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妖狩:第二部  作者: 定春
第二部:『狂った兄弟を阻止せよ。』
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EPISODE83「最強」

未だに続くウォーゲーム。そして二つ目のルール追加により本戦の会場は東京新宿になった。東京の港町で妖狩エージェントたちは立て籠もっていたが、アメリカから来た刺客に出くわしてしまう。


 アメリカから来た刺客の一人は風雅たちの人数を見ても、片手でナイフを持って指で回して弄んでいるという余裕を見せていた。


「俺が何でこんなに余裕か分かるかい?」

「知るか、早くかかって来いよ…!」


風雅たちは特殊防護服を着装し、戦闘態勢を整える。


人間である東刑事は財団の情報が入ったメモリを敵に取られぬようにポケットに入れて風雅たちの後ろにつく。


刺客の一人は不敵な笑みを浮かべて大声を上げる。


「ヘイ、ブラザー今だぜ!!?」「一人じゃないのか!」


皆は油断していた、一瞬だけ背後に巨大な妖力を感知し、風雅が振り向いた直後であった。

東の胸部から草刈り用の鎌が飛び出し、鮮血が飛び散った。


「東さん!!」「がはっ…!」


真白がすぐさま倒れる東を受け止めた。そして東を襲った主が現れる。空間が揺らぎそこから猫背で濃い隈を持った男が現れた。


「マイブラザーのバイスだ!」


「兄さ〜ん、ぼく倒したよぉ〜。」


男の弟であるバイスは東の胸を刺した鎌を大きく振るって喜びを兄に伝える。


「このっ!」


龍我はバイスの顔に蹴りを入れようと飛び込むが、バイスは空間の揺らぎと共に姿を消してしまった。


「先輩、こいつ透明になりますよ!」


「消えるのは姿だけじゃなく、妖力も消えてるみてぇだな…!」


          ー「“消去ヴァニシング”」ー


アメリカの刺客の一人、バイスの術式。透明になることによって存在、妖力を完全に消去できる。


敵は透明であり、どこから来るかも分からない。雷牙はとっさに刺客の兄を蹴り飛ばして外に放り出す。


「このままここにいても埒が明かない、風雅行くぞ!」


「あぁ…やろうぜ兄貴っ!!」


10年以上も付き合いのある親友を刺され、怒りに燃える八雲兄弟は共に刺客に立ち向かう。


「琥珀ちゃん、真白さん手伝ってくれませんか!」


「分かった!」「了解、花姉ぇ!」


花は赫夜から受け継ぎ強化させた自身の血の術式を使って止血を試みた。

真白はその手伝いとして東刑事の体を支える。


「お願い止まって、止まって!」


 その頃外では風雅たちが米国からの刺客に応戦していた。


「俺は長男ジャック、このナイフでてめぇら全員皆殺しだ!」


「あのナイフ、軍用のやつだ。元軍人ってとこか?」


「御名答。では正解したご褒美に、お前から殺してやるぜぇぇ!!」


軍用のナイフだと一発で言い当てた雷牙にジャックは逆手持ちにして襲い掛かる。


雷牙は腰に差した二振りの刀を抜刀し、ジャックのナイフを受け止め、切り返す。


ジャックは雷牙の攻撃をバク転で回避し、余裕の表情でナイフを舐める。


「うっわ、ほんとにやるやついたんだ…。」


「ここにいるのはバイスだけじゃないんだぜ?」

「何…!」


雷牙が身構えた瞬間、背後にあった別のガレージが突然爆発した。


「紹介しよう次男坊のトムだ!!」


他の兄弟より若干大柄な次男・トムは爆発したガレージから黒煙を纏いながら現れた。


「よぉ兄貴ぃ、ニッポンのハンバーガーは小さかったぜ?ムカついたから爆破してきたぜ。」


トムと居合わせたのは風雅、凱と龍我だ。トムは三人を嘲笑いながら爆発で吹き飛んだガレージの破片を手に取り、投げつける。


凱は大剣でその破片をガードしようとするが、その瞬間、トムはパチン!と指を鳴らした。

そしてその破片は発光したかと思えば、刀身に当たった瞬間に大爆発を起こした。


「凱!」「凱くん!?」


爆煙が晴れると、大剣は無事だが生身の腕はボロボロで今にも千切れそうだった。


「大丈夫かお前ら!」


「あぁ…どうやらあいつ触れた物を爆弾に変えるようだな。」


         ー「“爆弾魔ボマー”」ー


米国から来た三兄弟の刺客の次男・トムの術式。触れた物に妖力を付与し、着弾と共に起爆する能力を持つ。


幸い負傷した腕は“不死”の術式で自然に回復する。だが完治するまでは利き腕が使えない。


次にトムは両手に破片を持ってばら撒く。


