EPISODE82「参戦」
花の中に宿る第一の厄災・赫夜。そして赫夜は覚醒し、花の魂を飲み込む。風雅たち妖狩は協力して見事花を救い出し、赫夜の魂を祓った。
赫夜は灰となって消滅し、最後まで赫夜の手を握っていた花はその場で座り込んでいた。心配した風雅は花の肩に手を置いて寄り添う。
「風雅くん、しばらくここに居ていい…?」「うん。」
赫夜はその灰を胸に当てて声を上げて泣き、風雅は悲しみに暮れるその手を握って後ろから抱擁して慰める。
風雅に再会するまでの約百年、財団で眠っている花はいつも赫夜と話をしていたという。
そして彼の魂にも時間が来た。
「光…!」「?!」
円の声で風雅が振り返る。その先に見えたのは、全身がヒビ割れたヒカルだった。
剥がれた皮膚は散り、風に舞う。
「とうとう時間か…花さんには申し訳ないが、ついに厄災の一人を倒すことができた…それだけでも…良い。」
「ヒカル…。」
「先生。また貴方に出会えて良かった…この前は辛く当たってしまいごめんなさい。
本心ではなかったのです、財団のメンバーが信用できず、彼らから突き離すような言い方をしました。暦さん、すみませんでした。」
体がヒビ割れながらも暦たち人造人間や花に深く頭を下げて謝罪した。
「いやいやわしらは何も気にしておらん!頭を上げてくれヒカル殿。」
「あーしも別に怒ってなんかないわよ。」「ナユタも。」
「私も大丈夫よ。赫夜を止めてくれてありがと!」
円は依然としてヒカルの方を向こうとしなかった。
「円…」
「68勝58敗、1引き分け…この数字あの世に行っても覚えておけよ…!」
「ヒカル…泣いているのかい?」
「お前今すぐ消してやろうか…!」
消えかかっているのにも関わらずヒカルは円を挑発してニヤける。
「君は…早く来るんじゃないぞ。」「俺は死なない。」
「君ならそう言うか…さようなら先生、皆さん、そして、じゃあな“円 道長”…!」
ヒカルは灰となって崩れ去り、その灰は風に散っていった。
かつてヒカルと繋がりがあった仲間たちは皆目に涙を浮かべ、彼との別れを偲んだ。
円の本名は“道長”といい、お包みに書いてあった名前を戦国時代のヒカルが解読したが、彼を憎んでいたヒカルは最期まで教えなかった。
その本名を聞いた道長は一瞬だけ瞳に光が宿った。
その後風雅たちは公園から退却し、再び悠介と戦った市街地へと戻ってきた。
未だに悠介は気絶して倒れていた。
「まだ気を失っている…」
「おい、こいつ使おうぜ。」
と風雅は気絶した悠介をバイクの後ろの席に括り付けた。
時は流れて一ヶ月後の11月10日。
ウォーゲームから2ヶ月が経ち、ついに新たなルールが追加された。
『ルール追加:本戦の開催地を東都・東京新宿に移し、厄災・ノブナガの参戦を許可する』
そんな事も露知らず風雅たちは雷牙の誘いで東都に戻っていた。
円 道長たち人造人間は一旦別れて別行動、真白は風雅たちに付いていくことにして港町の無人のガレージ内で籠もっていた。
そしてとある人物を取り囲んでいた。
かつての友である東だ。
黙って騒動から抜け出し、妖狩たちを庇いもしなかったことに腹を立てた凱は東の胸ぐらを掴む。
「てめぇ今までどこに隠れていやがった!お前ら警察のせいで俺たちは追われる身になってんだぞ!!」
「その節はすまないと思っている!俺は雷牙から託された財団の情報を調べていたんだ、
まさかこんな事になっているとは思わなかったんだ!」
どうやら東刑事ですらもこの事態を知らなかったようだ。
警察上層部は腐り、財団と結託したことで妖狩たちを政府組織から切り捨て指名手配したのだ。
「俺は雷牙からもらったこのメモリで財団が過去に行った実験やデータを確認した…おそらく彼の情報も載っている…。」
「コイツか。」
東の言う彼とは風雅の背後にいる悠介の事だろう。今の彼は目覚めてはいるが、一ヶ月何も食わず話さず、ずっと座り込んではうつむいている廃人状態だ。
雷牙はそのメモリを東から受け取ろうとした時だった。
「ここにいたのかっ!」
と外から知らぬ男の声が聞こえた。
「誰だい君たち…。」
外に見えるは三人の男の人影。警戒する真白はすでに特殊防護服を着装し、武器である爪を構える。
「ウォーゲームの本戦がトウキョウに移ったらしいから来てみたぜ!?ニッポンの超能力者がどんなヤツらかと思えば…しょっぱそうな奴らだな!
なぁブラザー?あれ、ブラザー?」
男は“ブラザー”と呼ばれる自分の仲間を探すが周りには彼一人だ。
「あいつ、アメリカ人か…!」
真白に続き風雅たちも戦闘態勢を取る。米国からの刺客が妖狩たちに挑戦する。
『狂った兄弟を阻止せよ。』
EPISODE82「参戦」完
次回「最強」




