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メスガキ害獣ドブネちゃん  作者: タマリリス
2/2

【第一話】猫削の根こそぎドブネ根絶

 依頼人である老人「石上いしがみ 三蔵さんぞう」は、猫削と共に、乗っ取られた自宅へ向かった。

 ボロい一軒家である。

「さっきのドブネ達を始末してくれてありがとうござんした。でも、まだまだウチの中にドブネがおるんですわ……やんなりますな」

「一匹でも残しておくとすぐ増えますからね。……根こそぎ狩りつくしますよ。その前に……家の隙間を塞ぎます」

 猫削はリュックからダクトテープを取り出すと、家の隙間を徹底的に塞いで回った。

 脚立を登り、屋根瓦の隙間を塞ごうとすると……

「ちゅう!」

 そう元気な声を出しながら、屋根瓦の隙間から幼体のドブネが顔を出した。

「ちゅいぃ~~!」

 ドブネは猫削へ笑顔を向けた。甘えようとしているらしい。

「……」

 猫削は、幼ドブネの顔面を素早く掴み、屋根瓦の隙間から引きずり出した。

「ちゅい!?ちぃーちぃーちぃー!」

 じたばたと暴れる幼ドブネ。だが、猫削は一切躊躇せず、手早く迅速に幼ドブネの首を360°ひねった。ぼきぼきと首が折れる感触が猫削の手に伝わってくる。

「ぴぎゅゆぅっっ!!ぶぎゅ……」

 幼ドブネは首がだらんと垂れて動かなくなった。猫削はそれを地面に捨てた。


「……隙間は全部塞ぎました。ずいぶん隙間だらけの家ですね……リフォームした方がいいのでは?」

「はは……金があればそうしたいんだけどねぇ……。畑がやられて、てんで駄目だぁ」

「なら、早く費用を貯められるように……さっさと根こそぎ片付けてしまいましょう」

 猫削は、家の玄関のすぐ前の地面に向かって手のひらを向けた。

変魂トランスピリット

 そう囁くと、玄関の前に光の粒子が集まり、対人地雷が設置された。

「はぇ~……。さっきはヘリコプターを出してたんで、てっきりヘリコプターの能力者だと思ってましたがね……そいつは地雷ですかい。えっと、猫削さんでしたっけ、あんたは何の変魂能力者なんです?」

「……俺は『軍隊』です」

「え?」

「しばらくの間、現場に近づかないで下さい。さもないと、流れ弾が当たってしまうかもなので」

「へ、へぇ……」

 石上は家から離れた。


 猫削は家に入ると、リュックから粘着シートを取り出し、玄関の前に設置した。

 そして、変魂能力によって出現させた鉄条網を、部屋と部屋の間の通路の出入り口へ仕掛けて回った。そうして家の中を歩いていると……

「ん?あんただれ?」

 成体のドブネがいた。成体とはいっても身長は140cmほど。人間でいえば小学5年生くらいの平均身長か。

「どぶねのおうちになにしにきたの?ごはんでもくれるの?」

 ドブネは猫削のほうへ近づいてくる。猫削は暗視ゴーグルを出現させて装着し、部屋の中を見回した。……暗視ゴーグルが、部屋の中の生物の体温を検知する。目の前にいる成体の他に、3匹ほど小さなドブネがいるようだ。

 猫削は、成体を無視して、部屋の出口へ粘着シートを仕掛けた。

「ねえちょっと!あんたきいてんの!?ねえ!」

 成体ドブネは猫削の肩をぐいぐいと引っ張った。すると猫削はアーミーナイフを手の平に出現させ、素早く成体ドブネの頸動脈を切り裂いた。

「あうっ!?……あ、ああ、あああ!!!!いたっ……いだいいぃぃっ!!!」

 成体ドブネはその場に昏倒し、真っ赤な粘っこい動脈血が噴出する首を手で押さえながら、脚をばたつかせた。

「いだいいいい!いい、いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ああ、ああっ……」

 だんだん体の動きが静かになってきた。猫削は、成体ドブネを蹴っ飛ばしてうつ伏せにさせると、後頭部へ力一杯アーミーナイフを突き刺し、さらにそれを思いっきり踏んづけ、深く差し込んだ。

