04 天災襲来。猫、人に。
書いててカオスに。やっぱりアイツはカオスを呼ぶ女だった。
あの天災が登場します。何はともあれ本文へ。
「・・・お前ら何やってんだよ」
子猫を2匹抱きかかえて帰ってきた奏は、セストナ家玄関でお互いを抱きあって震えている幼馴染2人と沙霧を見つけた。
「だ、だって、ご、ゴキ、ゴキブリが・・・」
「い、いわ、言わないで、くださ・・・ひうぅ・・・っ」
「・・・ゴキブリが出て、ロロットが殺虫剤とホイホイ買いに行った」
「ありがとう沙霧、おかげで全部把握できた」
子猫を2匹抱いているため頭を撫でることはできなかったが(沙霧限定で褒める時なぜか手が頭に伸びてしまうという癖がある)、沙霧はそれでも嬉しそうだった。
「・・・2匹に増えてる?」
「ん?ああ、黒いのが一緒に連れてってほしいってな」
銀毛の子猫は沙霧に向けてみゃーと一鳴きしていた。黒毛の子猫は相変わらず沙霧に敵意剥き出しにしていたが。
「取り合えず後で俺が何とかしておくからうち来るか?」
「う、うん・・・」
沙霧が横でむっとしたが、仕方ないことだと諦めつけて二人を家に招き入れた。その際ロロットにも連絡を入れ、二崎家に来るように伝えておいた。
ロロットが殺虫剤やらホイホイやらバカ買いしてから二崎家に来た。それと入れ替わりでゴキブリ退治に乗り出した奏は玄関にいた。
「・・・じゃ、行ってくる」
「き、気をつけなさいよ!?相手はあのゴキブリなのよ!?」
「あのなぁ、ゴキブリ如きでそう簡単に人が死ぬか?」
震えるロロットに奏が軽く返す。
「沙霧、電話番頼んだぞ」
「・・・分かった」
子猫たちがみゃーみゃー鳴きながら奏を見送った。その直後、電話が鳴った。
「・・・誰だろう?・・・もしもし、二崎ですけど・・・」
いつもの流れで電話に出る。その相手は・・・
〈あ、沙霧?皆大好き華奈多お姉ちゃんですよー〉
「・・・じゃ」
〈あ、ちょ、切っちゃらめぇぇっ!!〉
奏と沙霧の実の姉で通称『天災』・二崎華奈多からだった。
「・・・お姉ちゃん、さすがに電話口でらめぇはない・・・」
〈・・・うん、自分でも言って恥ずかしくなった・・・〉
「・・・それで?どうして電話かけてきたの?」
本題に戻そうと華奈多に問いかける。
〈あ、今日久しぶりに帰るから〉
「あ、そう」
〈軽いなー沙霧ちゃんは。ちょっとした発明品も一緒に持ち帰るから〉
「ばいばい」
〈ちょ、ま(ブツン)〉
華奈多に最後まで言わせず電話を切った。
「・・・お姉ちゃんが帰ってくるまでに・・・お兄ちゃんの部屋の掃除しておかないと・・・皆にも頼んどこう」
沙霧はリビングで突如いなくなった沙霧を心配していた3人を呼び、事情を告げて片付けの手伝いを頼んだ。ただ、片付けというよりは・・・
知らぬ存ぜぬところで沙霧が奏のものを拝借しようと計画していただけなのだが。
「さてと、さっさと退治してセストナ家を平和にしてやらねぇとな・・・」
セストナ家玄関に到着した奏は、玄関の戸を開けた。その瞬間、何かが飛んできた。
「・・・ったく、最近のゴキブリは攻撃性が高いのか?」
飛んできた物体・・・ゴキブリを避けてすぐ玄関を閉める。さっき外に出たゴキブリは奏が再度扉を開けるまでは入れなくなっていた。
「ロロットがアホみたいに殺虫剤やらホイホイやら買いこんで来てくれたおかげで対策は練り放題ってか・・・」
奏はキッチンへと歩を進ませていた。
「まずはキッチン、冷蔵庫とシンクと食器棚の下。それ以外だと壁に何箇所か設置して・・・っと。着いた着いた」
キッチン入口に立つ奏。若干ながらカサカサという音も聞こえる。
「さって、掃除しますかっと」
そうしてマスクを着け、ホイホイや殺虫剤のパッケージをひたすら破り始める奏。その間、彼に悲劇が迫っていることは知る由もなかった・・・
