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妖狩:第二部  作者: 定春
第二部:世界からの刺客編
12/14

EPISODE67「本性」

北海道、並びに他の五カ国で開催されていた地獄の殺し合い“ウォーゲーム”の予選が終わり、五カ国の中でも勝ち残った代表とも言うべき妖たちが北海道に集結し、妖狩エージェントたちに宣戦布告を仕掛けたのだ。


 最初は中国代表のロンが撃破され、同時刻で他四か所の場所で激闘が繰り広げられようとしていた。


          東都 東京郊外


雷牙は一人で東京に戻っており、郊外の山奥で何かを探していた。

「紅 悠介どこかで聞き覚えるのある名前なんだよな…。」

雷牙はその聞き覚えのある名前のヒントを探すために縁があると思われるこの地に足を踏み入れたのだ。

そこでとある物を見つけた。黒く焼け焦げた屋敷であった。かろうじて家と分かる形を維持しているのが奇跡と言っても良いだろう。

焼け焦げているのに鎮火からだいぶ時間が経って炭化し、少しの力で触れても崩れるはずなのに、雷牙に見つかるまで雨風を全て耐えていたというのか。

「鎮火してから年単位経っているはずなのに…ん?」

屋敷の中を散策していた時、一枚の紙が足元に見えて拾い上げた。

「これは、写真か?」

火災に見舞われたであろう家でしかも年単位で雨風にされされはずなのに、雷牙が拾った写真は端が黒く焦げているだけであった。

その写真には父親と母親らしき男女とその間にいる二人の子供。一人は背が高く朱色の髪に青い瞳を持ち、頭にゴーグルを着けている笑顔満開の少年であり、その隣には赤髪で深紅の瞳を持つ無愛想な少年が映っていた。

「これは…紅 悠介の家族か?だが瞳の色が違う。たしかに似ているが今の奴より愛想が良い。」

試しに写真を裏返して見た雷牙は衝撃を受ける。

「何、1994年…!?なぜこんな焼けた家にここまで完璧な状態残っているんだ…まさか、」

その時であった。突如背後から発砲音が聞こえ、持ち前のスピードで回避。発砲されたのは弾丸で、ただの弾丸ではなく、着弾する直前にその場に留まり、向きを変えて雷牙を追尾し始めた。

「自動追尾弾!手練れだな…。」

雷牙は特殊防護服を着装し、武器の手斧で銃弾を真っ二つに裂いた。銃弾からは妖力が溢れ、自動で動くことは無くなった。

「隠れてないで出てこいよ。スナイパーさんよぉ。」

さらに三回銃声が響き、同じ方向から銃弾が飛来する。

稲妻の如きスピードで避けながら手斧で銃弾を斬り裂くら。そして雷を発砲場所となる木に落とした。しかし狙撃手は現れず、木が燃えて裂けただけだった。


            カチャ


「!?」

自身の真上の木の上からでリロード音が聞こえた。顔を上げると眼鏡を掛け、オールバックの青年がいたのだ。

「お前がスナイパーか。」

妖狩エージェント獬豸かいち』。あなたを始末するために派遣されました。」

「自己紹介どうも。生憎無駄な殺生はしたくないんだ手短で頼む…!」


           北都 拠点前


 拠点の中には小雪が、外には真白が待機して皆の帰りを待っていた所、そこにロシアから来た妖、“アレクセイ”が真白に勝負を仕掛けてきた。

「もーなんで僕の所に来るのよー。」

「あんたは強いと財団って奴から聞いてね。俺の理想の世界の為に死んでくれよ。」

アレクセイは両手を胸の前に掲げ、何も無い空間をこね始めた。

「!?」

ただならぬ気配を感じた真白は瞬時に氷の壁を生成した。アレクセイはこね終わった何かを氷の壁めがけて放つと突如氷の壁の中央に円形の穴が空いた。

「やっぱり、準備しといて良かった…。」

「へぇ、俺の超能力に真っ先に気づいたんだーやるじゃん!」

真白は氷の壁をあえて砕き、その破片で攻撃しようとしたが、アレクセイは手を広げると破片が次々と割れていき、真白の体にも何かが直撃し、家の壁まで吹き飛ばされ激突してしまった。

「君の術式…確証が持てたよ。ずばり“空気”だね!」

真白は冷気を放出して周りに巨大な氷の結晶を生成した。そしてその中を駆け抜ける。アレクセイは迎え撃つべく空気弾らしきものを発射する。

氷の結晶が壊されていくが、そのおかげで空気弾の弾道を読み、両手に付けた鉤爪でアレクセイに一撃を食らわせる。

しかし、アレクセイは腹を切られた痛みなど気にせず、指鉄砲から空気弾を発射し、真白の腹、右肩にヒットし、そのあまりの威力に凹んでしまった。

そして追い打ちを掛けるようにアレクセイは下から上へと両腕を振り上げると空気の柱が発生し真白の体を真上へと飛ばしてしまう。


          ー「“空気エアー”」ー


空気弾や、気流の操作を可能とし、風雅の術式と違い発動条件などのデメリットはない。


真白は脳天から落下し、血を出してしまう。

「見えない攻撃こそ厄介な物はないね…風雅くんの術式は自分のフィジカルに風を上乗せさせることで威力を増しながらコントロールをしているけど、あの子の術式は周りの空気を完全に支配している…!」

