チカラの秘密
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「あ、お茶持ってきますね。そこで座って待っていてください。」
何故俺の住所がバレている!?話したことは無いはず。橘さんが権力使って調べたとかか?これから何が起こるんだ?もしかして秘密握られてるから、一生彼女のパシリなのか!?
「あ、ありがとうございます。では、し、失礼しますね。」
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。男の部屋に入っちゃった。初めてでドキドキする。この前の事情聴取のときに、誠さんの住所を聞いちゃったから来てしまった。落ち着け、私。深呼吸して、あっ、なんか落ち着く良い匂い。でも、あまり匂い嗅ぎすぎると誠さんから変態さんだと思われちゃう。
「あの、えっと、橘さん。何の用事で俺のところに?」
オイオイ、実は魔人討伐の件で俺が倒したのバレてこれから国の秘密機関?とかに連行とかじゃねーよな。
「安心してください。ただ誠さんとお話したかっただけなので……。」
本当は、誠さんとお近づきになれたらなぁって。誠さんみたいな男の人いないんだもん。事情聴取のときの魔法少女たちも目をキラキラさせてたし。
「あの……。気になってることがあって。良ければでいいんですけれど、誠さんって男性なのに、なんで大量の魔力があって、それを扱えるんですか?」
「………………それは、絶対答えるべきやつですか?」
正直、言えない。魔纏式護身術を教わる上での条件のひとつが鍛錬方法を口外しないこと、だからな。言ったら師範に何されるか分かったもんじゃない。
「すみません、不躾でした。前にも秘密って言ってましたもんね。」
うっ……。あからさまにしょぼくれないでくれ。
でも、橘さんは、俺をヒーローと言ってくれた。俺をヒーローの端くれにしてくれた。彼女が口外しないと約束できるなら、教えてもいいはずだ。
「橘さんが口外しないと約束してくれるなら、話します」
「…………!勿論です!
誠さんは、私の命の恩人、私のヒーローなんです!誠さんの不利になるようなことは絶対にしませんから、安心してください!!」
橘さんは、俺と真っ直ぐに目線を合わせて約束する。彼女の自然に纏われた魔力を見ても、感情特有の揺らぎは見られない。嘘はついていないと判断した。
「まず、男である俺が魔力を使える理由から話そう。 男性は、生まれつき極微量の魔力しか持たない。女性とは異なり、身体の成長につれて魔力量は自然には伸びず、また、魔力量を増やす鍛錬をしても成長率は非常に悪い。
これを聞けば、男性が莫大な魔力を持つのは不可能だと思うよな?」
橘さんは、コクコクと頷く。
「でも、努力すれば魔力量は伸びるんだよ。
魔纏式護身術っていう道場での基礎中の基礎の鍛錬、瞑想で魔力量を増やした。小学生の頃から今まで毎日ずーーっっとね。」
「あ、あのっ。瞑想なら、魔法少女の鍛錬にもありますが、毎日やっても、誠さんみたく膨大な魔力量は持てないと思うのですが……。」
「ん?……あぁ。普通の瞑想を想定すればそうかもね。魔纏式は全然違う。毎日、自分の魔力が尽きるまでやるんだ。」
「そ、そんな身体を傷つけるようなことを今までしてたんですか!?」
彼女が驚くのは無理もない。魔力は生命の源と言ってもいい。
体の魔力量が全体の3割を切れば、激しい頭痛、倦怠感、眠気が襲ってくる。さらに、2割を切れば、先程の症状に加えて吐き気、下痢の症状が出てくる。1割を切れば、全身の感覚が全くと言っていいほど鈍くなる。そして、魔力が尽きれば気絶してしまう。
「俺も他の門下生たちもゲロ吐いて、下痢便我慢しながら瞑想してたな。勿論、漏らすやつもいた。鍛錬の最後は必ず瞑想だから、魔力尽きて気絶する瞬間が1番幸せなんだよな。」
門下生との鍛錬も今振り返れば楽しかったな。鍛錬自体は地獄そのものだったけど。瞑想中に、ゲロと下痢便出したまま気絶したやついたなぁ。皆で嫌々ながら片付けたよなぁ。
「…………………………うわぁ。」
やべぇ!橘さんがガチで引いてる。汚ねぇ話しちまったからかも。話変えるか。
「まぁ、俺たちは狂気じみた努力のおかげで膨大な魔力量を得られてらいるってワケ。
次は、魔力のコントロールについてだな。この基本は、体の特定の部位に魔力を集中させて強化する。難しいのは、体に纏われている魔力を切り離して斬撃や衝撃波として飛ばすこと。俺はこれを習得するのに3年かかった。」
「常軌を逸した努力……。
じゃあ、修行方法を公に公開すれば、男性も魔物に対抗できると思うのですが……。
何故公開しないんですか?」
「力を悪用されるのを防ぐためだ。
師範の1番弟子が国の偉い人を何人も殺めたらしい。護衛していた魔法少女5名も半殺しにされたらしいしな。そして、ソイツは今も国家転覆を狙っていると聞く。」
この世の中で男性は社会的に弱い立場にある。
魔物による人的、物的損害が絶えず起こっている社会で、政府は補償を行わず、自己責任とした。
そんな世の中で、自分たちを守れる唯一の方法は、異能を持つ赤子を産むこと、つまり、魔法少女を産むことであった。その利点は、2つ。
ひとつは、家庭に魔法少女がいることで、魔物による損害を減らすことができる。
2つ目は、国の対魔物機関に産んだ魔法少女を渡すこと。渡すことで、その世帯には、国から莫大な謝礼金を貰うことができる。つまり、魔法少女を産んで、国に売ることで、民間の強力な魔法少女を雇ったり、損害に対する十分な財源となる。
このことから分かるように、国民にとって男性を産むメリットが無いのである。
男に生まれたというだけで、養育者からは蔑まれることが多い。虐待を受けたり、捨て子となることも少なくは無い。そんな環境で育てば、社会に恨みを持って国に害する者も生まれるのは当然至極である。
男性である時点で、国を害する力自体は無いと思われてきたのだが。
「ニュースで出ていた魔法少女庁の議員20名弱が何者かに殺害されたとはありましたが……。
まさか誠さんの同門の方だったとは……。しかも、魔法少女5名を1人で全員半殺しにしたとは……。」
「まぁ、俺から話せるのはこんなモンだな。」
信じられない情報が大量に入ったからか橘さんは、混乱しているのだろう、俺が渡したお茶をジッと眺め心ここに在らずという感じだった。
なんか話しかけにくい空気が漂い、気まずくなってきた頃、彼女の電話の着信が空気など読まず部屋中に響くほど鳴る。
これが俺と彼女を繋ぐ運命の一報となるとは思いもしなかった。
登場人物紹介2
橘 雪
本作のヒロイン。白銀の髪色に、2つ結いの髪型をした少女。18歳。温厚で基本は控えめな性格。これから掘り下げがあるので詳細は省きます。
好きなもの: 読書、筋肉(見る専)
嫌いなもの:海鮮類
髪型は、シンフォギアの雪音クリス、ゾンビランドサガの紺野純子をイメージしてみてください。