「ぎゃぶっ」

 頸椎を切断された成体ドブネは即死した。

「ちぃ!!ちゅいいぃぃぃ!!!」

 幼ドブネ達の叫び声が部屋に響く。タンスの隙間の暗がりから、がさがさと幼体ドブネ三匹が姿を現し、部屋を脱出しようとした。……だが、そこには既にワナが仕掛けられていた。幼体ドブネ達の手足は、粘着シートにくっついた。

「ちゅいい!ちゅうぅぅ!!」

 幼体ドブネ達は、一生懸命粘着シートを体から引き剥がそうとしている。

「ちゅぅ……」

 だが、どれだけ力を込めて引っ張っても粘着シートはびよーんと伸び、体から離れない。諦めた幼体たちは力を抜く。すると、伸びていた粘着シートが弾性によってドブネ達の体を引っ張った。

「ぎぢぃ!?」

 幼ドブネ達は顔面から粘着シートにくっついた。

「ん゛ーーーー!!」

 顔面を粘着シートから引き剥がそうともがくが、一向に外れない。猫削はそんな幼ドブネ達を無視し、部屋から一歩出ると、幼ドブネが張り付いている粘着シートの上に鉄条網を出現させた。そして部屋から離れ、廊下を進んでいった。

「ッ……!ッ……」

 口も鼻も粘着シートによって塞がれた幼ドブネ達は、やがてびくびくと痙攣し、窒息死した。



 ……家の二階。

 とある部屋に、成体ドブネが三匹いた。家の中を探し回って集めた食材やお菓子が床に散らばっている。

「みんなおそいねー!おそとからいつかえってくるのかな?」

「うーん……きっと、ばんごはんいっぱいもってきてくれるんだよ!」

「そーだねー!」

「たのしみたのしみー!」

 きゃっきゃと笑うドブネ達。すると、一階の方から何かが聞こえてきた。

『あうっ!?……あ、ああ、あああ!!!!いたっ……いだいいぃぃっ!!!』

 成体のドブネの叫び声だ。明らかに尋常では無いようだ。

「えっ……なに?なんなの!?」

「だれかきた!?やばいやつ!?へんしつしゃ!?」

「……どーする?」

「……おそとにでよっか」

 そう言うと、一匹のドブネは窓を開けようとする。しかし、ダクトテープでぴったりと目張りされた窓は開かない。

「!?なんで!?あかない!」

「え!?ちょっとかして……ほんとだ!あかない!なんで!?べつのとこからでよう!」

 窓から脱出しようとする三匹は、他の部屋の窓も確かめに行った。だが、どれも目張りされており開かない。

「なんで……どうなってるの?どぶねたちのおうち、こわれちゃったの……?」

 焦る三匹。そこへ、一階の方からさらに声が聞こえてきた。

『いだいいいい!いい、いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ああ、ああっ……』

 ……成体ドブネの断末魔が止まった。

「……なに……なんなの……?」

「こわいよぉ……!」

 三匹の成体ドブネは、ぴったりとくっついて震えている。

 やがて、何者かが階段を上ってくる足音が聞こえてきた。

「あ、あわわ……く、くるよ!?どうする!?」

「……やっつけよう!」

 ドブネの一匹は、部屋の中から武器になるものを探した。ハサミがあった。それを拾い、階段の方へ向かうドブネ。残り二匹のうち一匹は物陰からその様子を覗いており、もう一匹はどこかの部屋に隠れた。