「別に近づかなくても使えるだぜ?」「え?」

真白の足元から再び空気の柱が発生し、吹き飛ばすさらに空中での空気弾の一斉射撃が真白を襲う。

アレクセイがいい頃合いだろうと思った時に攻撃は止み、真白は再び地面に落下する。

「ニッポンの超能力者はこんなものかよガッカリだぜ!雪国で育っからよぉそんな能力は俺には効かねぇんだよなぁさっさと死ねやオッサン!」

「オッサンって…傷つくなぁこれでも江戸時代から生きてるんだよ僕。待ってほんとに痛い、何本か折れてるよ?」

「お前は弱いからなぁこりゃウォーゲーム優勝も目じゃねぇな!」


          「待ちなさい!」


その時、真白の前に立ち、アレクセイを止めようとする者が現れた。

「雪ちゃん…!」

小雪は家から飛び出し、竹箒一本を構え、アレクセイの前に立ち塞がる。

「雪ちゃんだめだ、中に入っていなさい!」

「そんな忠告されてもあなたが本気出さない限りどく気はありません。早く立ってください真白さん!あなた私がいるからって全然本気出さないじゃないですか!!」

「それは…。」

そしてその会話を聞いたアレクセイは邪悪な計画を立てた。

(そうか、あの女がいるからマシロは本気を出せないのか…じゃあ。ほらよ!)

バシュン!と音が鳴り、小雪の右肩を空気弾が貫通し、さらに頭を撃たれ気を失ってしまった。

「雪ちゃん!!」

「どうだよ、好きな女目の前で撃たれた気分は?悔しいか?ムカつくか?だーはっはっはっ!!」

この時、振り絞ったはずの彼のトラウマが一瞬にしてフラッシュバックしてしまう。あの時助けていれば、自分がしっかりしていればとその念に押し潰されそうになり、ついにブツっと真白の中の何かが千切れた。

「ねぇ…君の理想の世界って何だい…?質問次第じゃ対応を考えるよ。」

と真白は唐突に質問をする。

「はぁ?何だよいきなり、まぁそうだな、今まで俺を馬鹿にしてきた奴を一人残らず殺すんだよ!」

「そのためにロシアにいた罪の無い人たちを殺したの?ロシアにいる時点でもう君をいじめてた人たちは殺したんでしょ?」

「それでも足りねぇんだよ!もっと、もっと命を狩れと神がしつこく投げかけてくる!神様の言うことには従わないと…!」

と宗教上の理由を盾に同情などをかおうとするが、アレクセイは戦慄することとなるのだ。

「そうか、それで子供もお年寄りも殺したんだね、ニュースで見たよ…さっきの質問で対応を考えるとか言ったけど、どの道君を殺すつもりだったよ…」

「は…はは、どうした、お前さっきから怖いぞ?」

「僕が本気を出さなかったせいで雪ちゃんを傷つけた…僕のせいだ…そして何より僕の大切な人を傷つけた“お前”は絶対に許さない…!!ぐちゃぐちゃにしてやる!!!!」

顔を上げた真白は指で顔を引っ掻きながらまるで般若のように恐ろしい怒りの顔をアレクセイへと向けた。

「ひっ!」

「よく見とけよ…“俺”の本気を!唸れ『白虎』!!」

真白は『白虎』を召喚と同時に“武装アームド”を発動。鉤爪を冷気のオーラが纏うように虎の腕に変化。

口調も元の“俺”に戻り、いつもの優しい顔ではなく、氷のように冷たい表情になっていた。これが真白の隠していた本性。小雪と触れ合う内に「怖い!」と言われて矯正した優しい真白を今だけ壊すのだ。

アレクセイは真白の変貌に怯えて無作為に空気弾を発射するが、全て見切っているかのように切り裂いた。

そして爪を構えて残像がその場に残る程の速さでアレクセイに突っ込んだ。

「ひっ!」

その刹那、アレクセイの視界には全てがスローに映り、真白の動きもはっきりと見えていた。

「恐れの中で成長したか…お前はたった今、LEVEL3の高みへと到達した。そろそろ俺の動きが見えているだろう…だが残念。今からお前が行くのは地獄だぜ?」


           「“雪寅ゆきとら”!!」


その一瞬の会話の後、真白はその爪でアレクセイの首を刈り取った。そして死んだことにも気づかないままその首は路上に捨てられた。

「心スッキリだ…じゃあね、このまま君を野放しにすれば“僕”一人じゃ正直難しい程に成長していたかもね。」

「何を言って…。」

と首は応える。

「え、まだ生きてたんだ…“死ね”。」

その言葉がトリガーとなりアレクセイの体と首は灰化消滅したのであった。

                EPISODE67「本性」完


           次回「完璧」

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