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第1話 目が覚めたらそこは森の中だった

 目が覚めたらそこは森の中だった。


「あっるぇ~」


 サーバーのシャットダウンにでも失敗したのかな?


「でも、ここって狩りをしてた森とは違うよね?」


 まさかゲーム中に誘拐されちゃったとか?


「んなわけ、ある筈がないか」


 自分の服装を見てみる。うん、ゲーム内での装備だ。短剣を腰のベルトに挿してあって、アイテムを入れるウエストポーチもあるし、緊急用のポーションホルダーにもHPとMPのやつが1本づつある。


「うん、やっぱゲームの中だよね?」


 それに~、確かこの木は初心者用の木の盾の材料になるやつだったと思うぞ。


 ってことは、初心者向けのマップだからぁ。ぐる~~~と辺りを見回すと。


「あの山、見た事があるような~?」


 ああっ!


「神人キャラの初期出現する村の近くじゃん」


 でも、何でこんな所にいるんだ?


 ん~~~~~~、判らん。


 あれ?草むらからガサゴソと音がする。何かモンスターかな?


 ガサッっと出てきた物はっ!


「なんだピグじゃん」


 ピグはもう、それこそ初心者のためのモンスターって言うか野生動物だ、こっちから攻撃して初めて反撃を開始する、いわゆるノンアクティブモンスターだから無視しちゃおう。ちなみにアクティブモンスターって言うのが、それぞれに設定されてるテリトリーの中にPCが入ると、問答無用で攻撃して来るんだぞっ♪


 あれ?このピグ攻撃してきてるんですけど~。 どうちてなのん?


 まあ、テスト中の最大レベルには到達しなかったけど、わたしは67なんだぞ、痛くも無いけどちょとかゆい。考え事の邪魔をするんじゃないよっ!


 てなわけで~。短剣でサクッと…サク……あれ?


 通常攻撃スキルが出ないんですけど? というか脳内スキル欄に通常攻撃がないよ?


 なんでやねん! いかんつい関西弁になってしまった。


 ええ~いっ、最弱動物ごときスキルが無くったって、簡単に…かんた…ん…に……よっしゃっぁぁぁぁぁ!


 はっ! イエ、ベツニ ヤット タオセテ ウレシイ ナンテ ナイデスヨ?


 ゴホンッ


 ちょっとまてっ! なぜ倒したピグが消えない? 普通は一定の確率で、素材アイテムや装備品なんかを落として消滅するでしょ?


 おかしいよ? スキルが消えるとか変でしょ? モンスターが消えないとか変でしょ? シャットダウンに失敗してデータも変になったのかな?


 ん~、ステータスはどうかな?


 ステータスは出たけど、これもおかしいぞ?


 名前、性別、種族、レベル、HP、MP、ステータス、装備後の攻撃力、魔法力、防御力は有るけど、最大HPとMP、満腹度と職業、それに死亡した時のリスタート位置の情報が無い。


   --ステータス--

 カリン(F)・神人・Lv67・HP2337・MP5640


 体力6+5・回復力(HP)5・魔力19・回復力(MP)18+7


 力3+5・知能17+6・敏捷性7・器用度8・強靭性7


 攻撃力120・魔法力347・防御力89・魔法防御力319




 名前の後の括弧かっこのアルファベットはFなら女性、Mなら男性の事で、テスト中の最大レベルは70だったからソロでよくここまで上げたもんだと思う。


 ステータスの+(プラス)の後ろの数字は、防具やアクセサリーで補強された分だ。


 このゲームのステータスは最大でも20でキャラクター製作時に決まって、レベルアップをしても増えないんだよね。


 レベルアップで増えるのは、HPとMPとそれぞれの回復量で、あとはランクの高い武器防具が装備出来る様になるだけで、キャラのスキルの熟練度が上がって行く事で強くなるんだよね。


 やっぱり変だし、ログアウトしよう。うんそうしよう。


 脳内のメニューを開こうとしたんだけど……あれ?


 システムメニューが出ないぞ。


 ちょっとまってっ! システムメニューが出ないとログアウトもGM(ゲームマスター:ゲーム会社の管理人見たいな人への)コールも出来ないんですけど~。


 アイテムポーチはどうなってるかな?


 ふたを開ける、見えない。これは普通だからおっけー。


 空のポーチの中に手を入れる、入っているアイテムの一覧が脳内で再生される。これもおっけーっと。


 まとまってる宝石の原石のうち1個をイメージする、手の何に原石が一個。よし異常はないな。使わないから戻しとこう。


 ポーチの機能は正常だった。


 次は通常攻撃の消えたスキルだな。


 一覧を見てみる。アイテムを拾うスキルもない。


 エンチャンターのスキル…エンチャントエレメント(7)味方単体の武器に任意の属性付与。うんある。


 エリアエンチャント(5)任意の地点を中心とした半径2メートルの範囲の対象に、武器へ任意の属性付与。これもある。


 ダークネス(6)任意の位置に半径3メートルの闇の空間を展開し、敵の視界を遮断する。おーけーおけー。


 バインド(7)自分を中心に半径5メートル以内の任意の地面に、直径1メートルの範囲で闇の触手が生やし、敵を絡め取り行動を阻害する。あるある。


 エレメントスフィア(11)任意の属性を込めた球を作り出し、継続的な属性攻撃をする。おおっ熟練度11は嬉しいですな。


 ヒール(9)味方単体に癒しの光を放つ。


 共通スキル


 サーチ(6)対象のステータスやレベルを見ることができる。モンスターと自分よりもレベルが高い相手は名前と種族のみ。


 ライト(5)魔力を込めて発光する、自分を追尾する球を作り出す。


 短剣熟練度(10)


 ライディング(8)騎獣に乗ることができる。



 ちなみに()括弧の中の数字は熟練度だぞ♪


 まあ、通常攻撃と拾うのスキルが無いくらいだね。



 それにしても参ったね。


 そういや、スキルはちゃんと発動するかな?


