下手な気遣いは相手を傷つける。
夜の2本目!最近のラノベの勢い凄いよね。個人的にもこれみたいなのが好きかな。
「それは・・・」
ヤメテ!そんなうるうるした目で僕を見ないで!断りずらくなっちゃう!・・まあ断る気は元から無いけど。
僕はすっと王様に目配せする。
「だから言ったろうに。わかった。席を外そう。しかしそういうことはもう少し大人になってから。よいな?」
「?」
「はい、わかってます。お父様。」
ちょっとーそこ2人で何会話してるのー?気になるんだけどー?
っとまあ、王様が席を外してカエデ様と二人きりになった。王様に聞かれたくない話ってなんだろうね?こういうのは本人に聞くのが一番だ。
「カエデさM..」
「透夜さん!」
「はい。どうしましたか?」
「あなたは今、苦しいですか?寂しいですか?不安ですか?」
「・・・・・・・」
僕は少し俯いた。
言えない。全てを語って、それであんなふうに泣いてくれたカエデ様に、まだ幼馴染に未練があるだなんて。絶対に・・・。
だから顔を上げてニコッと微笑んだ。
「寂しくもありませんし苦しくもありませんよ。確かに幼馴染の件は悲しかったですが、それがあったからこそあなたに出会えたのですから。」
こう返しておけば。きっと向こうも気を遣わずに済む。そうだ。未練なんてない。未練なんて・・・
パァンッッッ!!!
「・・・・・へ?」
「っ!!ふ、ふざけないでください!あなたが今どれだけ苦しそうな顔をしてるか分かってるんですか!気を遣うとか、そういうのは考えないでください!なんで頼ってくれないのですか!なんで甘えてくれないんでずがぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!う゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ん゛!!!!!」
叩かれて、泣かれて、甘えろと言われ、どうすればいいか分からなかった。僕がオロオロとしていたらカエデ様も泣き止んだ。
「ど、どうしたらいいですか?」
「抱きしめなさい!力一杯!」
「それは・・・?」
「文句ありますか?」
「いいえ。」
カエデ様がご所望なので力強く抱きしめた。人の温もりを感じて少し暖かくなった。
「ありがとうっ、、ございます。」
心にぽっかり空いていた穴が少し埋まったような気がした。
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ところでですね、カエデ様これいつまでしてればいいですか?こちらとしては非常に暖かくて、心も安らぐのですが、多少冷静になりまして少し気まずいと言いますか、恥ずかしいと言いますか。
「なら、私をお姫様抱っこで連れていってください。」
「それは・・・」
「何か文句でも?」
「承知致しました。」
デジャヴだ。しかも気づいた。いや、気づいてしまったという方が正しいのかもしれない。口でカエデ様には一生勝てない。あと何千年生きようと永遠に敵うことはないだろう。
現在進行形でカエデ様は腕に抱きついているので膝裏に腕を伸ばさなければならない。
「失礼します。」
するっと手を入れ、ひょいと持ち上げた。・・・軽い。これだけの質量があるのに何故こんなに軽いんだ?(なんの質量かはご想像にお任せします)
「軽いですね。ちゃんとご飯食べてます?」
「食べてます。少なくともショックのあまり2〜3日何も食べてないあなたよりかは。」
おっと、この話は掘り下げない方が良さそうだ。
そんなことを考えていたら曲がり角から王様が出てきた。
「お、透夜じゃないか。なにを・・・邪魔したな。」
「?」
「そう思うならはやく向こうへ行ってください。お父様。」
父と娘の間には結構大きな壁があるのだった。
次の投稿はいつになるんでしょうか。それは私の気まぐれによって決まることでしょう。