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この気持ちを言葉にしたくない

作者: 竹出恋斗

『ねぇ、(けん)。話し聞いてよ』




現在は20時を少し過ぎた頃

俺こと琴葉 健(ことは けん)には眠るには早すぎるが何かをするにはちょっと躊躇ってしまう時間帯

いきなり着信音が鳴ったスマホの通話ボタンを押せば長年の幼なじみで3つ歳が違う立花 梨子(たちばな りこ)からの電話だった




『どうした?彼氏となんかあったか?』





俺は梨子から話し相手になったり相談やらをされてはアドバイスをしたりしている




『そうなの。アイツ家事とかしないくせに文句は言うんだよ…。もう別れようかなってなってる』




梨子は俺から見ても良い女だ

掃除好きではないがなるべく綺麗に保ちたいから掃除をしたり仕事から帰ってきたらすぐに飯にしたいと言う彼氏のために料理を用意したりと嫁にするならかなり優良物件だと思う




『文句を言われると嫌だよな。別れたいなら別れていいと思うけど未練はないのか?』


『好きより嫌いの方が多くなってしんどくなってるからたぶんもう無理かも…』


『そっか…。じゃあ別れた後のこと考えないとな。引っ越しはするのか?』


『そうだね…引っ越しは考えてて一応いいなってとこは目を付けてる』


『わかった。別れて手伝いが必要なら連絡くれ。予定空けとく』



『ありがとう〜。やっぱ健は頼りになるね』





通話を切ってため息が出た

優良物件ではあるが男運が悪いのかアイツに彼氏ができても1年くらいでこういう感じに別れてしまうから少し頭を痛めている




心配はしてるがもうアイツも25なんだから余計な事を言って拗れてしまってもめんどうだしなんとかしてきた実績があるから俺は見守っておこう



自分に彼女ができない事の方が深刻な気がするができないもんは仕方ない


そう割り切って俺は自分の予定を確認するのだった




『ねぇ、健。彼氏できたよ』



あの電話から1年が過ぎた

梨子は彼氏と別れて一人暮らしを始めてたまに遊んだり飯に行ったりとしていた

しかし忙しいのか4ヶ月くらい音沙汰がなかったので連絡を入れてみるかと思っていた時にメッセージが届いた



俺は『おめでとう。頑張ってたんだな』と送ってから横になって天井をなんとなく見つめた



めでたいはずなのだがよくわからないモヤモヤが心臓の辺りにでてきた



これで梨子に彼氏ができたのは5回目だ

その度によくわからないモヤモヤと虚無がくる




今の梨子の彼氏はすごく良いやつだった

一緒に料理や家事をして俺とも仲良くゲームしたり遊んだりして同棲しているアパートに男の俺をぜひ泊まってまた明日も3人で遊ぼうと言ってくれたりと今までマイナスだった運がこれでもかとプラスになった俺から見てもめちゃくちゃ良い彼氏だった



楽しかった泊まりを終えて家に帰るとどうして俺はもっと努力しなかったのか?と思ってしまった

意味がないことだ

過去に戻れたとしてもたぶん俺は自分の気持ちを伝えることはないだろう



なぜなら通話をしたり一緒に話す梨子はたまに言ってくるからだ

『健はうちの最高の友達だよ』って




俺も3、4回付き合ったことはあるが3ヶ月くらいで別れては連絡を取らずそのまま疎遠となってしまっている

もし梨子と付き合えたとしても今までと同じ3ヶ月くらいで別れた上に友達にも戻れなかったら俺はたぶん耐えられないだろう




俺は自分の気持ちに気付いていた

だけど言えるはずもなかった




もし叶うならお願いします神様

この気持ちを早く消してください

俺を最高の友達にしてください

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