 えーと、『ヒール』


 うん、さっきのピグの攻撃で受けた擦り傷が消えましたよ。HPを確認すると、2350に戻ってる。うんOK。


 次は…『ライト』


 よし、わたしの真上より少し後ろに、光る球が浮いてる。


 『エレメントエンチャント(風)』『エリアエンチャント(火)』


 うん、短剣に付与してみたけど、風の力を感じた後、火の力に変わった。火の属性を開放して短剣をしまう。


 『ダークネス』『バインド』


 妨害魔法を使ってみたけど、両方ともちゃんと出来た。ちょっと範囲が広いような気もするかな? まあ気のせいだろう。


 視界が悪いので、強制解除。


 『エレメントスフィア(闇)』


 闇のスフィアを出してみた。うん出ましたよ? 黒い球が2個!!


 あれぇぇぇぇぇ?


 あれかな? 熟練度の上限突破ボーナスでしょう……たぶん。


 何か攻撃する標的ないかな~~~~~?


 見当たらないよっ!


 もういいっ! どうせ木のオブジェクトは攻撃しても壊れないけど、やっちゃるっ!


 

 わたしは適当な木を目標にして、スフィアに攻撃をさせた。


 わ~~ぉ。


 スフィアの攻撃が当たると、木が黒く変色して、微粒子の様になって地面に崩れ落ちましたよ。ぉぃぉぃ。


 わたしゃ、こんな効果始めて見ましたよ?


 あっ! 地面に落ちた微粒子がそのまま融けて無くなった……


「どうなってんのよこれ?」


 うん落ち着こうよ、わたし。


 そうそう、他の属性のスフィアも見てみよう。


 (光)木が光の微粒子になって上空に消えていった。『ひかりになれぇぇぇぇぇぇぇぇっ!』いやいや、某勇者王じゃないですからっ!


 (土)なにこれっ!ってくらい大きな尖った岩が飛んでいった。でかすぎるよっ!前までの岩って直径5センチくらいだったんだよ! これ、直径20センチはあるよっ!


 (風)カマイタチでした。圧縮された空気? 真空の刃?みたいなのが、三日月の形になって飛んで行きました。木は一発で切り倒されたよ。テヘッ


 (水)あれです。水で金属が切れるって知ってます? ウォータージェットってやつなんだけどね。ええ、それが出ました。 世界に誇る日本の技術も裸足で逃げ出しそうな、5メートルくらい先の直径80センチくらいの木をですね。狙いながら発射方向をちょ~~~っと動かしたんですよ。スド~~~ンって倒れていっちゃいました。こんなに離れていていても、生の木を切断しちゃったんですよっ! 水怖すぎ。


 (火)こんな森の中で火は怖すぎるから保留。うん、焼け死になんてしたくないからね。




 さ~て、こまったぞぉ。いくら上限突破とはいえこの威力はないでしょう?


 原因その1、バグ。あれ~もバグ、これもバグ、それもバグ、きっとバグ~。 うん一番ありえる? さっきまで何も無かったのが、いきなりこんなに大量に発生するか?


 原因その2、実は上限突破すると超絶強化されるんだよっ! ナ、ナンダッテーッ! いや、さすがにバランスブレイカーすぎる。


 原因その3、実はゲームに似ているけど、ここは異世界なんだよ! ナ、ナン…同じネタ連続はないね。 異世界だとしても、ゲームのスキルが使えたりアイテムだってあるんだよねぇ……


「あ~~~~~っもぉぉぉぉぉぉっ! 判んないよっ!」


 ポジティブ・コツコツ花梨ちゃん、人生最大のピンチですよっ!


 これ以上ここで一人で考えたって答えも出そうに無いなぁ。そだそだ、近くに村があるはずだから、とにかくそこに行ってみよう。うん、そーだそーだ。


 えーっと、どっちだったかな? わたしは脳内メニューからマップを呼び出し…出し……無いし。


 うわ~~~。マップ無しはきついわ~。


 ん? マップがないって事は……まさかデータブックも無いのかっ?


 ポーチに手を入れてっと………あったぁぁ!


 データブックを取り出したわたしは、中の情報を確認してみる。今まで集めてデータが無いと、戻れるまでかなりきついぞ。


 モンスターデータ:一部が消えてるような気がする。


 素材関係のアイテム情報:多分大丈夫。うん、たぶんね。


 武器防具情報:多分…おそらく……消えたのは無いはず。


 各エリアのマップ:うん無い。一枚も無い。


 地図もなしに、こんな森の中でどないせーちゅうねん!


 あーどうしよ……まてよ、わたしってば神人ぢゃん。空を飛べるはずぢゃん。飛んで移動すればいいんぢゃん!!


 わたしってば、頭いー!もう秀才!いやいや天才だねっ!


 待てよっと……ちゃんと飛べるかな?


 消えちゃったスキルだってあるんだよ? 飛べるか判らないよ?


 ………悩む前にやってみるべしっ!


 ん~えいっ!


「いえ~いっ」


 とべたっ! わたしは鳥になったのよ~~ん。


 いかん、遊んでる場合じゃない。


 えーっと、村はどこかな~?


 あったあった、たしかグルド村って名前だったかな?


 ん~ちょっと遠いような気もするけど、迷いたくないから村まで飛んじゃえ~~っ!!

記入漏れが有ったので、追記しました。


ステータスに【魔法防御力319】を追加

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