「あたしがあいてだー!へんたいめー!」

 そうしてハサミを持ったドブネは、階段を上ってきた侵入者に飛びかかった。


 ……その侵入者、猫削は……

 手の上にアサルトライフルを出現させ、その銃口を素早くドブネへ向けた。そして引き金を引き、フルオートで機銃掃射を浴びせた。連続した破裂音が鳴り響く。

「ぱぎゃうぅうぅぅうっ!?」

 ドブネはハサミと共に吹き飛び、壁へびたーんと張り付いた。大量の血飛沫が壁をびちゃっと汚した。


 その様子を物陰からこっそり見ていた、一匹の成体ドブネは……

「っ……ひっ……!」

 恐怖の表情で、声を殺して逃げ出した。そして、タンスに上って、部屋の天井に空いた穴へと飛び込んだ。屋根の裏に侵入して隠れたのである。

 屋根の裏では、おおよそ8匹の幼ドブネが寝息をたてて眠っていた。その中に混ざった成体ドブネは、頭を抱えて、震えながら必死に隠れた。


 もう一匹の成体ドブネは、部屋のタンスの中に隠れていた。必死に息を殺して、衣服の中に潜んでいる。いちど部屋の中に足音が侵入してきた。やがて、足音は部屋の中をごそごそと動き回ると、部屋の外へ去って行った。

「……もうだいじょーぶかな……」

 ドブネはタンスから出た。どうやら侵入者はもう部屋の中にいないようだ。

「いまのうちに、かいだんからおそとにでよう……!」

 そうして部屋から出ようとすると、出入り口に見たことの無い物体があった。銀色の細い繊維が、ぐるぐると絡み合ったものである。……いわゆる鉄条網である。

「なにこれ、じゃま……」

 ドブネは鉄条網を飛び越えて部屋の外に出ようとした。だが、鉄条網はドブネの服に食い込み、引っかかった。

「!?なによこれ!!じゃまっ……はずれない!!」

 必死に鉄条網を服から剥がそうとしてもがくドブネ。すると、その物音を聞きつけた侵入者の足音が、ドブネのいる部屋のほうへと引き返してきた。

「ひっ!!?く、くる!!ま、またかくれないと!!」

 ドブネは再びタンスに隠れるつもりのようだ。だが、モコモコのゴスロリ服は鉄条網に引っかかって外れない。やがて、猫削がドブネの前に姿を現した。

「あ、あ、あわわ……た、たすけて……おねがい!なんでもするから……!」

 ドブネは涙を流して命乞いをする。

「お、おにーさんに、ちゅーしてあげるからぁ……!んちゅー……!」

 そう言って口をすぼめるドブネ。すると猫削は、ドブネがすぼめた口へ、ライフルの銃口をつきつけた。そして引き金を引いた。火薬の破裂音が鳴り響く。

「がびゅぅっ!」

 ライフル弾がドブネの口を貫き、後頭部を貫通して血飛沫とともに飛び出した。脳幹を破壊されたドブネは地面に倒れ、手足をばたばたと震わせた。


「……い、いまだーーーっ!!!」

 天井の裏に隠れていた最後の一匹の成体ドブネが、現在猫削がいるのとは別の部屋の天井の板をべりっと剥がして、それを手に持ちながら隙間から飛び出した。

「ちゅいいいぃーーーっ!!!」

 続けて、先ほどまで眠っていた幼体ドブネ8匹のうち4匹が、成体ドブネの後を追って飛び出した。成体1匹と幼体4匹は、必死に階段を駆け下りた。やがて鉄条網が見えてきた。

「こんなの!えいっ!」

 成体ドブネは、鉄条網の上に天井の板を乗せて、その上をとんと踏んで飛び越えた。

「ちぃちぃー!」

 幼体ドブネ達は、小さな体によって鉄条網の隙間をくぐり抜けようとした。4匹のうち1匹は、鉄条網に体がひっかかった。

「ちゅい!ちゅい、ちぅぅ!!」

 残り3匹は、有刺鉄線のトゲで傷を負いながらも、見事に鉄条網の中をくぐりぬけ、成体とともに家の玄関のほうへ共に向かった。


 その頃猫削は、そいつらを追跡するのではなく、そいつらが飛び出してきた天井の隙間を見ていた。

 やがて猫削は手の上に発煙筒を数本出現させると、それを次々と天井裏に投げ込んでいった。


 天井裏で、穏やかに眠っている4匹の幼体ドブネ達。

「しゅぴぃ~…… しゅぴぃ~……」

 しかし、天井裏は徐々に発煙筒の煙で満たされていく。

「しゅぴー……!?げほごほ、ごほっ!!ちうぅ!?」

 煙を吸って咳き込んだ幼ドブネ達。ここにいると、どんどん煙を吸い込んで苦しくなることに気付いたようだ。

「ちぅうーーー!!」

 4匹の幼ドブネ達は、この苦しさから逃れるために、天井裏の隙間から飛び出した……!