奏がセストナ家害虫駆除作戦を実行して数分後。
「たっだいまーっ!」
「とっとと大学院研究室に戻って姉さん」
家の中のいざこざが終わり、リビングでボケーっとしていた所に声が聞こえる。沙霧にとってよく知るその声に、沙霧はつっけんどんに返した。
「もー酷いなーさぎりんはー。けどそこがまた可愛いんだか、らっ!」
「ふみゅぅ・・・痛い・・・」
リビングに入ってくるや否や沙霧を自分の丸太ボディな体に抱きよせる。
「痛いなんてしつれーな!これでも一応AAはあるんだよ!?」
「・・・それ、ないって言ってるのに等しいから・・・」
沙霧が殆ど諦めたかのように呟いた瞬間、浮遊感を感じた。その刹那。
「ひゃぁんっ!?」
「・・・おー、リーちゃん一昨年から2cmほど大きくなったね?」
「な、なんでそんなこと、わかるんですかぁっ!?」
「揉めば分かる」
「・・・普通は分からないわよ」
「た、助けてくださ~い・・・」
リーシャの胸を揉む華奈多と助けを求めるリーシャを無視してロロットはたまたま奏の部屋にあった探偵ものの小説を読み始めた。
「ん~・・・」
「ふにゃぁっ!?」
「ルーちゃんは・・・1cmほどかな?大きくなってるねぇ・・・お姉ちゃん感激だよ」
「だからって・・・ひゃんっ、触っちゃダメなのぉ・・・」
ロロットはそんなの関係ねぇ、とばかりに読書中。魔の手が迫っていても・・・
「読書の邪魔、やめて」
と一蹴した。
「相変わらずロロちゃんはツンツンしてるねー。だがそこがまた可愛いんだから」
「うっさい黙れ」
相変わらず構おうとする華奈多についに足蹴りで遠ざけることにしたロロット。
「・・・ふふふ・・・」
「な、何よ急に変な笑い方して・・・」
「ロロちゃん・・・お姉ちゃんを怒らせたねぇ・・・」
刹那、その場にいた4人に寒気が。
「ルーちゃんリーちゃん!ロロちゃんを捕獲しなさいっ!!」
『は、はいぃっ!!』
「ちょ、何よいきなりっ!?」
ロロットは突然ルティアとリーシャに両脇を抱えられてしまう。二人の顔には恐怖が浮かんでいた。
「ふっふっふ~・・・ロロちゃんには私が発明した薬の実験台になってもらうよん・・・」
「ちょ、薬!?バカなこと言わないでよ!!2人も離して!!」
「・・・ロロット・・・ゴメン・・・」
「・・・今の華奈多さんに逆らうと・・・次は我が身なので・・・」
「沙霧ーっ!!このバカ何とかしなさいよーっ!!」
ルティア・リーシャには救いを求められないと悟ったロロットは手を出していない沙霧に助けを求めた。が・・・
「・・・(ふるふる)」
「なんで!?」
沙霧にすら拒否され、孤立無援状態に。直後、二崎家にロロットの悲痛な悲鳴がこだました。
「・・・さって、仕事も終わったし、明日帰ってきてから様子をみるか」
術を練れるだけ練った奏は、やることを終えて帰路についていた。その時。
〈いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・〉
「・・・ロロットの悲鳴?しかも位置や大きさからして・・・発生源俺ん家かよ!?」」
奏は突如聞こえたロロットの悲鳴に慌てて駆けだした(ほんの数メートルとはいえ)。
「何があったっ!?」
玄関のドアを開けるや否や、開口一番に奏は叫んだ。
「おろ、お帰り奏ー」
「・・・結果論は分かんねぇけど元凶は分かった・・・〉
奏は声の主、華奈多の元へと歩いていく。
「お?奏、ひょっとしてお姉ちゃんにダイブする気?」
「んなわけねぇだろうがっ!!」
「ふぎゃぅっ!?」
そして思い切り頭を殴った。
「いきなりお姉ちゃんぶつなんてひどいよ奏!!」
「何をしたらロロットがあんな近所迷惑極まりない悲鳴を上げるか・・・徹頭徹尾説明しろ・・・」
