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妖狩:第二部  作者: 定春
第二部:『厄災を祓い、囚われの巫女を救出しろ。』
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EPISODE81「鎮魂」

“支配”を司る厄災である赫夜はついに本気を出し、式神『九尾』とさらに厄災本来の能力を駆使し、妖狩エージェントたちを追い詰め、あと一歩で厄災が勝利を収めると思った刹那、

東都に出ていた雷牙がどこからともなく参戦し、赫夜に強烈な一撃を叩き込んだ。強力な援軍を得た妖狩エージェントたちは快進を始める。


赫夜は身体中からさらに強い瘴気を放ち続け、手で顔を抑え始めた。

「く…こうなれば…!!!」

そして手を広げ、一気に溜め込んだ瘴気を全て放った。

赤い霧で作られた竜巻が赫夜の身体全体包み、その中から少女の身体だけが放り出された。

髪の色は黒色、正真正銘赫夜ではなく、本体の花だ。

風雅はすかさず花の身体を回収して暦に預けた。

それと同時に竜巻が晴れた。中から現れたのは、巨大な妖狐だった。

白い九尾の狐は目を赤く光らせながら風雅たちを睨み、歯軋りをする。

『もはや品や穢れなど関係ない、器もいらぬ…お主らを…ここで全員殺してやるーー!!!!』

妖狐は甲高い咆哮を上げる。九本の尾はまるでそれぞれに意識があるように暴れ回る。

『妾は“支配”の女王…この世の全てを支配する!!“落ちろ雷”!!』

赤く染まった曇天から雷が降り注ぎ、皆は全力で回避する。

赫夜にとって支配できるものはこの世に五万とある、

そして花を解放して本体の魂だけとなった赫夜は激情態という本気を超えた力を引き出し、

人も血も雷すらも支配する最凶の女王へと覚醒した。

「どうすりゃいいんだ…!」

と凱たちは頭を抱えるが、暦はとある作戦を伝える。

「あの尻尾じゃ、九尾と化した赫夜はあの九本の尾から妖力を溜め込んで瘴気として昇華させ体内に供給していると見た!」

「で、どうすんだよ。」

「作戦はこうじゃ。九手に分かれてあの尾を一本ずつ斬る!さすれば奴のコアが露出するはずじゃ!」

そんな作戦で果たして上手くいくのだろうか皆は疑問を持ったが、考えていては何も始まらない。妖狩エージェントたちはミッションを開始する。


 暦の指揮の下、九尾の尾を破壊する役目を担うのは、雷牙、凱、龍我、琥珀、真白、ヒカル、円、ナユタ、椛だ。風雅も作戦に加わろうとするが、暦が風雅の前を袖で塞いで通せんぼした。

「え?」「お主には大変重要な役目がある、今はその時を待つのじゃ…!」「えぇ…。」


尾を破壊する役目の者たちは武装や術式を展開する。

しかし赫夜が大人しく尾を差し出す訳がない。もはや人の言葉を話さず、狐の甲高い鳴き声を上げながら先程赫夜が打ち上げた血の雨を凱たちに向けて降り注がせる。


           『“堕天”!!』


血の雨は大きく一本一本が槍のような鋭さをほこる。凱は『玄武』の武装で仲間たちにバリアを付与し、血の雨を防いでいく。

「俺から行く!」

凱は血の雨を避けながら赫夜の背後に回り、一本目の尾を大剣で放つ乱れ切り“岩融いわどおし”で斬り落とした。赫夜は悲鳴上げながら、振り返り爪で凱の体を貫く。

「凱くんナイス!」「何がナイスじゃ本当だったら死んでるんですけど!!」

続いて龍我が“流水ながれ”を使って2本目を斬り落とした。


その様子を風雅と暦は見守っていた。

「赫夜の身体をじっと見ておくのじゃ…!」

と言われた通りに赫夜の身体を風雅は目を見開いて凝視していた。

「うわ、何でそんなガンギマっておる!?」

「いやお前が見ろっていうからだろ?」「違う!目を閉じろ、心の眼で視るのじゃ!!」

「難しいなぁ…もぉう!」


そして真白は地面を凍結させて氷の道を作り出し、スケートのように滑って赫夜に捕まらないようにスピードを上げる。

「“雪寅”!!」

爪から放たれる絶対零度の刺突が三本目の尾を凍結させてその隙を突いて切断に成功。

しかし三本も尾を切られ、巨体に似つかわしくない俊敏な動きを見せ、尾を切った三人を吹き飛ばす。


次に椛は“分身を作り出す”という幻を赫夜に魅せて翻弄する。

『何だこれは…!』

「さぁ、あーしの世界にようこそ女王さま。ようやく“うちの友達”から離れてくれたね…これで心置きなくあんたをぶっ殺せる!!」

『やってみろ小娘がぁぁぁぁ!!!!』

赫夜は尻尾や爪、血の術式を使い、分身を打ち消していく。

『消えん、小娘の分身が、いくら殺しても消えん!!』

「当然でしょ?ネタばらしするとこれは全部幻…あんたをずっーーと止めるためのね!」

『たかが幻想、それが何じゃ!』


          「“脱兎ラビット・烙印スタンプ”!!」


 そして椛は当たれば相手を2秒間フリーズさせることができるもふもふキック、“脱兎の烙印”が赫夜の顔にクリーンヒットし、体が次第に岩になり、2秒間フリーズする幻を見ることになる。