 ……その下では、猫削が網を構えていた。

「ちうぅぅ!?」

 4匹の幼ドブネ達は、次々と自由落下して網の中へ飛び込んでいく。猫削は網を床に伏せた。

「ちぃちぃい!!!」

 網の中で暴れる幼ドブネ達。網から脱出しようとして、網を引っ張ったり噛みついたりしている。猫削は、そんな幼ドブネ達のうちの一匹を、思いっきり踏み潰した。

「びゅい!」

 幼ドブネの頭は叩き潰され、潰れたトマトのように血液をまき散らした。

「ぢゅーーーーーいぃいぃぃ!!!」

 即死した姉妹を見て驚く幼ドブネ達。恐怖におののき、必死に網から出ようとしている。だがもはや袋の鼠である。猫削は、残る3匹の幼ドブネの頭を、淡々と作業的に踏み潰していった。

「ぶぢぃ!!」

「ぴぎゅ!!」

「ぶきゅっ!!」

 猫削は、屋根裏からそれ以上ドブネが出てこないことを確認すると、ゆっくりと階段を降りていった。



「ぜぇ、はぁ、も、もうすぐおそとだよ、みんな!!」

 玄関へと駆けていく、1匹の成体ドブネと、3匹の幼ドブネ達。幼ドブネは、先行して玄関から脱出しようとした。

 ……しかし。

「ぢゅい!?ぢぅうぅ!!」

 なんと玄関の前には、粘着シートが仕掛けてあったのである。幼体3匹はシートにべっとりとくっついた。

「な、なにこれ!?こんなのいつのまに!」

 その様子を見て驚く成体ドブネ。幼体をためしに1匹引っ張ってみるが、まったく剥がれる気配がない。

 やがて、成体ドブネの後方から銃声が響いた。

「ぢゅい!」

 驚いて振り向く成体ドブネ。どうやら鉄条網に引っかかった1匹が猫削に撃ち殺されたようだ。

「あ、ああ、あいつが、くるぅ……!」

 震える成体ドブネは、玄関の方を向き直る。ゴールはもう目の前だ。だが、この粘着シートを踏みつけたら、自分も剥がれなくなってしまうかもしれない。

「……や、やだぁーーーーーーー!!!」

 そう叫んだ成体ドブネは、なんと粘着シートにくっついている幼ドブネ達を踏んづけて、その上を渡った。

「ぴぎゅ!」

「ぶぢゅ!!」

「ぱぎゅぅ!!」

 踏みつけられた幼ドブネは、次々と内臓破裂し、苦痛のあまり絶叫した。

「うぅ、ごめんねごめんね……!」

 成体ドブネは泣いている。今踏んづけたのは、彼女が産んだ子供だったのだから。

「でも!みんなのおかげで!わたしはたすかるんだよ!!みんなのことわすれないね!!!」

 もう玄関は目の前だ。

「これで!!!じゆーだあぁーーー!!」

 そう嬉しそうな声で叫んだ成体ドブネは、玄関からジャンプして飛び出した。

「ちゃくちっ!」

 そして、玄関の前の地面に着地した。……その瞬間。

 轟音が鳴り響いた。

「あぐぅぅっ!!?」

 成体ドブネは全身に衝撃を受けて、宙に浮いた。そして地面にぼとりと落下した。

「あ゛…… がっ……なん……でっ……」

 猫削が仕掛けた対人地雷が、成体ドブネの体を蜂の巣にしたのである。


 最後の一匹の死を見届けた猫削。

「……変魂、解除」

 そう言うと、猫削が家中に仕掛けた鉄条網は、光の粒となって消滅した。

「終わりましたよ、石上さん」

 猫削の言葉を聞いた石上が、物陰からひょこっと出てくる。

「も、もう終わったんですか」

「はい。一匹残らず片付けました。あとは害重共の死骸処理と、清掃をすれば完了です」

「あ、ありがとな……す、すっげーですわ……。して、料金はおいくらで?」

