underwater
「目覚めると、いつもと異なる場所にいた。しかし、その空間のことを私は知っていた。前にも似たような場所に潜んでいたことがあったからだ。ただ記憶と明らかに違うのは、そこが暗闇の世界ではなく、ぼんやりと明るく濁っており、まるで沼の底にいるかのような心地がするのだった。」
びんづめの手紙に込めた密やかな祈りが君に届いてほしい
水底に潜みし我の前に君がくれた蜜柑の甘酸っぱさよ
憧れと恋の狭間で拗らせて啜るラーメン葱大盛で
梅飴を口に含んだ三月に戻してと乞うくらい許して
白詰の花は触れると消える夢かもしれなくて見るだけにする
満開の桜に別れ告げたくはなかった 傍にいてほしかった
沼色の羊羹により舞い戻る沼の底から捧げる祈り
思い出の中のつつじはそのままの姿で今もいて春は行く
いつからか君を想うと苦しくて逃れた先の眠れない夜
目的は果たされたのにこれ以上何を望むことがあっただろう
いかないで傍にいてよと希う心の在りかを奏でる痛み
星のない夜は画面超しに君の歌声沁みておやすみなさい
本当は花なんてどうでもよくて探してたのは会いにいく理由
眠れない夜はやさしく触れていてほしい他には何もいらない
うまらない隙間を君にいつまでもうめられたくて始まるは夏
04-05/2024