【第一話】猫削の根こそぎドブネ根絶
依頼人である老人「石上 三蔵」は、猫削と共に、乗っ取られた自宅へ向かった。
ボロい一軒家である。
「さっきのドブネ達を始末してくれてありがとうござんした。でも、まだまだウチの中にドブネがおるんですわ……やんなりますな」
「一匹でも残しておくとすぐ増えますからね。……根こそぎ狩りつくしますよ。その前に……家の隙間を塞ぎます」
猫削はリュックからダクトテープを取り出すと、家の隙間を徹底的に塞いで回った。
脚立を登り、屋根瓦の隙間を塞ごうとすると……
「ちゅう!」
そう元気な声を出しながら、屋根瓦の隙間から幼体のドブネが顔を出した。
「ちゅいぃ~~!」
ドブネは猫削へ笑顔を向けた。甘えようとしているらしい。
「……」
猫削は、幼ドブネの顔面を素早く掴み、屋根瓦の隙間から引きずり出した。
「ちゅい!?ちぃーちぃーちぃー!」
じたばたと暴れる幼ドブネ。だが、猫削は一切躊躇せず、手早く迅速に幼ドブネの首を360°ひねった。ぼきぼきと首が折れる感触が猫削の手に伝わってくる。
「ぴぎゅゆぅっっ!!ぶぎゅ……」
幼ドブネは首がだらんと垂れて動かなくなった。猫削はそれを地面に捨てた。
「……隙間は全部塞ぎました。ずいぶん隙間だらけの家ですね……リフォームした方がいいのでは?」
「はは……金があればそうしたいんだけどねぇ……。畑がやられて、てんで駄目だぁ」
「なら、早く費用を貯められるように……さっさと根こそぎ片付けてしまいましょう」
猫削は、家の玄関のすぐ前の地面に向かって手のひらを向けた。
「変魂」
そう囁くと、玄関の前に光の粒子が集まり、対人地雷が設置された。
「はぇ~……。さっきはヘリコプターを出してたんで、てっきりヘリコプターの能力者だと思ってましたがね……そいつは地雷ですかい。えっと、猫削さんでしたっけ、あんたは何の変魂能力者なんです?」
「……俺は『軍隊』です」
「え?」
「しばらくの間、現場に近づかないで下さい。さもないと、流れ弾が当たってしまうかもなので」
「へ、へぇ……」
石上は家から離れた。
猫削は家に入ると、リュックから粘着シートを取り出し、玄関の前に設置した。
そして、変魂能力によって出現させた鉄条網を、部屋と部屋の間の通路の出入り口へ仕掛けて回った。そうして家の中を歩いていると……
「ん?あんただれ?」
成体のドブネがいた。成体とはいっても身長は140cmほど。人間でいえば小学5年生くらいの平均身長か。
「どぶねのおうちになにしにきたの?ごはんでもくれるの?」
ドブネは猫削のほうへ近づいてくる。猫削は暗視ゴーグルを出現させて装着し、部屋の中を見回した。……暗視ゴーグルが、部屋の中の生物の体温を検知する。目の前にいる成体の他に、3匹ほど小さなドブネがいるようだ。
猫削は、成体を無視して、部屋の出口へ粘着シートを仕掛けた。
「ねえちょっと!あんたきいてんの!?ねえ!」
成体ドブネは猫削の肩をぐいぐいと引っ張った。すると猫削はアーミーナイフを手の平に出現させ、素早く成体ドブネの頸動脈を切り裂いた。
「あうっ!?……あ、ああ、あああ!!!!いたっ……いだいいぃぃっ!!!」
成体ドブネはその場に昏倒し、真っ赤な粘っこい動脈血が噴出する首を手で押さえながら、脚をばたつかせた。
「いだいいいい!いい、いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ああ、ああっ……」
だんだん体の動きが静かになってきた。猫削は、成体ドブネを蹴っ飛ばしてうつ伏せにさせると、後頭部へ力一杯アーミーナイフを突き刺し、さらにそれを思いっきり踏んづけ、深く差し込んだ。
「ぎゃぶっ」
