは思いもしていなかった・・・
「じゃあ沙霧、またお昼ねー」
「・・・うん・・・」
とぼとぼと一人違う教室に歩む沙霧を見送って、ルティアが教室の戸を開けた。その時、ルティアがピシリと固まった。
「どうしました、ルーちゃん?・・・ふえぇっ!?」
「・・・嘘・・・」
リーシャとロロットは驚いていた。中にいたのは案の定寝てる奏と、それをじっと見ていたであろう、ルティアの席に座る女の子だったから。ただ、それだけなら驚くことはない。・・・その女の子が、テーシアでなかったならば。
しかし、ルティアの様子は違った。
「・・・奏君が・・・女の子と・・・一緒に・・・しかも・・・む、胸が・・・大き・・・あふぅ・・・」
「お姉ちゃん!?ちょ、たまたま奏が他の女子と一緒にいたってだけで気を失わないでよ!!あーもーこれ何度目なの!?」
「め、目の前に・・・テーシアさんが・・・本物のテーシアさんが・・・」
ルティアは気絶し、ロロットはその介抱。そしてリーシャは感動一杯。それに対してテーシアは・・・
「え、あ、そ、その、あの、えと・・・」
彼女もまた、混乱していた。奏が来て、まだ8時にならないだろうと思っていた所に奏の知り合いであろう女子たちが3人も来たのだから。
その後、テーシアが懸念していた通り、8時以降に人がどやどやっときて、教室が騒然となったのはいうまでもなく、さらに、ルティアの席で奏を見ていたという事実が知れ渡ったため、男子が殺意を沸かせたのは余談である。
次回は・・・まあ・・・なんというか・・・奏からすればお約束、です。
では「あのキャラに色々質問コーナー(仮)」開始ー。第一回ゲストは・・・二崎奏君でーす。
「(奏)・・・あのな、その気の抜けた紹介は一体何なんだ、と小一時間問い詰めたいんだが?」
まーその辺は気にしないということで。とりあえず・・・質問が1件しか来ていないということで!こっちで勝手に質問作っちゃいました。
「(奏)・・・めんどくせ」
じゃあいってみましょう。まず、名前と年齢、誕生日を。
「(奏)名前は二崎奏、16歳。誕生日は4月2日だ」
後一日早かったら学年は1つ年上だったと。では次、趣味。
「(奏)ゲームだ」
では次。特技は?
「(奏)・・・特技?・・・強いて言うなら・・・勉強くらいか?他人に教えられるほどの実力はあるからな」
中学の時模擬試験で全教科満点とっといてそれ言いますかね?
「(奏)いいだろ別に」
好きなものは?
「(奏)猫」
・・・さくら、みかがいい例ですねぇ・・・。・・・じゃあ自分のここは嫌だって所は?
「(奏)重度のブラコンな妹がいること、ド阿呆な姉がいること、朝弱いこと」
・・・なんとなく分かる気がしますね。では最後に送られてきた質問を。今回は・・・ちょっと宣伝入りますけど・・・「方城時雨の奇妙でイカれた学園生活」の主人公、方城時雨君から来た質問です。
『周りの女子たちが俺のことを鈍いって言うんだが、どういう意味だと思う?』
「(奏)・・・本気で言うと知らんが・・・感情的な面じゃねえのか?行動が鈍いってわけではないだろ?というか感情的な面じゃなかったらどう鈍いのかマジで知らん」
とのこと。参考になれば幸いです。
「(奏)これで終わりか?」
終わりです。次回ゲストは-・・・どうしましょうかね?連続して男、って言ったらうわーってなりそうな気が。
「(奏)・・・ないだろ別に」
・・・まあとりあえず次回はルティアをゲストに!質問は「感想を書いてくれた本人様」「感想を書いてくれた作者さんの小説に出るキャラ」どちらかからでも受け付けます。ただし、あからさまに『見せられないよ!』を狙った質問は避けてください。
「(奏)・・・どの辺までが許容範囲だ?」
んー・・・3サイズ?
「(奏)・・・悪いことはいわねぇ、死ぬぞ・・・」
ま、まぁ次回をお楽しみに!!