「え、えーと・・・それは・・・ね?」
本気で怒っている奏に、周りの助けを求めるように視線を彷徨わせる華奈多。しかし助け船は出るわけがない。
「・・・ロロちゃんに新発明品の実験台になってもらっちった♪」
「・・・ふんっ!」
「ふぎゃあぁっ!?」
「きゃは♪」と言わんばかりのポーズで言う華奈多の頭に再び鉄拳を振り下ろす奏。
「いったあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「少しはこれに懲りて頭冷やせ、馬鹿!!・・・で、ロロットは?」
華奈多に吐き捨てるように一言告げた後、ルティアやリーシャにロロットの行方を聞いた。
「そ、それが・・・」
「・・・かな君の後ろに今・・・いるんです・・・」
「へ?」
ルティアらの言葉の意図が掴めず、ふ抜けた声を出して後ろを向いた時だった。
「かーなでー♪」
「うおわっ!?」
後ろから猫撫で声なロロットが飛びかかってきた。思わずつんのめるが気力で持ちこたえる奏。
「なぁっ!?ちょ、ロロットが一体如何したらこうなって!?」
「ちょーっと発明品使ったらこんなんなっちった」
「発明品!?」
「名前付けてないんだけど、素直な気持ちになれるようにする機械」
「はあぁっ!?」
べたべたと甘えるようにひっついてくるロロットをどうにか引き剥がそうとしながらも華奈多に半怒鳴り声で言う奏。
「とっとと解除しろぉっ!!」
「うん無理、一晩過ぎないと治らない」
「ふざけんなぁっ!!」
「後一個試したいのがあるんだけどなぁ・・・」
華奈多がそう呟いた時(その時ロロットは奏にあからさまに『大好きー♪』と言っていた)、奏の背後からみゃーと声が聞こえた。
「・・・マジで?こういう最悪なタイミングで来る?」
「お、子猫じゃん。ちょうど試作品試すのにはもってこいなんだよなぁ・・・ウヒヒ」
ゆらぁ、と立ち上がる華奈多に、制止をかける奏。
「ちょい待て、問答無用でやるのはどうかと思うんだが!?それにこいつらが首縦に振るわけねえだろ!?」
「それもそうか-・・・ちょっとネコちゃんたち、聞いてもいい?」
奏がロロット引き剥がすのに必死になっている間、華奈多は二匹の子猫に話しかけていた。黒毛の子猫は威嚇しているが、銀毛の子猫はみゃ?と首を傾げていた。
「1つ聞くけど、奏にお礼言いたい?」
華奈多の言葉を理解出来てないのか、銀毛の子猫は首を傾げたままだったが、黒毛の子猫は「奏」という言葉が出た瞬間、ピクッ、と体を動かした。
「・・・え・・・?ちょ、なんで反応したし・・・ってああもう鬱陶しい離れろ!!」
「やーっ!!」
若干幼児退行したかのようなロロットと格闘する奏を後目に、華奈多は反応を見せた黒子猫に近寄った。
「奏のこと、好き?」
様々なことをすっ飛ばして聞く華奈多。それに子猫は首肯で返す。
「・・・首肯するなんて・・・この子賢いわ・・・。もし、もしもだよ?」
「・・・」
「自分が人間になって、奏と結婚できるって言われたら・・・どうする?」
そう言われ考え事を始めた子猫。ロロットを引き剥がすことに成功した奏がそれを見た時(ロロットはルティア&リーシャに無理矢理預けた)、目が輝いているように見えた・・・
その刹那、華奈多の顔が「計画通り」と言わんばかりのにやけ顔に変わったのを、奏は見逃さなかった・・・
「おい!何やる気だよ!というか子猫騙して新しい装置とか薬とかの実験すんなよ!!」
「えー何のことー?私知らなーい」
「あんにゃろ何れガチで殴る・・・!」
奏が沙霧に後ろから羽交い絞めにされている(華奈多から「奏を抑えろ」と目で命令されたため)ために何されることなく子猫に何かできる状態の華奈多。
