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妖狩:第二部  作者: 定春
第二部:世界からの刺客編
13/18

EPISODE68「完璧」

北海道、並びに他の五カ国で開催されていた地獄の殺し合い“ウォーゲーム”の予選が終わり、五カ国の中でも勝ち残った代表とも言うべき妖たちが北海道に集結し、妖狩エージェントたちに宣戦布告を仕掛けたのだ。


 龍我、真白が続いて世界からの刺客を撃破する中、ショッピングモールでは琥珀と椛が長い爪を持つイギリスから来た妖、“クレア”と遭遇し、絶賛逃走中である。

「私のこの爪からは逃れられないよ?」

クレアは両手のカラフルな爪を伸ばし、モール内を切り裂きながら二人を追いかける。

琥珀は椛にも術式を付与し、無重力状態にしてモール内を駆け巡る。

「ひぇ!アレがビックベンを切ったの…?恐ろしやぁ。」

「琥珀ちゃん…ビックベンって何?」

無重力状態で思わずこけてしまったが、慌てて立て直す。

「えっとね…まぁ、でっかい時計よ!」

椛は納得したようで手をたたく。

「飛べるのは便利だねぇお嬢ちゃん!」

クレアは妖力を込めた爪を琥珀目掛けて伸ばして攻撃してきたが、琥珀の前に椛が盾となる。

「椛ちゃん!」

「“反射リフレクション”!!」

クレアの爪をその身に受け止め、妖力の波動として全てクレアに返した。

「ちっ!面倒な超能力者がニッポンには居たもんだね!」

避けられてしまったが、二人は逃げる時間を作ることができ、クレアから逃げ切った。

一階のバックヤードに立てこもった二人はしばし安堵する。

「あーしの術式は相手の妖力に応じて返す攻撃が多くなるの。つまり相手が強い攻撃をしてくれればその分強くなるし、弱ければ弱いまま。でも受け止められるのは一つまで、相手にタネが知られれば対策されてお陀仏よ。」


          無人の商店街


商店街にはドイツから来た筋骨隆々のタンクトップ紳士の“ミハエル”と財団HANDの幹部“J”の二人が凱の前に立ちふさがった。

「どうも、ニッポンの超能力者さん。」

「なんでてめぇは財団と一緒にいんだ?」

「いやーわたくし方向音痴なもので、財団さんに道案内を頼んだのですよ。」

凱は様子見のつもりでその辺にあった石を術式でかき集め一つの玉にしてミハエルに投げつけた。

だがミハエルはその玉を糸も容易くバレーボールのように受け止めてしまった。そしてその玉は段々と小さくなり、玉はあっという間に塵となってしまい、涼しい顔をして手で払った。

「そりゃ一筋縄ではいかねぇか…。」

「おい、よそ見すんなよ!」「!」

凱の背後から巨大な鉱石が衝突し、背中は血だらけになった。これはおそらくJの能力だろう。


凱は世にも珍しい二つの術式を持つ妖だ。

ー“「大地アース」”ー と ー「不死イモータル」ー である。

不死の術式で背中の傷と血は完治し、すぐに立て直すが、目の前にはドイツ人、背後に“エンジェル”の板挟み状態である。

凱はそれでも負けじと妖力を高め、両手を赤熱化させてミハエルに突っ込んでいく。しかしミハエルは簡単に凱の拳を避け、彼の左手を両手で包んだ。すると凱の体にとてつもない激痛が走り、足でミハエルを蹴飛ばして脱出した。

自分の左手を見ると赤子の手よりも小さく血だらけで、丸めた紙くずのようにぐちゃぐちゃにされていたのだ。

(あいつの術式、まさか“圧縮”か…!?俺の手はぐちゃぐちゃに畳まれ、さっきの石玉も奴の手に触れた途端、細かくなっちまった!)

そして不死の術式で左手が自動で修復された。


          ー「“圧縮コンプレス”」ー


両手で包んだものを容赦なく圧縮する能力。掌から妖力を放出し、圧倒的な圧力で粒子レベルまで潰すことが可能。


「さぁさぁどうしましたニッポン人。早くわたくしに折り畳まれて消えてしまいなさい。」

「不気味な野郎でい、お前さんの望みは何だ?このゲームに参加してるやつは大体不純な望み何だろ?」

「わたくしの願いは余計なものが一切無い“完璧”な世界!増えすぎた人口、発展した文明、切り開かれた自然、それら全て一度リセットし、わたくし好みの新世界を創るのです!!」

凱はその願いを聞き、静かに自分の大剣を引き抜いてミハエルに刃を向ける。

「おっとそりゃ出来ねぇなぁ…何故かって?この場で俺に殺されるからだよ!」

背後のJは周りにトゲトゲのクリスタルを多数生成し、まるで地雷のように配置した。

「二人でお楽しみの所悪いけど俺もいるんだよねぇ。」

「安心しろ、じきにお前も送ってやるよ地獄に!」

凱は狂気的な顔をJに向け、恐怖を与える。

だがすかさずその恐怖の根源を消そうと鉱石の地雷を爆発させるが、凱は自分の式神である『玄武』を召喚し、自分の周囲にバリアを展開し、身を守ってもらった。

「さぁ行くぜ、“祭”の始まりだぁぁぁぁ!!!!」

凱は大剣をミハエル目掛けて投げつけ、ミハエルはそれを圧縮しようと両手で包むが違和感を感じた。

「これは…この剣はなぜ潰れない!わたくしの術式は完璧で究極のはず!」

「おいおい、もっと周り見たほうがいいぜオッサン。上には上がいるし、この世に絶対的で完璧なものなんて無いんだ、よ!!」

凱の大剣は雷牙たちにより改良され、不壊の素材で作られているため、刃こぼれはするものの完全な破壊は不可能に等しい。

そして両手の間で浮いている大剣を赤熱化した拳で押し込み、ミハエルの胸に突き刺した。

「がぁぁぁぁ!!!!」

そして同時に引き抜き、小綺麗な商店街に鮮血が散る。

凱の大地の術式は岩石操作だけではなく、自身で解釈を広げ、地面からの妖力を借りて身体強化の術を身に着けた。

「オッサン、はっきりと言ってやるぜ。お前は俺が戦ってきた誰よりも弱い!」

「このガキ!」

ミハエルは凱の体に手を伸ばそうとしたが、凱は瞬時に大剣を振るって両腕を切断。痛みに悶絶している隙を突き、ミハエルの肩に手を置いて跳び上がり、背後に回った後に首を切断し、撃破したのだ。

「ほら、やるよ。」

凱はミハエルの両手と首が無くなった死体を蹴りでJに向けて放つ。だが、目の前にダイヤの盾を作って死体を弾き、弾かれた死体は灰化消滅した。

「ちっ!ここはひとまず退散か。」

「逃さねぇぞ。『玄武』!」

『玄武』は商店街全体にドーム状のバリアを張り、Jの逃げ場をなくした。

「まだまだ“祭”は終わってねぇぞ!石野郎!!」 

                EPISODE68「完璧」完


          次回「魔石」

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