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妖狩:第二部  作者: 定春
第二部:『厄災を祓い、囚われの巫女を救出しろ。』
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EPISODE77「支配」

世界からの挑戦者、“律”の妖狩エージェントたちは元妖狩エージェントの手により倒されたが、八雲 風雅の妻・花の中で眠っていた第一の厄災・赫夜が完全復活を遂げてしまった。


 花の肉体を食らい、彼女の魂を自分の代わりに体内へと閉じ込めた赫夜はこの世界に生まれ堕ちたことを歓喜していた。

「これが平成の世界!目で見る青空、鼻で嗅ぐホコリ臭い匂い、噛みしめる血の味、両耳を通っていく風の音、肌で感じる薄ら寒い空気!妾は五感全てで外の世界を感じている…これほど嬉しいことはない!!」

「喜んでる所申し訳ねぇけどよぉ…花は返してくれんのかよ…。」

風雅は“律”火の鳥隊隊長・紅 悠介との戦いに勝利した直後に赫夜に憑依された花が放った血の刃に胸を貫かれ、地に伏していた。

「返すわけなかろう。所詮花は器。妾というメインディッシュが乗ったからにはこの身が喰らい殺されるまで器は器の役目を果たすのみ。ま、妾が消えることは一生ないがのぉ!あーはっはっはっ!!」

高笑いをした赫夜は宙に浮き、彼方へと飛び去ってしまった。

「ま…て…!」

そのまま風雅は意識を失ってしまった。



 しばらくして目が覚めた。自分を呼ぶ声が聞こえた。

「…い…せんぱい…風雅先輩!」

「!!」

龍我の声でようやく目を覚ました。

「お前ら…。」

世界からの刺客たちと戦っていた他のメンバーも風雅の元に集合していた。

「ヤバい妖力を感じたからここに来てみれば兄弟と“律”の隊長さんが一緒に倒れてたからよぉ。」

凱は傍で倒れていた悠介の腕を持って上げたり下げたりして遊んでいた。

「風雅、花姉ぇは?」

「花の中の厄災が目覚めてどっか行っちまった。早く終わないと!」

風雅はすぐに立ち上がり、バイクに向かって歩き始めた。

「ちょ、先輩傷深いんじゃ…!」

その言葉で傷を負っていたことを思い出し、焦った様子で風雅は自分の胸を触った。

「あれ…痛くない…それに…肺が普通に機能しているぞ!?」

風雅は悠介の持つ黒い炎に焼かれ、胸に重度の火傷を負い、肺すらも焼かれ、呼吸するのもやっとだったが、何故か肺は元通りに機能していた。火傷は僅かに残ってしまっているが跡は残らない程度にまで回復していた。

並の火傷ならば、妖の持つ超再生力で治るが、皮膚が爛れるほどの火傷ならば命に別状がなければ数週間程度で完治する。しかしそのレベルの負傷ですらものの数分で治っていた。

「まさか…!」

風雅は何かを察したのか、すぐに愛車・“マシンストーム”に跨り、走り出した。

「ちょ、風雅くん!?」「先輩!?」

全員が気づく頃にはすでに姿が見えなくなっていた。

「兄弟の後を追おうぜ?!」


            公園


街のはずれにある大きな公園に赫夜は移動しており、そこから街を見下ろし、優越感に浸っていた。

「はぁ〜…外界の空気、なんと美味だろうか。だが、せっかく目覚めるなら京の都が良かったのぉ。妾の不完全体を殺した恨みがあるからのぉ。」

赫夜は街を見下ろしながら右手に血の玉を作り出し、力強く握りしめる。

「厄災としての使命を果たす時…この日本、果てには全世界を妾の力で“支配”する!!」


「させっかよ!!」

風雅が公園に到着。ストームから降り、特殊防護服の手袋を引っ張る。

「またお主か。」

「この火傷、お前が治してくれたんだろ?」

風雅は自分の胸に指を差し赫夜に聞いた。

「ふん、お主に簡単に死なれては困るからのぉ。妾の血と術式を同時に流して再生力を高めたのじゃ。お主は妾の夫、共に子を作り、新たな厄災の種を産むのじゃ!」

果たして赫夜は子作りの道具とするためだけに風雅を助けたのだろうか、真相は知らないが、妖狩エージェントとして目の前のミッションを遂行するのみ。


     『厄災を祓い、囚われの巫女を救出しろ。』


「正気か?この身体は誰だと思うておる!」

「もちろん俺の大好きな花ちゃんの身体だ。だからすぐに殴れないでくすぶってんだよ…!」

下手に殴れば花の身体は傷つく、そしてそのまま放置すればすれば花の魂は赫夜に喰われ、第一の厄災復活は完遂されてしまう。

「最強の妖と言われたお主の妻の身体を選んでなんと妾は幸運の持ち主なんじゃ!昔から悪運だけは強くてのぉ、孤児みなしごの童に妾の名前を使わせて代わりに追わせたりしたのぉ!」

「この外道め!!」

風雅は“鎌鼬”という風の刃を赫夜に向けて飛ばした。

「これが本家本元の“飛梅”じゃ!」

赫夜は右手から血の弾丸を発射。その威力は“鎌鼬”を貫き、風雅の左肩を貫いた。

「くっ!」

「妻を傷つけたくないという情弱な精神が目に見えるわい。」

「花を…返せ!」

「無理と言っとるじゃろうが!」

続けて“飛梅”を飛ばし、左の二の腕を貫いた。続けて二発目を放とうとするが、突然赫夜の体が傾き、弾道は下に逸れた。

「花!」

「こやつ、魂を鎮めたというのにまだ抗うか!」

『させない…絶対に!!皆ぁぁぁぁ!!』


花の魂の叫びは外界に響いたのか、残りの妖狩エージェントたちが駆けつけた。

「おらぁ!!」

風雅の後ろから凱が最初に駆けつけ、赫夜に大剣を振り下ろす。

赫夜は血の刃を作って防ぐが、赫夜の死角から龍我が接近し、腹に目掛けて水の玉をぶつけて爆発させた。

「この、害虫共め!!」

両手を血の鎌に変えて、二人を自分から離した。

「おい龍我、俺たち害虫だってよ。」

「まったく心外だよねぇ害虫は凱くんだけでいいっての。」「んだと!?」

その後も続々と風雅のそばに仲間たちが駆けつける。

「お前ら…。」「風雅早すぎ。」

「ごめん…。」

琥珀に怒られ真白の肩を借りて再び立ち上がる。

「応急処置じゃ。」

人造人間ホムンクルスのリーダー格・こよみは風雅の左腕に手をかざし、妖力を送る。すると空いた穴は塞がり、普通に動かせるようになった。

「サンキュ。さぁ厄災ちゃん、今度は全員が相手だ!」

「ふっ…どうせ来ると思っておったわ妾が策を練っていないとでも?」「何…!?」


           「“血楽園けつらくえん”!!」


                EPISODE77「支配」完


           次回「紅血」

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