「・・・動物実験みたいになってるし試作品だから二度と元には戻れなくなるかもしんないけど・・・いい?」
華奈多の最終通知とも取れる発言に首を振って答える黒猫。その答えは・・・「やってほしい」。つまり縦。
「・・・なーんか嫌な予感が・・・」
「・・・OK、ならその夢叶えたらぁーっ!!」
ポケットから何か取り出しながら叫ぶ華奈多。奏は近所迷惑だろそれ、と思いながらもそれを見た。
「臨床試験がまだな「直撃型生体変化煙玉」!・・・っと、ちょっと待ってほしいんだなこれが」
華奈多は黒子猫の元に近づく。自分の望みを叶えてくれるからなのか、威嚇もしない子猫に呆気に取られていた奏。
「・・・ふむ、左目の傷・・・これ手術痕だね、しかも無理矢理開いた型の。それが不完全に塞がっちゃって傷痕残っちゃったんだね、可哀想に」
「・・・どういうことだよ、つか姉さんあんた獣医免許持ってんのか!?」
「持ってるよ?気まぐれで受けて一発合格」
「・・・やっぱりあんた常識外な人間だわ・・・」
華奈多の爆弾発言に呆れる奏。その間にも子猫の目を診る華奈多。
「ちょっと痛いの我慢してねー・・・あー・・・これは・・・」
「・・・どうしたんだよ」
「・・・この子ね、生まれてすぐに親から離されてモルモット的なことされてたみたいなの。この子の場合、猫の瞳の色を変える薬の実験でもされたのかな、ほら」
華奈多は子猫が頑なに開けなかった左目を奏に見させた。
「・・・右が赤いのに・・左が黄色い・・・」
「そ。多分研究所が摘発されたかなんかしてこの子野良になったんだね。人間不信はそれまでの心の傷かな。で、目はただ開けたくないだけみたい」
華奈多は子猫を労わるように撫でた。子猫も嫌がらずそれを受け入れる。
「・・・さて、さっき言ったけどこれはまだ実験すらしてないものだから、君が実験台になっちゃうようなものなんだ。それでもいいかい?」
「ってああっ!ちょい待て!!」
奏の制止も間に合わず、子猫は首肯してしまった。
「OKーっ!!んじゃ一発ぼふんといっちゃうよーっ!!」
「止めろーっ!!」
奏が腕を伸ばしたが、華奈多はそれより先に煙玉を子猫にぶつけた。刹那、煙が辺りに広がった。
「げほっ、げほっ!!こ、こりゃ、煙の量の、改良が、必要だった、かも・・・ごほっ!!」
「げほっ!ごほっ!!」
「けほっ、けほっ!」
煙の量があまりにも多く、ぶつけた時に近くにいた華奈多と奏、そして若干近かった沙霧にも被害が。
「・・・あっ!う、うちわか何か持ってこないと!!」
リーシャは煙のない当たりで何かないかと探し回った。このままだと煙感知器が作動してしまうと踏んだため。
数分後、リーシャが持ってきたうちわを使いながら、どうにか煙を吹き飛ばすことに成功。その煙の中には・・・
「お兄ちゃんは見ちゃダメ」
「ぐがぁっ!?」
ゴキィ、とでも言いそうな勢いで沙霧が奏の首を曲げた。それもほぼ90度。同時に目も隠すという離れ業まで。なぜかというと・・・
「うーん、子猫だから10歳くらいかなーなんて思ってたら・・・これ、対象の願望に強く影響されるのかなぁ?」
「で、でも・・・ぺったんこだね・・・」
「ぺったんこ・・・ですね・・・」
左目に一筋の傷を持つ、黒くて長い髪が特徴の・・・全裸の少女がいたからだ。
「・・・ふかーっ!!」
「・・・へ?」
その少女が突然、猫の威嚇声と共に沙霧に飛びかかった。・・・正確に言えば、奏に飛びかかったのだが。
「あっ!?」
それに気づいたリーシャとルティア。ロロットは抑えるのも大変になったため、いつの間にか簀巻きにされていた。
「うわっ、とっ、わっ、どわぁっ!!」
少女の突進の勢いを殺せず、後ろにいたままの沙霧を巻き込んで倒れてしまう奏。
