それぞれの思惑
感想、レビューよろしくお願いします。
すみません、最近忙しくて全然執筆できてないです泣
人魔共和国建国宣言から1週間が経った。
共和国の領土内には、既に魔人たちが街を平然と歩き回っている。誠らが属する国であるニボンでは共和国にBからDランクの魔法少女6名を派遣するが、魔人や共和国側の魔法少女らによって壊滅させられた。その情報は、すぐに各地に広まり、共和国領土内にいた住民は、共和国から立ち去ったのである。
共和国内にある魔法少女の集会場であった多くのキュリアは、共和国の魔人や魔法少女の戦闘拠点と化していた。
キュリア 南第3地区に共和国の本部が置かれている。騎堅はそこに玉座を構えていた。
「騎堅サマ!派遣されてきた魔法少女の討伐に成功したそうデス!コチラの損害は、軽傷者数名と軽くすんでおりマス。このままいけばAランクの魔法少女も派遣されてくるハズ。何人か殺して、コンソラータの威光を見せつけまショウ!」
そのように発言するのは、建国宣言時に玉座の横に立っていた女性であった。髪色はオレンジでツインテール、目には星型の瞳孔、歯はギザ歯と特徴的な女性であった。
「うむ、ご苦労。我が国の恐怖を植え付け、二度と我らに喧嘩をふっかけられないように徹底してやれと皆に伝えてくれ、真尾。」
騎堅は配信中には見せなかった優しい表情で返答する。玉追 真尾は、「かしこまりデス!」と元気よく返事して部屋から出ていく。玉追真尾と入れ替わる形でトライトンが入室する。
「トライトンよ、魔纏式護身術の使い手たちの様子はどうだ? アイツらは、Aランク魔法少女よりも手強い、敵に回る可能性も考慮しておくべきだ。」
「調査済みでございます。
前田誠様は、最近Aランクに昇格した橘雪という魔法少女と関わりが深い様子です。そのため、我々と敵対する可能性が多少なりともありそうです。
貫田光様は、騎堅様の教えてくださった特徴から調査したのですが、全く見つからず、消息不明でした。大変申し訳ございません。
技投 柔平様は、建国宣言の配信後も何ら変化は無く、職場と家を行き来する毎日を送っておられます。我々が直接危害を加えない限り、敵対することは考えられないでしょう。
具々 才華様と獣相 爪牙様は、西第三地区のスラム街で何でも屋、いわゆる傭兵家業をしているそうです。ニボンの政府が彼らを雇った場合、我々と敵対する可能性が考えられます。」
「そして、一番弟子である真道 月歩様は「探っていたのは貴様らか?」」
「「!!」」
玉座の入口付近の柱の裏から低い男の声が響く。
騎堅とトライトンは臨戦態勢に入り、柱の裏にいる男を推し量る。騎堅でさえ近距離にいても気付かないほど、男は気配を殺すのが上手かった。つまり、騎堅と実力が同等かそれ以上であることがわかる。
「無礼者め、玉座に入る際は、声を掛けてから入れ。何者だ、貴様は。」
「魔纏 金剛からは、何も聞いてないのか? 貴様らの先輩、いわゆる一番弟子の真道月歩本人だ。
」
見下すような笑みを浮かべながら月歩は語る。
騎堅は、焦っていた。脂汗が出るほどに。師範と同格の技量を持ち、肉体は神から愛されていると思わせるほどの剛健であると師範から聞かされている。そして、実際に見て感じたのだ、恐らく騎堅自身、誠やコウなどの他の門下生では勝てないことを。
「構えるな。俺が後輩に危害を加えるつもりは無い。俺の目的は唯一つ、金剛と死合うことのみ。貴様と会ったのは手段でしかない。」
「手段だと? 我と会うことがか?」
「そうとも。元々俺はニボンを荒らすつもりだった。そうすれば、金剛が俺を止めに来ると信じてな。ニボンの魔法少女庁の幹部を殺したり、魔法少女を崇拝するカルト宗教を潰したりした。次は、国家転覆をしようとした。が、それは貴様が今実行している。」
