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妖狩:第二部  作者: 定春
第二部:『厄災を祓い、囚われの巫女を救出しろ。』
23/30

EPISODE78「紅血」

世界からの挑戦者、“律”の妖狩エージェントたちは元妖狩エージェントの手により倒されたが、八雲 風雅の妻・花の中で眠っていた第一の厄災・赫夜が完全復活を遂げてしまった。


 赫夜は風雅たち妖狩エージェントたちと対峙し、その人数差でも物怖じしない赫夜は突然妖力を高め、地面に手を付く、


           「“血楽園しつらくえん”!!」


そう唱えると手を付いた地面から大量の血液が溢れ出し、全ての草、土、看板を飲み込んで一瞬にして公園を血の海へと変えた。

「何だよこりゃ!!」「これ全部赫夜の血なの?!」

「これで慣らしは整った…ここからは妾の独壇場じゃ!!」


       ー「“紅血なる女王スカーレット・クイーン”」ー

“支配”を司る厄災・赫夜が使用する血を操る術式。体内、体外の血液を自由自在に“支配”する。


そして赫夜が作り上げた血のフィールド“血楽園”。これこそまさに独壇場。何をしようが赫夜が支配者だ。

「お前たちはこの地の海地獄で何もできぬまま死ぬのじゃ。」

赫夜は右手を風雅たちの方に向けると、彼女の足元から血の槍が飛び出し、妖狩エージェントたちに攻撃を仕掛けた。

「避けろ!!」

それぞれが攻撃を交わし、血の槍を破壊していく。

「血の術式ならば、他の液体が混ざれば操作できなくなるはず!」

水を操る術式を持つ龍我が両手から水流を発射し、血の海に注ぎ込んでいく。

「他の液体と混ざれば妾の血を無効化できると…だがそうなる前に出血量を増やせば帳消しにできる!!」

赫夜はさらに血の量を増やし、その水流すらも飲み込んで、龍我も飲み込んでしまった。

「龍我!」「先輩、これ一筋縄じゃいきませんよ!」

「だったら僕が!」

次は氷の術式を持つ真白が血の海に手を入れて能力で凍らせようとする。

「ちっ、さすがに『白虎』は妾でも防ぎきれん!」

厄災の赫夜でもさすがに絶対零度の冷気は焦ったようだ。早急に手を打つことにしよう。


血の海に浸かっている真白の足元に血で出来た針を刺して気を逸らす。

「ぐ!」

さらに血の十字架を作り、真白を十字架に括り付けた。

「この…!これも凍らせれば…ぐっ!」

しかしそれも赫夜にも読まれていた。真白は両手首を血の釘で突き刺された。

「妾も馬鹿ではない。お主の冷気を放出する器官は手首にある。前に聞いたことがあったのぉ。『白虎』よ。」

「あーたしかに…前に花ちゃんが聞いてきたことがあったね。」

と悠長に真白は思い当たる節を答えた。

「あれは妾が花を操って無意識下で情報を聞き出しておいたのじゃ。」

「姑息な奴だぜ、お前ずっと花ちゃんの中から俺たちを見てやがったな?」

と凱は問い詰める。

「そうじゃな。そうしないと現代の外界の情報も得られんし、おじゃま虫のお主らの対処法も分からん。そしてたった今、緋月 花の魂は沈んだ!!」

「何だと!」

とゲスのような汚い笑顔を風雅たちに見せつけ、血の柱が赫夜を包み込み、その柱が消え去り破裂すると、白い装束を身に纏った赫夜が現れた。

「どうじゃ八雲 風雅。お主の妻の晴れ姿は!」

「俺の妻は花だけだ。お前じゃない!」

「じゃがお前の元妻の魂は妾の身体の奥底で沈んだ。もう戻ることはない!」

「じゃあ力づくでも花の魂を叩き出す!行くぞお前ら!!」『おう!!』

「ごめん皆僕縛られてるけど、頑張ってね!」


 風雅、琥珀、凱、龍我が式神を召喚し、椛が4人の前線に立つ。

武装アームド!!』

4人は式神を同時に武装し、それに何か危機を感じた赫夜は笑うことをやめ、瞬時に血の槍と“飛梅”を放つ。

椛は赫夜の放った攻撃をその身に受けた上で全て跳ね返す。

「そうじゃったのぉ、そう言えばお主は“巨塔ルーク”。仲間の前線に立ちその身を犠牲にするのが役目じゃったな。」

「あんたを殺すのをどれほど待ち望んでいたか!!」

跳ね返された攻撃は全て赫夜の方に向かうが彼女は余裕の表情で血の海に右手を突っ込み、そこから両刃の長剣を取り出し、跳ね返ってきた自分の攻撃を切り裂いた。

「残念じゃったのぉ“巨塔ルーク”。妾に復讐するのはまだ先のようじゃな。」

「あーし一人じゃ何も出来ないのは分かってるわよ!ナユタ!!」


気づく頃には遅かった。“兵士ポーン”という称号を持つナユタは小柄な体格を活かして血の海の中を泳ぎ、赫夜の傍に急接近していた。

「あなたに恨みはないけど、女王さまを返して。」

ナユタは右手に付いた巨大なガントレットで赫夜の顔を殴り飛ばす。

「女王さまは一人の時にナユタにお菓子をくれた。ヨシヨシしてくれた。ナユタの家族を大事にしてくれた優しい人。でもあなたは違う。血は暖かいのに、あなたの血は…冷たくて怖い。」

「不敬な餓鬼じゃ…!」

ナユタの一撃に続いて凱と龍我は共に攻撃を仕掛ける。

「でかしたぞヘビ娘、行くぞたっちゃん!」

「そのあだ名やめろ。」

龍我は五匹の龍をワイヤーのように活用し、罠が張り巡らされた血の海を避けて赫夜に近づく、赫夜はすぐに態勢を立て直して血の矢を龍我目掛けて放つ。

しかし凱は『玄武』の盾の能力で龍我にバリアを付与。矢を弾きながら五匹の龍を右手に集めて放つ。

  

        「“流転・我龍転生”!!」


強力な水圧が直接赫夜の体に打ち付けられ、どれだけ自身の血で支えようともさすがに耐えきれず、吹き飛んでしまう。

「く!この穢れ共め…なめよってぇ!!」

龍我は続いて追撃しようとするが、血の触手で再び海に戻り、剣を握り直した赫夜によって胸を切られて倒れてしまう。

「花姉ぇを返せ!!」

琥珀は遠方から重力で赫夜を縛るが、それでも力を振り絞って動こうとする。だが、直後何かが胸に縛り付いた。

「これは、鋼の蛇!」

ナユタは両手を蛇に変えて赫夜に巻き付け、さらに鋼の術式で重さを増した。

「今よ二人とも!!」

そしてこの連撃の中伏せていた凱と風雅が渾身の一撃を繰り出す。

「行くぜ兄弟!」「あぁ!!」


      「“砕”!!!」「“疾風弾・V3”!!!」


その二人の渾身の一撃は赫夜の身体の奥深くにまで響き、その眠っていた魂を震わせる。



 そして遠くの高台から血の海となった公園を見つめる一人の男がいた。

「少々面倒なことになったな…ま、いっか。あいつらがどうにかするだろ。」 

                EPISODE78「紅血」完


           次回「悲願」

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