学園都市
お久し…
「ここが学園都市・・・なんというかとても綺麗です·····あ!トーヤ!あそこに串焼きの屋台がありますよ!買いに行きましょう!!」
王都から学園都市までの距離はそこまで遠くなく、半日もかからないうちに着いたので今現在ちょうどお昼時である。
「うん、お腹も減ったしね。」
透矢は首肯する。実は透矢も涼しい顔をしながらもカエデの猛攻に耐えるのに必死であったため結構空腹だったりする。お互いに攻めには弱いのだ。
「すみません。彼女の分と合わせて2本ください。」
「あいよ。銅貨3枚だ······ちょうど頂くよ。ほら、持ってきな。」
「ありがとうございます。」
二人は1本ずつ受け取り、近くのベンチで軽く休憩しつつ串焼きの肉を食べる。
「ふふ、こういうのってデートみたいでいいですね。」
「うーん、実はそうなんだよね。僕達ってまあ···婚約者でしょ?」
「ええ。」
「だからデートとかまだあまり···というかしてないんだよね。だからちょっと申し訳ないというか······」
そう、透矢はデートに連れてくくらいできない甲斐性なしと思われ、捨てられるのを不安に思っているのだ。無論、そんなことをカエデがするわけないのだが。
「はあ、そんなことでしたら···今回みたいに2人でただ寄り添って想いを合わせているだけで私にとってはデートみたいなものですよ?」
「それじゃあ毎日がデートになっちゃわない?」
「まあ····毎日がデートでもまた一興、ということで。」
そんなふうにイチャイチャしながら独身の嫉妬を駆り立てまくる二人は日が少し傾き出した頃に宿を探しに行った。もちろん、それまではずっとそこでイチャイチャしていたとのことである。(by通りすがりの王様)
現在、二人は街の1番の大通りで宿を探している。
透矢が何かを感じてふと目をやると、そこには『宿屋 大翼亭』と書いてあった。
「カエデ、あそこにしない?」
「確かに、外装は整ってるし外のお花も綺麗。ここにしましょう、トーヤ。」
カエデの合意を確認したら、透矢はカエデの手を取り歩き出していく。
「いらっしゃい。」
中に入ると恰幅のいい女性が出迎えてくれた。
「3日間お願いできますか?」
「3日間だね?二人とも、貴族学院の入学式じゃないのかい?育ちも良さそうだし、何より賢そうだ。きっとふたりの治める領地ならおばさんもきっとよく働けそうだねぇ。」
ハッハッハ、と声を上げて笑いながら作業を進めるあたりこの人の人柄が分かってくる。
「ごめんねぇ、ちょっと部屋が一部屋しか空いてないんだ。部屋番号は215の角部屋だけど大丈夫かい?」
「「大丈夫です。」」
「ありがとうね。それじゃこれ、鍵ね。外に出かける時は預けることも出来るからね。4日目に鍵を返却してくれればいいからね。」
「分かりました。ありがとうございます。それでは。」
「お受験頑張ってね〜!」
二人は先程の女性の丁寧さに感動を覚えつつ215の部屋に向かうのだった。
「「綺麗〜!!」」
内装はさすがに王城の方が華美で綺麗だが、こちらは機能美と言うべきか小綺麗感があるのである。
「あ、カエデ、ベッドはもちろん別々だよね?2個あるもんねベッド。」
「何を言っているのトーヤ?そんなのもちろん·····」
「·······」
「同じに決まってるじゃありませんか〜!」
今夜、透矢は何とは言わないが恐ろしく強くて、そして絶対に勝てない戦いが繰り広げられるのであった。