頸椎を切断された成体ドブネは即死した。
「ちぃ!!ちゅいいぃぃぃ!!!」
幼ドブネ達の叫び声が部屋に響く。タンスの隙間の暗がりから、がさがさと幼体ドブネ三匹が姿を現し、部屋を脱出しようとした。……だが、そこには既にワナが仕掛けられていた。幼体ドブネ達の手足は、粘着シートにくっついた。
「ちゅいい!ちゅうぅぅ!!」
幼体ドブネ達は、一生懸命粘着シートを体から引き剥がそうとしている。
「ちゅぅ……」
だが、どれだけ力を込めて引っ張っても粘着シートはびよーんと伸び、体から離れない。諦めた幼体たちは力を抜く。すると、伸びていた粘着シートが弾性によってドブネ達の体を引っ張った。
「ぎぢぃ!?」
幼ドブネ達は顔面から粘着シートにくっついた。
「ん゛ーーーー!!」
顔面を粘着シートから引き剥がそうともがくが、一向に外れない。猫削はそんな幼ドブネ達を無視し、部屋から一歩出ると、幼ドブネが張り付いている粘着シートの上に鉄条網を出現させた。そして部屋から離れ、廊下を進んでいった。
「ッ……!ッ……」
口も鼻も粘着シートによって塞がれた幼ドブネ達は、やがてびくびくと痙攣し、窒息死した。
……家の二階。
とある部屋に、成体ドブネが三匹いた。家の中を探し回って集めた食材やお菓子が床に散らばっている。
「みんなおそいねー!おそとからいつかえってくるのかな?」
「うーん……きっと、ばんごはんいっぱいもってきてくれるんだよ!」
「そーだねー!」
「たのしみたのしみー!」
きゃっきゃと笑うドブネ達。すると、一階の方から何かが聞こえてきた。
『あうっ!?……あ、ああ、あああ!!!!いたっ……いだいいぃぃっ!!!』
成体のドブネの叫び声だ。明らかに尋常では無いようだ。
「えっ……なに?なんなの!?」
「だれかきた!?やばいやつ!?へんしつしゃ!?」
「……どーする?」
「……おそとにでよっか」
そう言うと、一匹のドブネは窓を開けようとする。しかし、ダクトテープでぴったりと目張りされた窓は開かない。
「!?なんで!?あかない!」
「え!?ちょっとかして……ほんとだ!あかない!なんで!?べつのとこからでよう!」
窓から脱出しようとする三匹は、他の部屋の窓も確かめに行った。だが、どれも目張りされており開かない。
「なんで……どうなってるの?どぶねたちのおうち、こわれちゃったの……?」
焦る三匹。そこへ、一階の方からさらに声が聞こえてきた。
『いだいいいい!いい、いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ああ、ああっ……』
……成体ドブネの断末魔が止まった。
「……なに……なんなの……?」
「こわいよぉ……!」
三匹の成体ドブネは、ぴったりとくっついて震えている。
やがて、何者かが階段を上ってくる足音が聞こえてきた。
「あ、あわわ……く、くるよ!?どうする!?」
「……やっつけよう!」
ドブネの一匹は、部屋の中から武器になるものを探した。ハサミがあった。それを拾い、階段の方へ向かうドブネ。残り二匹のうち一匹は物陰からその様子を覗いており、もう一匹はどこかの部屋に隠れた。
「あたしがあいてだー!へんたいめー!」
そうしてハサミを持ったドブネは、階段を上ってきた侵入者に飛びかかった。
……その侵入者、猫削は……
手の上にアサルトライフルを出現させ、その銃口を素早くドブネへ向けた。そして引き金を引き、フルオートで機銃掃射を浴びせた。連続した破裂音が鳴り響く。
「ぱぎゃうぅうぅぅうっ!?」
ドブネはハサミと共に吹き飛び、壁へびたーんと張り付いた。大量の血飛沫が壁をびちゃっと汚した。
その様子を物陰からこっそり見ていた、一匹の成体ドブネは……