「・・・はっ!わ、私だって負けてませーんっ!!」
「へぅっ!?」
猫少女、沙霧にサンドイッチ状態にされている奏を見てはっと気を取り直したリーシャが奏に向けて飛び込んで行き、ルティアがあわあわするという奇妙な光景が生まれた。なお、ロロットは簀巻きのまま。
「・・・あーあー・・・ものっそいハーレム状態やねー・・・おろ?」
華奈多が半分呆れ気味にそう呟いた時、足元で何かくいくいする感じを受けた。見ると銀毛の子猫が裾を引っ張っていた。
「・・・もしかして・・・君もかい?」
「みゃ!」
華奈多はその一鳴きで苦笑いを浮かべるしかなくなっていた・・・
ちなみに銀子猫は黒子猫と同じような姿だったが、髪が短い、銀発、胸にボリュームがあった(沙霧には劣るが)。
そして名前は黒髪少女には「さくら」、銀髪少女には「みか」と名付けられた(さくらは奏が、みかは沙霧が名付けた)
おまけ
「・・・昨日の記憶が全くないわ・・・」
「し、仕方ないよ、うん・・・」
翌朝、いつものように二崎家に向かうルティアとロロット。ロロットは昨日の記憶がごっそり抜けていた(それが唯一の救いだったと言えるかもしれないが)。
「あ、ルーちゃんロロちゃん。おはようございます」
「おはよ、リーシャ」
「おはよう、リーシャ」
玄関でリーシャと会い、3人で家の中に入っていった。
「昨日はアタシ起こしたしから今日どっちかいって」
「そ、そうだね」
「いつもの流れだと・・・私ですね。じゃあルーちゃん、朝ご飯お願いしますね」
「うん」
リーシャが一人2階に上がり、ルティアはキッチンで料理を作り始め、ロロットはリビングでテレビの電源を入れた。その時だった。
〈あーっ!?〉
「っ!?」
「・・・ってお姉ちゃん目玉焼き焦げるから!!!!」
「へ、あっ、わっ、あうあう、へうぅ」
「取り合えずガス止めてからにしなさいよ!」
突如聞こえたリーシャの絶叫にびくっとしてしまい上を向いたルティアと、目玉焼きが焦げると指摘するロロット。中途半端なのが気になるもののガスを止めるルティア。
「と、とりあえず行かなきゃ・・・!」
「ってちょっとお姉ちゃん!?」
階段を凄い勢いで登るルティアを追いかけるロロット。
「・・・ぁ・・・」
階段を登りきったルティアが奏の部屋の入り口で見たのは・・・奏の布団から見える銀と黒。
「・・・これって・・・どういうことよ?」
『・・・』
二人して呆然と立ち尽くすだけとなっていた。ロロットは完全に何が起きたのか分からないと言った様子。
「・・・みゃーん」
「・・・はっ!さ、さくらちゃん!?」
聞こえた声にリーシャが慌ててベッドに駆け寄り布団を剥いだ。
『っ!!』
「ちょっ!?なんで全裸!?はぁっ!?ていうかネコ耳!?」
奏を挟むように元猫の少女二人・・・さくらとみかが寝転がっていた。そんな光景に固まるルティア&リーシャと理解に苦しむロロット。
「・・・わ、私だって負けません!!負ける気なんて毛頭ないですぅっ!!」
「・・・えっ!?ちょ、リーシャ!?って!?な、なんで裸になってんのよ!!」
(奏は服を着ているが)裸で抱きついている二人に対抗しようと着ていた制服を瞬く間に脱ぎ棄てて飛びかかるリーシャ。既に奏のベッドの上は混沌状態だった。
「・・・わ、私だって・・・!!」
「お姉ちゃんまで脱がなくていいの!!というかリーシャ!アンタいい加減にしなさいよね!!」
ルティアまで参戦しようとする始末、それを抑えるロロットは大変必死だったそうな・・・
「好きだからってやっていい範囲とやっちゃダメな範囲くらい分別つけなさいよーっ!!!」
次回は時系列を戻して昴・幸俚サイドの話になります。こっちはこっちで大人しい話になる・・・かも。
あと、また新キャラ出ます。・・・まあ色々と。