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02 自己紹介はやっぱり大事

自己紹介シーンです。・・・書いてて男の妬みが出てるなぁ・・・と思いましたね。


ではどうぞ。

「・・・さ、最前列・・・」



入学式も終わり、それぞれの教室に戻った1年生。自分の席に着けと言う教師からの言葉に従い座ったが、ひきつった顔で呟いたのはルティアだった。



「・・・ま、まぁ気にするな」

「あうぅ~・・・」



隣に奏がいるものの、やはり最前列というのが辛いルティア。最前列にいる事=視線を集めてしまうという方式がルティアの中で出来上がっていたためである。



「・・・お姉ちゃん最前列だからまだマシよ、中途半端に前なアタシに比べれば・・・」



そんなルティアの後ろから嘆くように聞こえてきたロロットの声。そしてルティアは「奏君の隣・・・奏君の隣・・・」と呟くように顔を赤くして言っていた。



「・・・お前らそろそろ落ち着け・・・」



奏はそんな二人に諭すように言った。そんな奏たちの斜め右後方では・・・



「・・・なぁ雪姫」

「なに?」

「・・・後ろからの視線が・・・痛いんだが・・・」

「気にしたら負け」



昴が雪姫に抱きつかれていた(腕に)。後ろからは愛理の嫉妬の目線が。



「愛理、嫉妬は醜い行動」

「私だってぇ・・・私だってぇ・・・!!」



そして幸俚、鈴風、美雪はというと・・・



(ゆき君の後ろ・・・♪)

(幸俚の2つ後ろ・・・はうぅ・・・)

(・・・何だろ、さっきから背中に視線を感じる・・・)



視線を感じている幸俚と、その幸俚に熱視線を向けていた鈴風と美雪だった。



「えーっと、まずは自己紹介をお願いしますね」

「はい」



名字が一番早い生徒が立ち上がり簡単な自己紹介を始めた。



(そう言えば変態曰くこのクラスだけ女子比率が高くて他のクラスはむさ苦しいって話らしいな・・・)



奏がそんな事を思っていた所に、気がついたら結構近くまで来ていた。



「・・・次は僕か・・・」



幸俚が立ち上がったのが発覚した理由だった。



「出席番号10番、真田幸俚です。趣味はゲーム、特技は剣術です」



幸俚の自己紹介に、クラス中で「おお・・・」と感嘆の声が上がった。



「実家が剣術道場だから、必然的に剣術が特技になっただけだけですけど・・・とにかく、皆さんよろしくお願いします」



普遍的な自己紹介を済ませ、席に着く幸俚。幸俚のことをよく知らない女子からは、



「真田って・・・もしかして真田流のことかなぁ・・・」

「やだ何それかっこいい・・・」



などという黄色い声が上がっていた(ちなみに1-4にはなぜか女子が集中しており(白鷺高校が元々男子校だったのにも拘らず)、他のクラスと比べると圧倒的に男子の数が少なくなっている。参照で言うと、1-2は沙霧含めて女子3名、1-5に至っては女子はいないという有様)



「・・・あっ」



幸俚が席に着く=次に回るということを完全に失念していた美雪は、慌てて立ち上がった。



「え、えと、あのその、さ、佐橋美雪です!!と、特技ないですけどよろしくお願いしましゅっ!!」

(噛んだな)

「・・・あうぅ~・・・」



美雪は最後の最後で盛大に噛んでしまったことを恥ずかしがり、座り込んだ。奏、昴は同時に同じことを思っていた。



(・・・あたしはいいんだけど・・・ルティアちゃんと自己紹介できるのかしら・・・?)



鈴風はもうじき自分の番だということを差し置いて、この後のルティアのことを考えていた。自分にとって仲がいい・よく接している相手以外には完全に言葉を噛みまともに喋れないほどの恥ずかしがりなルティアが自己紹介できるのか、と思っていたのだ。



「・・・あっ、あたしの番か」



目の前にいた女子が着席したのを確認した鈴風は普通に立ち上がった。瞬間、男子(奏、昴、幸俚以外の)の目が(ある一点に)釘付けになった(某変態なら確実に目が行っている)。