「……死骸処理と清掃をそっちでやってもらえるなら、いくらか安くなりますが」

「そうしやす!」


 あらかた始末がついた。

「それじゃあ、俺はこれで。またのご利用がないことを願っていますが……何かあったらまた」

 そう言い、猫削は名刺を差し出した。それを受け取る石上。

「……しかし、猫削さん。あんたの変魂能力、すごいっすね……。あっしの役立たずな漬物石とはぜんぜん違いますな」

 ため息をついて苦笑いする石上。

「あっしの変魂能力も、猫削さんみたいな強いのだったら、家も畑も自分で守れたんかな……」

「俺の能力は、最初からこんなじゃなかったですよ」

「へ?」

「俺が最初にできたのは、せいぜいヘルメット一個出すことくらいでしたから」

「そうなんすか……?」

「ドブネを狩る度に、力が成長して、こうなっていったんです」

 猫削は前方に手をかざすと、ヘリコプターを出現させた。

「もしかしたら。石上さんも自分の手でドブネを仕留めれば……強くなれるかもですよ」

「そうか……。最初から強かったらドブネと戦えるんじゃなく……。弱いうちからドブネと戦ってたから、強くなった、のか……。この力も捨てたモンじゃねえのかもなぁ……」

「そういうコトです」

「……いや、やっぱり無理だ、あっしには」

「何故?」

「……だってよぉ、ドブネはいくら憎たらしくたって……、見た目は人間の女の子そのものじゃねえか。そんなのを叩いたり殺したりなんて……。自分でやるとなると、可哀想だし……そんな残酷なこと、きっと無理だ」

「……」

「教えてくれ!アンタは、なぜ躊躇なくドブネを殺せる!?罪悪感や嫌悪感は湧かねえんですかい!?」

「……たとえば。アレがファンタジー作品に出てくるゴブリンのような姿をしていたら殺せますか?」

「ゴブリン?はて……あっしはそういうの見ないんで……」

「こういうやつです」

 猫削はスマホでゴブリンの画像検索をして見せる。

「これならまあ……」

「そうでしょう。だのに、ガワが美少女のモンになっただけで、途端に人々は態度を変える。やれ暴力反対だの、残酷行為をするなだの。何故そんなに美少女に擬態してるだけの害獣を護る必要がある?」

「……」

「おんなじだよ。ガワが何であろうと、悪しき化け物なんですから。人々はガワでなく、もっと本質を見るべきなんです」

「……」

「では」

 猫削を乗せたヘリは、空へ飛び立っていった。どんどん小さくなっていくシルエットを見つめる石上。


 やがて猫削のヘリは、アパートの屋上へ着地した。

「今日も一仕事片付いたな……」

 ヘリから降りる猫削。するとそこへ……

「ちょっと!!!!!猫削さん!!!!!」

 女性の大きな声が響いた。

「わあぁ!?」

 驚く猫削。彼の前に立っていたのは、アパートの大家の女性と、数名の住人だった。大家は猫削を睨みつけて、怒鳴った。

「何度も何度も!!!言ってるでしょ!!!!ヘリの音がうるさくってみんな迷惑してるって!!!!」

「そうだけど……仕事なもんで……。できるだけ静かにしてるんですよ?これでもね……」

「どこがだ!!!!うるせーんだよ!!!!」

「そうだそうだーーー!!」

 大家の声に同調する住人達。

「出て行けえええええええええええええええええ!!!!!!!!」

「なッ……!?」


 こうして猫削は、アパートを追い出されたのであった。



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