「今よ!!」

「ニャニャニャー!!!」

決戦は2秒の内だ。琥珀は武装した爪で四本目を切り裂いた。


            「“ガブ”」


さらにナユタが両腕を水銀の蛇に変えて噛み付き、二本の尾を消し去る。

そして最後はヒカル、円が仕掛ける。

「“斬月”!!」「“光輪弾”!!」

二人のコンビネーション抜群の攻撃が同時に残った二本の消し去る。


 そして風雅の役目は赫夜の魂を観ること。しかし中々掴めない。痺れを切らした暦は風雅の肩に触れた。

「わしの“千里眼”を貸す、それならば魂を捉えることができるはずじゃ!」「やってみる…。」

暦の助力を得て再び目を開くと風雅の目に映る世界は全てが透けており、視界の中に白く光る点が見えた。

「そこだ、見えた!胸の中央だ!」


風雅の声を聞いた凱が再び立ち上がる。

「てめぇら聞いたろ、動けるやつは手伝いやがれぇ!」

凱は地面を大きく踏んで地面を隆起させて赫夜の体を持ち上げる。そして真白が氷の鎖を作って赫夜の前足を拘束する。

そして円とヒカルかつての相棒同士が力を合わせ、赫夜の腹を✕字に切り裂いた。


『グァァァァァ!!!!』

そして切り裂かれた胸から白い玉、コアが露出した。

「今だ八雲。」「先生!」

二人の合図で風雅は走り出す。しかし赫夜は火事場の馬鹿力を発揮する。

『“離れろ”、“吹き飛べ”、“潰れろ”!!』

苦しむままにただ叫び散らかし、二人を吹き飛ばそうとするが、円とヒカルは刀から手を離さず、赫夜の体に突き刺して耐え抜いていた。言霊に無理やり抵抗した影響で全身からは血を吹き出し、ヒカルはそろそろ体を保つ妖力が底をつき、体に大きなヒビが入り始めた。


 万事休すかと思われた時、突如緋色の弾丸が赫夜の胸を貫いた。

『!?』

円たちはその正体は誰かと振り返る。弾丸を撃ったのは、涙を流しながら指鉄砲を構える花だった。

『は…花…!どうして…。』

「…今よ、風雅くん!!!!(さようなら…私の友達…!)」

「任せろ!」

花の放った“飛梅”で露出したコアがさらに剥き出しになった。そしてそのコアを風雅の“疾風弾”で砕く事に成功した。


砕かれた直後、禍々しい九尾の姿は霧散して、中から本来の赫夜と思わしき女性が光の粒子を体から散らしながら現れ、膝を付いた。

花はボロボロの体を引きずりながら風雅の支えもあり赫夜の元にたどり着く。

『花…撃てたのか…。』

「誰のおかげで身に着けたと思ってるの?」

『妾のおかげ…だな。妾は消えるのか…?』

「そうよ。あなたはたくさんの罪を犯して、たくさんの人を泣かせた…だからあの世でたくさん反省すること。分かった?」

『反…省か…。』

塵となって消えゆく赫夜は花の頬に手を伸ばす。皆は不審になり、武器を構えるが、赫夜が止める。

『よい、もう反撃する気力もないわ…このまま塵となって消えゆく運命さだめよ…。花…あっという間に大きくなったのぉ…。最初は単純に利用しようとした…だが何故じゃろうな…お前たちの団欒する姿を見ていると、妾も混ざりたくなって…変な愛着が湧いてしまった。』


花の溜まった涙は大粒になってあふれ出す。

『泣くな…せっかくのいい女が台無しじゃろ…じゃあの…。』

と頬から手を離した刹那、花は強く握り返す。

「待って、これだけ言わせて…ずっーーと一緒にいてくれて、ありがとう!!ひとりぼっちの私とずっと話し続けてくれて、ありがとうっ!!!」

『!!…己を陥れた厄災に礼を言うとは…なんともおかしな小娘じゃ…』

花のその言葉で、赫夜も大粒の涙を流し、優しい笑顔を見せた後、灰化消滅した。


 2011年 10月2日 PM18時35分 赫夜 完全消滅


とある宮殿で厄災戦の結末を見届けたノブナガはどんな意図があったかは分からないが、玉座に腰深く座り込んだ。そして手で顔の上半分を覆い、力が抜けたまま上を向く


          「逝ったか…。」


と一言残したあと、玉座から立ち上がりどこかへと歩き、去っていった。

                 EPISODE81「鎮魂」完


           次回「参戦」

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