01.【私の戦争】
新歴3011年4月7日『α太陽系銀河間星屑漂着帯』、そこにある宇宙戦艦が身を潜めていた。
その艦の名前は『Alice』。
私、アルテ・ユークリッドがかつて存命だった両親と共に住んでいた惑星の名前…そして、野蛮なる地球人の手によって滅ぼされた故郷の名前。
地球…それは両親の父が生まれ育った、太陽系にある豊かな惑星である。
そこでは様々な人種の者が互いに手を取り時には争う、そんな何処にでもある惑星らしい。
そんな地球にかつての私も行ってみたいと思っていた時期があった。
だがそんな思いは7年前の『あの日』に全て捨て去った、地球人が『Alice』にミサイルを放ったあの日から。
「アルテ様、2時の方角に艦影発見しました。ノア級、地球の艦体だと思われます」
私が部屋で小学校の入学式に両親と撮った写真を見ていると、司令室で船の指揮を任せていた高性能アンドロイド『KoS』から知らせが入った。
「わかった、すぐ出る」
その知らせを聞き、私は部屋を出て一直線に格納庫へ向かう。
格納庫を開き、すぐの所にある着替え室に入る。
手馴れた手つきでパイロットスーツを着て格納庫に唯一存在する一つの機体へと向かう。
「行こう、グレイヴコネクト」
赤く塗られた人型の機体、グレイヴ。
父、タカヤ・ユークリッドの遺作にして私に残した当時新型の機体。
ユークリッド家初代当主『アリス・ユークリッド』の父が生み出し、先祖代々に伝わる『魂の依代』ゴーレムの製造技術と、初代当主アリスが生み出した魂の代用術『マジックコネクト』によってエネルギー効率が良くなり、そこに父タカヤが生み出した新システム『シンクロコネクト』によって長時間の戦闘でも最大限の力を発揮できるようになった次世代機である。
これはそのプロトタイプにして唯一『シンクロコネクト』を搭載した戦闘人機『グレイヴ』なのだ。
「システムオールグリーン、何時でも出れます」
コックピットに乗り込み、グレイヴを起動させる。
すると座席の後ろから『シンクロコネクト』をするために必要な紐らしきもの『シンクロケーブル』が出てきたので手の甲にある凹部に付ける。
「グレイヴの全権限をアルテ様に譲渡。発進、何時でもどうぞ」
「アイハブコントロール。グレイヴコネクト、アルテ・ユークリッド行きます」
そうして私は『Alice』からノア級の戦艦へ向かう。
「私の戦争を…終わらせる。その為の犠牲に沈め、地球人」
◈◈◈◈◈
同時刻、ノア級戦艦『エデン』。
「お呼びでしょうか」
俺、アス・クロスフォードは司令室に呼ばれていた。
「来たかアス伍長。ちょっと見てもらいたいものがあってね」
「?なんでしょう」
見てもらいたいもの、清炎将官のその台詞に俺は少し不思議がった。
「この艦の乗組員だと君が一番目が良いからね、でこれなんだが…」
と清炎将官は言いながら数分前に撮られたらしき画像を渡してきた。
「…なんか艦体の様なものがありますね」
「やはりか」
俺がそう言うと清炎将官は分かっていたかのような反応を見せた。
「どういうことでしょうか」
恐る恐る聞いてみる。
「ここ最近、スターダスト・リングに何かがいると噂になっていてね。軍の上層部は最初、三銀河同盟軍なのかと思っていたらしいのだがどうやらその同盟軍も襲っているらしく警戒しておったのだよ」
「なるほど…」
将官とそう会話をしているとパトロールに出ていた兵からの通信が入った。
「…!?出ました!所属不明の謎の機体…『アンノウン』です!」
「やはりか!アス伍長!今すぐ発信の準備を!」
「はい!」
すぐさま格納庫へ行き、パイロットスーツを着て自分の機体に向かう。
ピースメイカー、機動力が売りの新型量産機である。
「システムオールグリーン。何時でも行けます」
「アス伍長にピースメイカーの全権限を譲渡。発進、何時でもどうぞ」
「アイハブコントロール。ピースメイカー、アス・クロスフォード出る!」
そして俺は『アンノウン』を倒す為に『エデン』から飛び立った。




