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妖狩:第二部  作者: 定春
第二部:『厄災を祓い、囚われの巫女を救出しろ。』
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EPISODE79「悲願」

世界からの挑戦者、“律”の妖狩エージェントたちは元妖狩エージェントの手により倒されたが、八雲 風雅の妻・花の中で眠っていた第一の厄災・赫夜が完全復活を遂げてしまった。


 完全復活を果たした赫夜の肉体の中で、花の魂はついに奥底へと沈んでしまった。

花の魂を外へと叩き出すために止むなく肉体を攻撃することになった風雅は仲間たちと協力して作戦を決行する。

そして風雅と凱の武装された強化攻撃で身体の奥底に眠る花の魂が震えた。

「ぐっ…これしきの攻撃で…!」

「よし、効いてる。皆この調子で行くぞ!…あれ?」

やっと有効打が見つかり、そこから反撃する流れかと思いきや、突如風雅たちの武装が黒い霧となって霧散してしまった。

「うそ、何で!?」

「ハッハッハ!己の式神武装のデメリットも知らずに今まで使っていたのか?哀れじゃのぉ!!」


通常“武装アームド”は一度使えば再度使用するのに3時間のインターバルを要する。


風雅たちは“律”や世界からの刺客たちとの戦闘で一度“武装アームド”を使用してしまっている。そして充分に回復していない状態で赫夜との戦闘で使用してしまい、すぐに強制解除されてしまったのだ。

「くそ、盲点だったな…。」

「これで妾の勝利は確実になった!!」

赫夜は両手を掲げ、一気に血の海へと腕を振り下ろす。すると風雅たち全員の背後に血の十字架が出現し、手首と首にかせを付けられ、真白と同様に磔にされてしまった。

「これは中々…お主らにお似合いじゃぞ?」


 我ながら磔のやり方に満足している赫夜は二又に分かれた血の槍を作り出し、血の海を掻き分けながら最初に風雅へと近づいていく。

「風雅よ、磔にされてから言うのも何じゃが…わしの“千里眼”で覗いてみたところ…姫の魂がごく僅かじゃが揺らいだ!」

「それ早く言えよ!」


そして二又に別れた槍を風雅の首に静かに添える。

「お主が妾との間に子をなさないと言うならば仕方なし。別の男を探すまでじゃ。ほれ、最期に遺言を言う事を許可してやろう。」

「お前ら…まじで目的は何なんだ?厄災って何だよ。」

「どうせ殺すのじゃ。死人に口なしとして、答えてやろう…妾たち“厄災”と呼ばれる兄妹たちは…あそこから来た。」

赫夜が指を差したのは雲に覆われた曇天。

「空…?」

「違うただの空ではない“月”じゃ!」「月…じゃと…!?」

ここからは厄災に強い恨みを持つ人造人間ホムンクルスたちも知らない厄災の出生。


 「月には“月の民”と呼ばれる民族と中央にそびえる“月宮殿”があり、穢れを嫌う神聖な種族じゃ。妾ら兄妹もそこの生まれ。」

「なにゆえ地球に来たのじゃ!」

と暦は血相を変えて赫夜に怒りを向ける。


        「地球に惚れたからじゃ。」


その答えに皆唖然とした。その中でもそのまま赫夜は話し続ける。

「妾たち兄妹はある日偶然、宮殿の上から外を見た…そこで出会ったのじゃ、青く輝く緑に溢れた美しい星を!」

月での暮らしにうんざりしていた赫夜たちは外で地球を眺めることしか出来なかった。穢れを嫌う月の民たちは地球を穢れの対象と信じ、皆口々に地球の悪口を言っていた。

やがて大人になった四人の兄妹たちは月の民には無断で地球に向かい、神話の時代の日本列島に降り立った。


だが、地球は赫夜たちが住むには過酷過ぎた。

「いざ降りてみれば…この地球にいたのは穢れた猿どもじゃ。だから妾たち四人の兄妹はその猿共を狩ることにした!」

いきなら話の方向性が変わった。当時地球にいた古代日本人たちを見つけてはわざと疲れるまで追い回して殺したり、空から狙って殺したり、様々な方法を用いて殺しを楽しんでいた。果てには世界までにも侵攻していく。


そうして彼らは“厄災”と呼ばれ、四人が持つ力になぞらえた称号が与えられたと同時に恐れられた。


       “支配”、“戦争”、“飢餓”、“死”


「妾はこの星の国を“支配”し、“戦争”は戦を好み、各地を戦乱の恐怖へと陥れ、“飢餓”は地球人を飢えと疫病で苦しませ、我が長兄は…神以外の人間に“死”という概念を創った。」

「穢れてんのはてめぇらじゃねぇか!!」

「黙れ!!妾たちに嫌悪されるお前たちが悪いのじゃ!!」

そこで暦は口を挟む。

「じゃがお主らは…“この世で最初に生まれた妖”が封印したはず…!」

彼らに対抗すべく、八百万の神々たちは協力して四人の厄災に戦いを挑むが、その力は想像以上であり、地球由来の異能とは違う力を駆使し神々と人間たちを追い詰めていく。

そこで戦いの神は土塊から一人の人間を作った。

最強の戦士となるように育て、やがて異能に覚醒した戦士は全ての妖と術式の先祖であり、全てを司る能力を持っていた。

その力と武器を駆使し、戦士はたった一人で四人の厄災を封印することに成功したのだ。


「そうじゃ。そやつに封印されて今はこの有様じゃ。だが同時にラッキーじゃった。妾たちが戦ったあの男は人を殺すすべを知らなかった…全てはお主らの祖先の優しさという甘さが招いた事態…で、語ることも語ったし…そろそろ処刑の時間といこうかのぉ!!」


 赫夜は二又の槍を風雅の顔目掛けて突き出す。しかし突然腕が自分が思った方向とはまったく違う動きをしてしまい、突き刺す位置がずれ、

槍の刃先は風雅の左頬に傷を付けるだけで留まった。

「…何故ズレた!」「そういうことか…まだ花は死んでない!」

おそらく浮上し始めた花の魂が無意識に赫夜の動きを妨害し、風雅を守ったと思われる。

「ほう…夫婦としての絆、さすがと言うべきか…じゃが今のはまぐれ次こそは確実に!」

一度距離をとってそこから走り込んで風雅の胸を貫こうと模索し、風雅に槍の刃が届く、その時だった。


       『うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!』


 突如風雅の前に空いた光の円からは光の剣を持ったヒカル、“月闇ツクヨミ”を持ったまどかが互いの剣をクロスした状態で現れ、そのまま赫夜に刃をぶつける、血の海をまるでモーゼの如くかち割るほどの威力を見せつけ赫夜を吹き飛ばす。


『厄災を倒すのは、俺たちだ!!』

                EPISODE79「悲願」完


           次回「妖狐」

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