「ここはオレたちが…!」


龍我と風雅は凱の前に立ち、盾となろうとするが凱は式神『玄武』を召喚して二人の前にバリアを張る。


「やめろ、俺はまだいいがお前さんらは生身、あんなの食らったら木っ端微塵だぞ!」


凱は『玄武』を武装し、盾でトムに殴りかかる。


「へ、バカめ!俺様の超能力を忘れたか!」


「んなこたぁ分かってんだよ!右腕はくれてやらぁ、片腕でてめぇをぶっ飛ばす!!」


右腕を犠牲にして、残った左手を瞬時に繰り出し、大地の力を自身のパワーに上乗せして、ジャックの背後までトムを殴り飛ばす。


しかし殴り飛ばされる直後に小石を五個ほど投げつけ風雅の前で爆破した。

何とかバリアを張るも完成する前に小石が起爆し、直接のダメージは防いだものの、その衝撃が伝わり二人は倒れてしまう。


外での騒動を聞きつけた花は真白と琥珀に援護に行くように促す。

そして二人は風雅たちと合流した。


「ちっ!来いよブラザー。」


ジャックは次男・トム、三男・バイスを呼び寄せる。


「このままじゃ負けちゃうよ兄さん…。」


「馬鹿、バイス!俺様たち兄貴を信じてねーのか!?俺たち三人ならあんな奴らなんて屁でもねぇ!」


トムは三男・バイスの肩を掴んで揺らしまくって励ましの言葉を掛ける。


一方凱は相当無理をしていたのか、トムを殴り飛ばした後に膝を付いた後に倒れてしまう。


ジャックはナイフをぐるぐると振り回しながら風雅たちに近づく。


そしてジャックはもう一本のナイフをトムから受け取り、投げつける。


怒りに燃える琥珀が前に立つ。


「“斥力リパルジョン”!!」


斥力を使ってナイフを宙で受け止め、ジャックに投げ返そうとした。


「俺たちに投げ返そうとするその心意気は立派だぜ?だがそのナイフは俺の弟が触った物…つまり爆弾ナイフ!どうだ怖いか?

もし一歩間違えば起爆すると怯えてんだろ?!」


ジャックの考察通り爆弾ナイフだということを知った琥珀は簡単に投げ返せる筈のナイフが怖くなった。


そして一瞬だけ力が弱まった、その隙を突かれた。ギリギリの瀬戸際で起爆時間を過ぎてしまい、琥珀の目の前で爆発。


琥珀は吹き飛ばされ、両腕に酷い火傷を負った。風雅は足を引きずりながら琥珀を抱き寄せる。


「大丈夫か琥珀!」


「うん…何とか火傷くらいで済んだわ…ぐっ!」


「どうだ?これが世界最強の実力だ…俺たち三人は最強一人でも欠けてはならんのだ!」


        「ちょっと待ちなっ!」


 意気揚々とナイフを振り回しながら近づく三兄弟と妖狩エージェントの間に何者かが墜落してきた。


土煙が晴れると一人の少年が佇んでいた。


「何が最強だよバカバカしい。本当の最強は…俺だ!!」


少年は親指を自分に向かって突き立て、自分こそが最強だとアピールする。


「へー君が俺たちと遊んでくれるのか、ボーイ?」


「つーか俺も超能力者だし、負けるわけ無いんだよね。『バク』!」

『ハーイ』


少年が『獏』と言うと、彼の隣に枕を抱えてヘッドフォンを着けた桃色のバクが現れた。

少年は三人をそれぞれ見渡し、ジャックに目をつける。


『“雲雀ひばり”ー、カウントは?』


「うーーん…まずはあのナイフ持ってるオッサン。10秒でいいや。」


雲雀と呼ばれるこの少年は自身の式神『獏』と共に独自のルールを作り、ジャックに狙いを定めた後、

ヘッドフォンを着用し、お気に入りのロックバンドの音楽を聞きながら舌舐めずりをする。


「へー滑られたもんだぜ…この俺を10秒で倒すだぁガキは帰ってママのおっぱいでもしゃぶってな!!」


「あ、何て?」

           『10…9…』


9秒時点で雲雀はジャックの腕に下から蹴りを入れてナイフを腕から飛ばし、そしてジャンプでキャッチ。


神業の如き速度で一瞬にしてナイフを奪って元々ナイフを持っていた右腕を切り落とした。


           『5…4…』


「うわぁ!俺の腕が!!」


           『2…1…』


「このガk」


「死ね。」


           『0〜!』


雲雀がジャックの前で猫騙しの様に手を叩いた瞬間、ジャックの上半身が粉微塵になって吹き飛んだ。


残った下半身はしばらくふらつき、灰となって消滅した。


「あ、兄貴ぃ!!」「兄さん!!?」


「さぁてと…次は誰だ?」

                 EPISODE83「最強」完


           次回「序曲」

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