1.酒場での話
城壁に囲まれた街一角には風変わりな店があった。
店の表には多くの人が通っていたが、その店には見向きもしない、その店の見た目は薄汚く、周りの店よりも暗く見向きもされないようだった。
多くの人々はそんな店にわざわざ行かなくとももっといいところはあるのだ。
しかしその男は違った、迷わず扉を開け店に入っていった。
中はバーのようだった。
店には意外にも数組入っていた。1人で酒を飲んでいるもの、4人ほどで集まり雑談を楽しんでいるものもいる。男はまっすぐカウンター席に座った。
そこにはバーテンダーの人がいた。
「ラルフ、今回はどこまでいった?ずいぶんと遅かったじゃねえか?」
「62層だ、あそこは数が多い 手こずったよ。あといつものを頼むよ じいさん」
じいさんど男は知り合いのようだった。
バーテンダーのじいさんコップを出しながら言った。
「ははっ、ソロでそこまで潜っとんのか、あそこは蟻系のところじゃないか。」
バーテンダーの人は続け様に言った。
「あそこはパーティー組んで行くところじゃと思っとったんだかのう?よく生きとったな」
話が盛り上がって来たようだった。
この世界の迷宮、いわゆるダンジョンと呼ばれるものは大陸中にあり様々な種類がある一般的には段々と下に降りていくものが多く最下層にはダンジョンボスと呼ばれる強いモンスターがダンジョンコアを守っていて
ボスを出せばダンジョンはしばらく何も出なくなる。
ラルフが潜っていたのは大陸の中心地にある有名なダンジョンでまだダンジョンボスが居る最下層まで到達しておらず発見されている中で一番下は85層だ。
このダンジョンは何しろ広く多くの人で賑わっていてダンジョンの周りに街が形成されていて今の形になっている。
またダンジョンの周りには都市ができてているのがほとんどでダンジョンが経済の中心になっている。
ダンジョン内は広く色々なモンスターが生息している。そのため役割分担をしたほうが効率が良くほとんどの人がパーティーを組んで行動している。
「いい加減パーティーを組んだほうがいいんじゃないか?」
「いや、一人のほうが自由にできる」
「まぁ、人それぞれぞれか…」
コップの中のものを飲み干し、ラルフは硬貨を机に置き、席を立ち、扉に向かった。
扉を出るときにじいさんが片付けているのを見て店を出た、もう外は暗く、人も少なくなっていた。
ラルフはまっすぐ借りている宿に向かい寝た




