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妖狩:第二部  作者: 定春
第二部:『狂った兄弟を阻止せよ。』
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EPISODE85「独奏」

敵に苦戦を強いられる中、“雲雀”という自称最強を名乗る少年が現れた。

そして琥珀と同級生ということが判明し、彼の情報を探すべく、琥珀の中学校を訪れる。


 風雅と琥珀は校長室の前に立っていた。


「ねぇ風雅、ここまで来て言うのも何だけど、ここで本当に雲雀のことが知れるの?」


「大丈夫。ここの校長はちょっとした知り合いなんだ。ここの生徒の事は一番分かっていると豪語するくらいだ。」


風雅は校長室のドアをノックする。すると中から「どうぞ。」という声が聞こえ、二人は中に入る。


「おや、琥珀さんと風雅さんではありませんか。」


琥珀は校長と風雅の関係性がまだいまいち掴めていないが、


突如校長は落ち葉をポケットから取り出してコップに入れると徐々に落ち葉が溶けて、紅茶になってしまった。


「!?」と琥珀は衝撃の光景に目玉が飛び出た。


「おや、琥珀さんは初めてでしたね。私も妖なんですよ。」


「ということは…アタシと風雅が妖ってこと知ってるの!?」


「もちろんです。私はあらゆる生徒の事情を知っているのです、成績から出席日数、運動神経から性事情まd」


「よし風雅、コイツ殺すわよ。」「待て待て待て待て。」


「しかし、水上くんの事は私は一生を掛けて反省していきます…。琥珀さん、すみませんでした。」


校長は深々と頭を下げた。


校長の言う水上とは、イジメられていた琥珀に寄り添う

フリをして殺害し、以降彼女をストーキングしていたクラスメイトだ。


「もういいのよ、吹っ切れたから。で、雲雀の何を知ってるの?」


「その事でしたか…雲雀くんは天涯孤独なのです。」


天涯孤独…親や親族などの血縁者もいない、この世にたった一人で生きていることだ。


「彼の父親は早くに失踪、母親も心を病み自殺してしまいました。それもそのはず、彼女には雲雀くんと病気のお姉さんを一度に育てなければならなかったのですから…そのお姉さんも半年前に病気で…。」


「そうだったのね…じゃあ雲雀が皆から避けられているのは…?」


「原因は分からないのですが、お姉さんが亡くなった数日後から皆から避けられ、石を投げられている場面に出くわしました。

私は駆け寄って止めたのですが…雲雀くんは私と生徒を睨んだ後登校してくることはありませんでした…。」


 それ以降新たな情報は掴めなかったが、学校での雲雀が少し分かった気がする。 

 

二人は河原を歩いて廃学校まで帰っていた。


「アタシたちこんな堂々と歩いてていいのかしら…。」


「俺たちが追われてたのは何だったんだろうな…何かすごい無理やり感。悠介が今うちで伸びてるから、手の内ようが無いのかな?」


二人が歩いていると、河原にある橋の下からギターを弾く音が聞こえてきた。


気になった風雅が河川敷に降りて橋の下を覗くと見えたのは、


目を閉じながら正確に弦を押さえてギターを弾いている雲雀の姿だった。


演奏に集中しているせいで二人が目の前に近づいても何も聞いていなかった。


そして演奏が終わり、ホッと息をつこうと目を開けると目の前に拍手を送る風雅と琥珀が見え、慌ててギターを隠した。


「お、お前ら!いつの間にいたんだよ!?」


「いやー何かすごい演奏だったなーと思ってたら聞き入っちまったよ。優しい音だった。」

「そうそう、ちょっとうるって来ちゃったわよ。あんたガキなのにすごいのね…!」


「いやお前も俺と同じだろ…って何の用だよ!最強の雲雀様の子分になりたいのか?」


雲雀は頬を赤らめたが、照れ隠しのために無理やりな脅迫を仕掛ける。


「いやそういうのいいんだけどさ。聞かせてくれよお前の口から、お前のことを。」


「へっ、誰が言うかよ!お前らも同じ妖狩エージェントだろうが。下手に自分の情報出す馬鹿が何処にいるよ!?」


「話してくれたら飴ちゃんあげるわよー。」


「いくらでも話してやるよ。」


(チョッロ。)(チョロいわね。)


琥珀から飴を受け取り、自分の生い立ちを話し始めた。


「俺は母さんから生まれたと同時に死んだ。何故か赤ん坊の俺は自分が死んだことを理解できた。生まれる前まで夢を見ていた…白い百合の花を抱き締める夢をな。」


「赤子の妖とは…珍しいな。」「へー珍しいのね。」


「赤ん坊の内から妖だとよぉ溜め込んでる妖力の桁が他の連中とは違うって司令が言ってたぜ。

親父は化物になった俺を見て逃げ出した。

母さんは姉さんと俺を巻き込んで死のうとしたが死んだのは母さんだけだった。姉さんは病気になって何か俺に言い残して死んだ…家族との思い出なんてそれ位しかねぇよ…」


雲雀は家族のことについて話した後、まるで何かに不安を抱いているかのように首にかけたヘッドフォンを触り始めた。


「暦の言っていた巨大な妖力を持つ妖はお前の事だったのか…。」


「司令からの任務でお前らの偵察を頼まれてたんだ。案の定泥臭い戦いしやがって…俺がいたら厄災なんて一発で仕留めてたのによ。」


雲雀は底しれぬ不安に怯えながらも大口を叩き、そして続きを話してくれた。


「姉さんが死んでしばらく経った頃だ…治療費の日銭稼ぎとして路上で演奏することがあったが、俺が演奏するとすぐに皆は石を投げつけ始めたんだ…。」


「何で…あんなに素敵な演奏だったじゃない!」


「俺が一番知りてぇよ!だからあいつら見返すためにミッションを遂行しながら今も練習してんだ…。」


「話は終わったかね。」『!?』


突如知らない男の声が聞こえた。


そして風雅の真後ろ、雲雀からしたら目の前の空間が歪み、そこから白服を来た部隊が現れた。


「最強の妖・八雲 風雅、そして妖狩エージェントの東雲 琥珀、雲雀。興味深い実験サンプルが揃っているなぁ。こいつらを連れていけば俺の昇進待ったなしだ…!」


部隊の中心にいるリーダーらしき男は昇進に心を躍らせながら刀を引き抜いた。


二人は身構えたが、雲雀は自信満々の顔で二人を押しのけて前に出る。


「おいおい誰が最強だって?最強はこの俺だ!!」


 

 一方牛鬼会のアジトでデータの解析をしていた雷牙と真白。


そして何かを発見したのか、雷牙はパソコンを持って、アジトの隅で廃人同然となった“律”の隊長・紅 悠介の元へと近寄る。

                EPISODE85「独奏」完


          次回「重奏」

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