「っ……ひっ……!」
恐怖の表情で、声を殺して逃げ出した。そして、タンスに上って、部屋の天井に空いた穴へと飛び込んだ。屋根の裏に侵入して隠れたのである。
屋根の裏では、おおよそ8匹の幼ドブネが寝息をたてて眠っていた。その中に混ざった成体ドブネは、頭を抱えて、震えながら必死に隠れた。
もう一匹の成体ドブネは、部屋のタンスの中に隠れていた。必死に息を殺して、衣服の中に潜んでいる。いちど部屋の中に足音が侵入してきた。やがて、足音は部屋の中をごそごそと動き回ると、部屋の外へ去って行った。
「……もうだいじょーぶかな……」
ドブネはタンスから出た。どうやら侵入者はもう部屋の中にいないようだ。
「いまのうちに、かいだんからおそとにでよう……!」
そうして部屋から出ようとすると、出入り口に見たことの無い物体があった。銀色の細い繊維が、ぐるぐると絡み合ったものである。……いわゆる鉄条網である。
「なにこれ、じゃま……」
ドブネは鉄条網を飛び越えて部屋の外に出ようとした。だが、鉄条網はドブネの服に食い込み、引っかかった。
「!?なによこれ!!じゃまっ……はずれない!!」
必死に鉄条網を服から剥がそうとしてもがくドブネ。すると、その物音を聞きつけた侵入者の足音が、ドブネのいる部屋のほうへと引き返してきた。
「ひっ!!?く、くる!!ま、またかくれないと!!」
ドブネは再びタンスに隠れるつもりのようだ。だが、モコモコのゴスロリ服は鉄条網に引っかかって外れない。やがて、猫削がドブネの前に姿を現した。
「あ、あ、あわわ……た、たすけて……おねがい!なんでもするから……!」
ドブネは涙を流して命乞いをする。
「お、おにーさんに、ちゅーしてあげるからぁ……!んちゅー……!」
そう言って口をすぼめるドブネ。すると猫削は、ドブネがすぼめた口へ、ライフルの銃口をつきつけた。そして引き金を引いた。火薬の破裂音が鳴り響く。
「がびゅぅっ!」
ライフル弾がドブネの口を貫き、後頭部を貫通して血飛沫とともに飛び出した。脳幹を破壊されたドブネは地面に倒れ、手足をばたばたと震わせた。
「……い、いまだーーーっ!!!」
天井の裏に隠れていた最後の一匹の成体ドブネが、現在猫削がいるのとは別の部屋の天井の板をべりっと剥がして、それを手に持ちながら隙間から飛び出した。
「ちゅいいいぃーーーっ!!!」
続けて、先ほどまで眠っていた幼体ドブネ8匹のうち4匹が、成体ドブネの後を追って飛び出した。成体1匹と幼体4匹は、必死に階段を駆け下りた。やがて鉄条網が見えてきた。
「こんなの!えいっ!」
成体ドブネは、鉄条網の上に天井の板を乗せて、その上をとんと踏んで飛び越えた。
「ちぃちぃー!」
幼体ドブネ達は、小さな体によって鉄条網の隙間をくぐり抜けようとした。4匹のうち1匹は、鉄条網に体がひっかかった。
「ちゅい!ちゅい、ちぅぅ!!」
残り3匹は、有刺鉄線のトゲで傷を負いながらも、見事に鉄条網の中をくぐりぬけ、成体とともに家の玄関のほうへ共に向かった。
その頃猫削は、そいつらを追跡するのではなく、そいつらが飛び出してきた天井の隙間を見ていた。
やがて猫削は手の上に発煙筒を数本出現させると、それを次々と天井裏に投げ込んでいった。
天井裏で、穏やかに眠っている4匹の幼体ドブネ達。
「しゅぴぃ~…… しゅぴぃ~……」
しかし、天井裏は徐々に発煙筒の煙で満たされていく。
「しゅぴー……!?げほごほ、ごほっ!!ちうぅ!?」
煙を吸って咳き込んだ幼ドブネ達。ここにいると、どんどん煙を吸い込んで苦しくなることに気付いたようだ。
「ちぅうーーー!!」
4匹の幼ドブネ達は、この苦しさから逃れるために、天井裏の隙間から飛び出した……!