…我には理解できない。何故会うためにそのような悪行を重ねるのか。それに、師範は行方がわからない。突然いなくなったのだ。今も覚えている。誠もコウも皆、師範を探し回り、師範のいない道場で何ヶ月も待ち続けた。我々も何年も会っていない。
「師範が貴様を止めに来ないが、相手が我ならば師範は止めに来ると期待しているのか?」
「その通りだ。そのため此処に居座らせてもらう。勿論、邪魔はしない。だが、手は貸さぬ。」
「当たり前だ、この建国、この戦争は我の意思。貴様が介入したら、俺の意思だと伝わらぬ。」
月歩は満足したかのように騎堅たちに背を向け、玉座から出る。
騎堅は月歩の背を静かに見つめていた。
場面は変わり、キュリア 東第三地区の近くのチェーン店のカフェ。
そこで魔人に変装した誠、橘雪、飯伏暁歌、コウが集まっていた。集まった理由は、人魔共和国建国の件であった。
「悪いね、急に呼び出してしまって。好きなものを頼んでいいよ、奢るよ。」
「あっ、ありがとうございます。じゃあ、アイスカフェラテでお願いします。あ、バルカンの分も入れて2つで。」
飯伏暁歌は店員に注文を終え、今まで朗らかだった顔が険しくなる。空気が変わり、共和国建国と開戦に入ることがわかる。
「先程本部から連絡があり、Bランク1名、Cランク2名、Dランク3名で構成された先遣隊が壊滅したらしい。共和国側の被害はほぼ無いに等しいとのこと。Aランクの皆が対共和国のために派遣される。が、今はAランクは待機だって。」
「相手の戦力がわかってから、戦うってことですか?」
「そういうことらしい。本部では、Aランク間近のBランクで構成されたチームを向かわせているらしい。」
「それで、橘くんを呼んだ理由は、私たちと一緒に行動してほしいからさ。
今回の敵は、イレギュラーそのもの。魔人のほかに、魔法少女、そして、矛盾 騎堅という未知数の男。私はまだ死にたくないからね、ここは私と組んでくれないかい?」
飯伏暁歌の隣に座るコウも紙面で「私からも頼む。橘雪殿、バルカン殿。」と述べている。
この提案、私にとってとても嬉しいものであった。半強制的にAランクに上がり、危険な目に遭う可能性が今までより倍以上になる。同じAランクで3位の飯伏先輩と誠さんと同等の強さを持つひかりさんと組めたら、私も誠さんも死ぬことはない。
「ぜ、ぜひ!よろしくお願いします!私も死にたくないですから!」
「フフ、同じ思いで良かったよ。よろしくね、橘くん、バルカン殿。」
場所はまたまた変わり、西 第三地区のスラム街、寂れたBARに移る。
「今回の魔人討伐、誠に感謝でございますわ〜。
報酬は後日必ず振り込んでおきますわ!」
10歳ほどの幼く、どこか高貴な雰囲気を感じさせる所作をする少女は元気いっぱいに語る。お団子ヘアと冷徹な表情をした女性がその隣で佇んでいる。
その向かいで2人の男が座している。男らは、具々 才華 と 獣相 爪牙 であった。
「それで、御二方にまた依頼をしたいのですが…
人魔共和国建国と開国、その中央にいた御方、あの方は魔纏式護身術の門下生でありますよね?
討伐、とは言いません、一般市民の方々を守るために戦ってもらえませんか? 報酬は弾ませますので…。」
少女は、両手を合わせて上目遣いで二人の男に懇願する。
「それは無理だな、黒原のお嬢。」
そう述べるのは、魔物の頭蓋骨を被る男、具々 才華であった。
黒原、その苗字は、かつて魔法少女Aランク1位最長保持者、黒原 美玲 と同じであった。
「騎堅は、俺らと同門。俺ら2人で戦うならば、相打ち覚悟。俺らだってまだ死にたくはねぇのよ。」
具々 才華 はそう述べ、隣に座る 獣相 爪牙も同意見なのかウンウンと頷いている。
Bランクのチームによる共和国への攻撃、それにより、物語は加速することなる。