「あたしは小鈴風、小学2年の時に日本に来てからずっと日本育ちよ。とりあえずよろしく」



端的に挨拶を済ませた鈴風。特技も趣味も一切明かさず。である。



「うおぉっ、美少女だ美少女!!」

「やべ、俺の好みすぎる!!」



など、クラスの(一部を除いた)男子からは鈴風に向けた好意の言葉が飛んだ(もっぱら言葉には下心満載だったが)。その後も自己紹介は続いた・・・が。



「・・・ああ、そうでした。今日、セイルメリーさんは3年間分の休職届を出す為にお休みです」



教師の言葉にクラス中が残念そうな声を上げた。



「・・・まぁ仕方ないと言えば仕方ないな、人気沸騰中のアイドルなんてそう簡単に休みなんて取れるもんじゃねえだろうし」



奏はぼそりと呟いた。自己紹介を進めるため、次の人を呼んだ・・・が。



「次は・・・ルティア・セストナさんですね。・・・セストナさん?ルティア・セストナさん?」



呼んだ者の返事がなくてもう一度呼ぶ教師。しかし返事はない。なぜならその本人は・・・



「・・・奏君の隣・・・奏君の隣・・・」



と、まだ色惚けかましていた最中だったのだから。



「お姉ちゃんっ!!」

「はひゃうぅっ!?」



何時まで経っても戻ってこない姉に痺れを切らしたロロットは後ろから大声でルティアを呼んだ。当然ルティアは上ずった悲鳴を上げる。



「にゃ、にゃに!?ふえっ、へぅえっ!?」

「自己紹介だよ、ルティアの番が回ってきただけだ」

「じ、じこっ・・・」



ピシリ、と固まってしまうルティア。



「あーあー・・・やっぱり固まっちまったか・・・」

「・・・お姉ちゃんだから当然と言ったら当然だけど・・・妹のアタシからすればいい加減直してほしいわよこの癖・・・」



ロロットが「ちょっと失礼」と言って立ち上がり、ルティアの横に立つ。



「ほらお姉ちゃん、さっさと立ってさっさと言っちゃえば終わるわよ自己紹介なんて」

「ろろっとぉ~・・・」



そしてなにも言えずにロロットに泣きつくルティア。



「・・・さっさと立てーっ!」

「はひゃいぃっ!!」



ロロットに叫ばれ、ビクゥっ、と身をすくませすぐ立ち上がったルティア。その瞬間ロロットは自分の席に戻っていた。つまり立っているのはルティア一人。



「・・・え、えと、その、あの、あぅ、あうあうあうあうぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅ・・・」



途中から「あうあう」としか言えなくなったルティアは、結局俯いて小さな声で「ぁぅぁぅ」としか言えなくなってしまった。



「あーもーアタシが代わりに言うわ・・・」



結局何も言えなくなったルティアの代わりに自己紹介を始めるロロット。



「えーっと、さっきからあうあう言ってるだけのがアタシのお姉ちゃんのルティア・セストナで、アタシがロロット・セストナ。お姉ちゃん見てのとおり恥ずかしがりだからちょっかいだけは出さないでよ。ちょっかい出したら・・・縊るから」

「お前は一言余計だって何時も言われてるだろが!!」

「あだっ!?」



速攻で振り下ろし拳骨をロロットに食らわせる奏。



「なにすんのよ!!」

「初対面の相手に『縊る』ってお前はバカか!?」

「当然のことじゃないの!!アンタこそバカじゃないの!?」



奏とロロットの言い合いも教師による制止で終わった。



「・・・じゃあルティアさん、恥ずかしかったら言わなくていいけど、将来の夢は・・・なんですか?」

「しょ、将来の、夢、は・・・その、あにょ、か、かにゃで君のお嫁しゃんになることでしゅ!!」



ルティアは将来の夢を聞かれ、即座にそう答えてしまった。当然奏に視線が集中するわけであり(ロロットにど突いていたのが奏だと理解されていた)。



「看護師じゃなかったのか!?」

「・・・というか盛大なカミングアウトかますとか・・・やっぱりお姉ちゃん天然だわ・・・」



その目線は『アイツコロス』というものばかりだった。ちなみに余談だが、突然他のクラスから『変態紳士ー!!』という野太い声や『あの子は俺が貰う!』『いや俺が嫁にする!!』などという明らかに女子に飢えた声が聞こえてきたのは余談。


そしてロロットの後ろから1-4のクラスメイトの自己紹介が再開した。さっきのルティアの爆弾発言もあってか、女子たちの発言には黄色い内容を含んでいた。・・・が、奏のことを言えばリーシャがむすっとし、ルティアが涙目になり、昴のことが上がれば愛理と雪姫が同時にスバルに抱きついた(一度だけ愛理が慌てて昴に抱きついてしまい、首を絞めてしまうというシーンがあった)。そして奏の番が回ってきた。