……その下では、猫削が網を構えていた。
「ちうぅぅ!?」
4匹の幼ドブネ達は、次々と自由落下して網の中へ飛び込んでいく。猫削は網を床に伏せた。
「ちぃちぃい!!!」
網の中で暴れる幼ドブネ達。網から脱出しようとして、網を引っ張ったり噛みついたりしている。猫削は、そんな幼ドブネ達のうちの一匹を、思いっきり踏み潰した。
「びゅい!」
幼ドブネの頭は叩き潰され、潰れたトマトのように血液をまき散らした。
「ぢゅーーーーーいぃいぃぃ!!!」
即死した姉妹を見て驚く幼ドブネ達。恐怖におののき、必死に網から出ようとしている。だがもはや袋の鼠である。猫削は、残る3匹の幼ドブネの頭を、淡々と作業的に踏み潰していった。
「ぶぢぃ!!」
「ぴぎゅ!!」
「ぶきゅっ!!」
猫削は、屋根裏からそれ以上ドブネが出てこないことを確認すると、ゆっくりと階段を降りていった。
「ぜぇ、はぁ、も、もうすぐおそとだよ、みんな!!」
玄関へと駆けていく、1匹の成体ドブネと、3匹の幼ドブネ達。幼ドブネは、先行して玄関から脱出しようとした。
……しかし。
「ぢゅい!?ぢぅうぅ!!」
なんと玄関の前には、粘着シートが仕掛けてあったのである。幼体3匹はシートにべっとりとくっついた。
「な、なにこれ!?こんなのいつのまに!」
その様子を見て驚く成体ドブネ。幼体をためしに1匹引っ張ってみるが、まったく剥がれる気配がない。
やがて、成体ドブネの後方から銃声が響いた。
「ぢゅい!」
驚いて振り向く成体ドブネ。どうやら鉄条網に引っかかった1匹が猫削に撃ち殺されたようだ。
「あ、ああ、あいつが、くるぅ……!」
震える成体ドブネは、玄関の方を向き直る。ゴールはもう目の前だ。だが、この粘着シートを踏みつけたら、自分も剥がれなくなってしまうかもしれない。
「……や、やだぁーーーーーーー!!!」
そう叫んだ成体ドブネは、なんと粘着シートにくっついている幼ドブネ達を踏んづけて、その上を渡った。
「ぴぎゅ!」
「ぶぢゅ!!」
「ぱぎゅぅ!!」
踏みつけられた幼ドブネは、次々と内臓破裂し、苦痛のあまり絶叫した。
「うぅ、ごめんねごめんね……!」
成体ドブネは泣いている。今踏んづけたのは、彼女が産んだ子供だったのだから。
「でも!みんなのおかげで!わたしはたすかるんだよ!!みんなのことわすれないね!!!」
もう玄関は目の前だ。
「これで!!!じゆーだあぁーーー!!」
そう嬉しそうな声で叫んだ成体ドブネは、玄関からジャンプして飛び出した。
「ちゃくちっ!」
そして、玄関の前の地面に着地した。……その瞬間。
轟音が鳴り響いた。
「あぐぅぅっ!!?」
成体ドブネは全身に衝撃を受けて、宙に浮いた。そして地面にぼとりと落下した。
「あ゛…… がっ……なん……でっ……」
猫削が仕掛けた対人地雷が、成体ドブネの体を蜂の巣にしたのである。
最後の一匹の死を見届けた猫削。
「……変魂、解除」
そう言うと、猫削が家中に仕掛けた鉄条網は、光の粒となって消滅した。
「終わりましたよ、石上さん」
猫削の言葉を聞いた石上が、物陰からひょこっと出てくる。
「も、もう終わったんですか」
「はい。一匹残らず片付けました。あとは害重共の死骸処理と、清掃をすれば完了です」
「あ、ありがとな……す、すっげーですわ……。して、料金はおいくらで?」
