表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖狩:第二部  作者: 定春
第二部:北編
8/11

EPISODE63「友好」

風雅は真白という強力な助っ人を手に入れ益々勢力を増大させた。

そして偶然ではあるが雷牙たちと再会を果たした。

 

          ー9月15日ー


 「兄貴!?久しぶり!」

どこから入ったのかと尋ねると、

「あー、壁小さな抜け穴めがけてトレーラーでかっ飛ばしてそこから入った。さすがにトレーラーは入れなくてな。バイクだけ持ってきたぞ。」

そして後ろから凱がバイクを持ってきてくれたのだ。

「ほらよ兄弟。」

「ありがと凱!」

そして女子メンバーも歓喜の再会。琥珀は花に飛びついた。

「花姉ぇ!!」「あーー琥珀ちゃぁぁん!!」

そしてガッツリハグを交わす。

だが人造人間ホムンクルスの円たちは若干面倒くさそうな顔をしていた。

「また面倒な奴らが増えた…。」

「まぁよいではないか賑やかで!」

暦とナユタは快く思っているが円と椛はまだ難しいようだ。

「ここで話すのも何だから一時的な拠点に行こう。」


風雅が拠点と呼ぶのはとある一軒家であり、そこに仲間たちを案内した。そして中に入り居間へ入ると、突然明かりが点き、カーテンの幕が開いた。

「ごきげんよう諸君!」

「お前何やってんだよ。」

そこに居たのは真白で、ソファを居間の中央に持ってきてその上に寝そべりながら皆を迎えた。

「安心しなさい、このクールでエレガントな僕が助っ人になったからには負けはなし!はっーはっはっはっ!!」

「ていっ!」

背後に現れた小雪が手に持ったタライで真白の顔をぶっ叩いた。その衝撃でソファから転げ落ち、色っぽい照明もBGMも消えた。

「何やってるんですかこんなに散らかして!」

「散らかしてないもん、皆を歓迎しようと僕頑張ったんだもん!!」

「結果的にスベってるんだから意味ないでしょ!?お客様に謝ってください。」

「ごめんちゃい☆てへっ。」「こんの万年雪男!!」

「あ゙ぁ゙ぁ゙ごめんなさい!」


「これが…あのオラついてた真白なのか…?」

「らしいっす。もう完全に女子高生の尻に敷かれてるよ。あと寒いダジャレのオンパレード。面影なんて微塵もねぇよ。」

虚無な顔をしていた風雅はそう雷牙に解説した。


          ー10月1日ー


ついにウォーゲームは1ヶ月目を終えた。この時すでに元妖狩エージェントたちの手によって北海道に蔓延っていた妖たちは一掃された。

そして1ヶ月を過ぎたということでノブナガから新たなルールが追加されてしまう。


『ルール追加:これより予選を急遽終了し、世界各国からの参加を許可する。』


このルール追加により、ロシアアメリカ、中国、ドイツイギリス。この5つの国で生き残った妖たちが日本に流れ込んできてしまう。

そしてすでにその強者たちはこの壁で仕切られた島国へと進行を開始していた。


 そんなことなど露知らず、風雅たちは真白の家を拠点として団欒していた。

みんながそれぞれの仲間たちと仲良く話している中、花だけは何かそわそわと挙動不審であった。心配した風雅が声を掛けるとすぐに理由を話してくれた。

「さっきからそわそわしてるけど、大丈夫?どこか体の具合悪い?」

「そうじゃないの。えっとね…私…まだ椛ちゃんとだけ仲良くなれてなくて、この1ヶ月口聞いてないのよ。」

花からしたら深刻な悩みだっただろう。椛は何かと花のことを毛嫌いし、花以外の妖狩エージェントたちとも関わりを持とうとしない。そんな妻の悩む顔を見て、ここで立ち上がらねば夫として、男として恥だと思った風雅は決意した。

「あー…そういうことね。じゃあ『なかよし作戦』決行だ!」

「なかよし作戦?」

「とりあえず何か適当に誘ってそこから友情を深めていくんだよ。俺も微力ながらにサポートするよ。」

「うん、私やってみるよ『なかよし作戦』。ありがと風雅くん!!」

それでもまだ少し心配な風雅であった。


翌日花は勇気を振り絞ってそっぽを向いていた椛に話しかけた。

「あ、あの…椛ちゃん、良かったら私とお散歩しない?」

「…しないわよ。それよりあんたはそろそろ自分の立場を弁えたら?」

と吐き捨てて拠点を出ていってしまった。あまりにストレートに言われたのでぽけーっとしていた花は慌てて外まで追いかけていく。

「じゃあトランプしない?」

「二人でやって何が楽しいのよ。」

「じゃあしりとり!私からね、しりと『り』。」

「『リ』ンパ腺。はい負け、二度とあーしに近づくなよ?」

冷たい視線がグサグサと刺さり、涙目になってその場に座り込んでしまった。

遠い所から見守っていた風雅は「あちゃー」という表情で顔に手を付いてしまった。

そんな所に暦が風雅の腹をクイクイと引っ張ってきた。

「何をしとるのじゃ?」

「実はですね…。」

風雅は事情を話していた時に花は立ち上がって椛を追っていった。

「なるほどのぉ…ところで肝心な姫はどこじゃ?」

「あっ!」


 花が椛を追っていくと、椛はゲームセンターで熊のぬいぐるみが入っているクレーンゲームの前で止まっていた。そして手を付いてそのぬいぐるみを欲しそうな顔をしていたが、どこか淋しげであった。

「欲しいの?その…ぬいぐるみ。」

「!、だったらなんなのよ…。」

花が声を掛けると椛は気付いていなかったのか、ビックリして慌ててクレーンゲームのケースから手を離した。

「とってあげる!ふふん!」

「あんたやったことあんの…コレ。」

「……ないです…。」

椛は大きなため息をついて呆れながらもそっと投入口に百円玉を入れた。

「…あーしがやるから…あんたは黙って見ときなさい。」

「りょ、了解…。」

初めて会話が続いた瞬間であった。ぎこちないが二人の繋がりの歯車が少しずつ回り始めたのだ。

                EPISODE63「友好」完


          次回「血盟」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