「・・・はぁ、面倒だ・・・」



立ちあがった瞬間、奏に左と右斜め後方から「私を嫁にするって言って」という視線がぶつけられ、さらに美雪、鈴風、愛理、雪姫以外の女子からの熱い視線が向けられていてうんざりしていた。



「・・・二崎奏だ。面倒だから趣味とかは一切省略する、以上」



がたん、と座った瞬間、クラス(女子の殆ど)からブーイングが。



「趣味教えてよー!」

「黙秘権なんてないんだよ!?」

「じゃあ僕の趣味教えてあげるよ!」

「ぎゃあ変態止めて来ないで!?」



謎の悲鳴すら飛び交う現状。奏はそのまま机に突っ伏した。そしてその異常とも取れる状態を無理に抑えるのに必死になる教師。



























抑えるのに軽く1分ほどかかって自己紹介は再開。その間にも色々な自己紹介が繰り返された。その一例が「嫁募集中だぜ」とか「俺は賢いぜ」とか。あまりにも抜けた自己紹介が続いたため、一部呆れが見られた。



「・・・次は俺か・・・」



昴はそう言って立ち上がった。



「・・・俺は氷剣昴だ、宜しく。以上」

「二崎君と同じ!?」

「やだかっこいい・・・」



素で奏と同じ行動をとってしまった昴に、女子からの熱い視線が突き刺さった・・・が、それも一瞬だった。原因は・・・彼の右と後ろ。



『・・・』



昴に熱い視線を向けてくる女子に威圧感たっぷりなオーラをぶつけていたのが、愛理と雪姫だった。まるで「昴には指一本触れさせない」と言わんばかりに。



「・・・愛理、次お前だ」

「あ、そっか」



昴に言われ、立ち上がる愛理。



「日野神愛理です、将来の夢は昴のお嫁さんになること!よろしく!」

「・・・愛理、座れ」

「うん・・・?」



昴に言われ椅子に座る愛理。



「頭出せ」

「な、何するの昴・・・顔、怖いy(ゴッ!)ひぎゃああああぁぁぁぁぁっ!?!?」

「初対面で何抜かしてるんだ馬鹿!見ろ、今の一瞬で俺に向けられた視線が殺気だっただろうが!」

「・・・昴が他の人にとられるのヤだったんだもん」

「やだだからじゃなくて!あーもー説明するのがめんどくさい!!」



昴は頭を抱えて机に突っ伏した。



(・・・昴・・・分かるぞその気持ち・・・直前の俺がそうだったからな・・・)



奏は奏で昴に同情の目線を向けていた。昴が頭を抱えて机に突っ伏している間にも自己紹介が進む。そしてリーシャの番が回ってきた。



「私はリーシャ・メルティアです。将来の夢はかな君のお嫁さんになって毎日イチャイチャすることです♪」

『殺せぇぇぇぇっ!!』

「こら、騒がしくしない!」

『はーい・・・あとでコロス・・・』



リーシャもまた爆弾を投下し、今度は奏までもが頭を抱える羽目になった。そしてその直後。最後の一人となった雪姫が立ち上がった。



「・・・私は夜吹雪姫・・・。夢は昴と結婚すること・・・よろしく」

「・・・雪姫・・・お前もか・・・!」



昴はここで再び頭を抱えた。後ろと横、そのどちらもが爆弾を投下してくれたのだ。視線は当然痛い。



「では全員終わったので、これでSHRを終わりますね20分後に簡単な学校紹介のビデオを見て、今日は終わりです」



同時にチャイムが鳴り、教師が部屋から出た。その直後だった。



「逃げるぞ昴!」

「言われなくても分かっている!」

『リア充を殺せーっ!!』



教師が教室から出た数秒後に奏と昴が教室を飛び出し、後を追うかのように殆どの男子が教室から出ていった。



「・・・これ、あんたらが悪いんだからね」

「あうぅ・・・」



思わず口に出してしまったルティアだけが、鈴風の言葉に反省していた・・・
































おまけ



「・・・お兄ちゃん・・・」



Ⅰ-2では、完全に元気のない沙霧が机の上に突っ伏して、奏のことを何度も呼んでいた。来ないのに、だ。ちなみに男子が話しかけようとしても完全に無視であり、その日1日で『要塞の心を持つ女の子』という異名がついたのは余談である。

次回は時間も飛んで下校中のことです。奏の弱点が突発的に出てくる・・・予定?

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