「……死骸処理と清掃をそっちでやってもらえるなら、いくらか安くなりますが」
「そうしやす!」
あらかた始末がついた。
「それじゃあ、俺はこれで。またのご利用がないことを願っていますが……何かあったらまた」
そう言い、猫削は名刺を差し出した。それを受け取る石上。
「……しかし、猫削さん。あんたの変魂能力、すごいっすね……。あっしの役立たずな漬物石とはぜんぜん違いますな」
ため息をついて苦笑いする石上。
「あっしの変魂能力も、猫削さんみたいな強いのだったら、家も畑も自分で守れたんかな……」
「俺の能力は、最初からこんなじゃなかったですよ」
「へ?」
「俺が最初にできたのは、せいぜいヘルメット一個出すことくらいでしたから」
「そうなんすか……?」
「ドブネを狩る度に、力が成長して、こうなっていったんです」
猫削は前方に手をかざすと、ヘリコプターを出現させた。
「もしかしたら。石上さんも自分の手でドブネを仕留めれば……強くなれるかもですよ」
「そうか……。最初から強かったらドブネと戦えるんじゃなく……。弱いうちからドブネと戦ってたから、強くなった、のか……。この力も捨てたモンじゃねえのかもなぁ……」
「そういうコトです」
「……いや、やっぱり無理だ、あっしには」
「何故?」
「……だってよぉ、ドブネはいくら憎たらしくたって……、見た目は人間の女の子そのものじゃねえか。そんなのを叩いたり殺したりなんて……。自分でやるとなると、可哀想だし……そんな残酷なこと、きっと無理だ」
「……」
「教えてくれ!アンタは、なぜ躊躇なくドブネを殺せる!?罪悪感や嫌悪感は湧かねえんですかい!?」
「……たとえば。アレがファンタジー作品に出てくるゴブリンのような姿をしていたら殺せますか?」
「ゴブリン?はて……あっしはそういうの見ないんで……」
「こういうやつです」
猫削はスマホでゴブリンの画像検索をして見せる。
「これならまあ……」
「そうでしょう。だのに、ガワが美少女のモンになっただけで、途端に人々は態度を変える。やれ暴力反対だの、残酷行為をするなだの。何故そんなに美少女に擬態してるだけの害獣を護る必要がある?」
「……」
「おんなじだよ。ガワが何であろうと、悪しき化け物なんですから。人々はガワでなく、もっと本質を見るべきなんです」
「……」
「では」
猫削を乗せたヘリは、空へ飛び立っていった。どんどん小さくなっていくシルエットを見つめる石上。
やがて猫削のヘリは、アパートの屋上へ着地した。
「今日も一仕事片付いたな……」
ヘリから降りる猫削。するとそこへ……
「ちょっと!!!!!猫削さん!!!!!」
女性の大きな声が響いた。
「わあぁ!?」
驚く猫削。彼の前に立っていたのは、アパートの大家の女性と、数名の住人だった。大家は猫削を睨みつけて、怒鳴った。
「何度も何度も!!!言ってるでしょ!!!!ヘリの音がうるさくってみんな迷惑してるって!!!!」
「そうだけど……仕事なもんで……。できるだけ静かにしてるんですよ?これでもね……」
「どこがだ!!!!うるせーんだよ!!!!」
「そうだそうだーーー!!」
大家の声に同調する住人達。
「出て行けえええええええええええええええええ!!!!!!!!」
「なッ……!?」
こうして猫削は、アパートを追い出されたのであった。