崩壊の始まり ※陽菜視点
見たくない人は見なくていいよ!
私には彼氏がいる。少しあどけなさを残してだけど大人っぽい雰囲気もする白神くん。少し私を大切にしすぎるあまり、ヘタレなところもある。だからなのかな。私は逃げた。クラスの友達がデートの練習してあげるよって声をかけてくれたからそれに乗った。最初は抵抗してたキスもそういった行為も最近は会う毎にしてる気がする。それでも、1番は白神くんだった。
最近、白神くんがバイトを始めた。買いたいものがあるっていってた。ちょっと心配してた。他の女の子に捕まらないかなって。
今思えば身勝手だった。自分は浮気まがい。いや、それ以上のことをやってるのに。
でも、その時の私は好都合だと思った。クラスの男子に会える時間が増えるって喜んでた。
白神くんがバイトに勤しんでいる間、何度もその人とキスをして、体を重ねた。獣のように行為を繰り返した。その人は私に彼氏がいるってことに興奮を覚えているんだそうだ。私もその事実にゾクゾクして楽しかった。
今日は珍しくデパートでデートするらしい。デートらしいことは最近してなかったからかな?確かにデートの練習が建前だった。
私は我慢できずに人通りの少ないところでキスをした。舌を絡めて、音を鳴らして、愛をささやきあった。近くのビジネスホテルに入って1時間弱行為に及んだ。その場で解散して帰った時、ポストに何かを投函している白神くんを見つけた。
何を入れたのか聞きたかったけど、明日になったらって言われたから今日の深夜、見てみよう。
手紙に書かれていたのは私との別れの文だった。分かっていた。全部私が悪いっていうこと。ウキウキしていたのが嘘みたいに、今は心が沈んでいる。きっとデパートで何か買っていたのかな。
ラインが入った。なんだろう。白神くんだった。
『少し早いけど誕生日おめでとう。』
そうだ、誕生日プレゼントを買いに行ったのだろう。それで私のあの姿を見られてしまった。
謝りに行きたくても、私にそんな権利なんてない。あの人の純粋な愛情を、踏みにじったのは私だから。
後悔しても遅かった。それでも私は泣いて、泣いて、泣いた。1番苦しいのは白神くんなのに。
寝落ちしていた。隣の家からの救急車とパトカーのサイレンで目が覚めた。寝ぼけていたのだろう。隣の家の玄関を開けて「どうしたんですか!?」って叫んだ。
「陽菜?」
クラスの男子もいた。近所だし、気になったのだろう。しかし、そんなことは気にもとめず倒れている人影が目に入る。そこには
「ああ、ああああああ、ああああああああ」
大好きだった白神くんがいた。左胸に包丁が刺さって白い彼岸花を握っている。嘘だと言って欲しかった。いつもの彼みたいに微笑んで話しかけて欲しい。、、私が?裏切った私が?
「、、、すみません」
警「?どうした?」
「私が悪いんです。、、、全部。」
「、、?何言ってるんだ?陽菜?」
「うるさいよ!黙っててよ!なんでぇ。なんでなのぉ!!!嫌だよ!起きてよとぉやぁぁぁあ!」
本当に後悔してももう遅かった。謝りたい。笑いかけて欲しい。頭を撫でて抱きしめて欲しい。そう思っていた最愛の彼はもう居ないのに。
『また、会える日まで』