始まり、そして終わり
こういう系は筆が進みそう、、、
なんで、こんなことになったんだろう。
******************
僕の名前は、白神 透夜。高校二年生、青春真っ盛り。
そんな僕には彼女がいた。赤石 陽菜、昔からの幼馴染だ。保育園の頃からずっと一緒で家も近所だったから家族ぐるみで出かけることも多かった。中学三年生のとき、桜の下で告白した。
「私も好きでした。こちらこそお願いします。」
って泣きながら応えてくれた。
それから3年くらい経って、将来を意識し始めた。僕は陽菜と離れたくなんてないし、離したくない。だから、バイトを頑張って少しずつだけど貯金してる。今度の陽菜の誕生日プレゼントだって、指輪だって、贈りたいものがたくさんある。陽菜も、学校が終わったら毎日、
「バイト頑張ってね!」
って励ましてくれる。たまにこそっと、
「大好きだよ。」
って言ってくれるから心臓に悪い。
ある日のバイト終わり、給料日の上に今日は店長が本社の方に呼ばれているから早く上がった。
目標額を達成したから、来週の陽菜の誕生日プレゼントを買って帰ろうかな。
陽菜は僕とは違ってオシャレが大好きだ。理由を聞いたら、
「白神くんに可愛い姿を見て欲しいから。」
って言われてしまうものだから嬉しかったけど恥ずかしかった。
オシャレが好きでも、アクセサリー類は僕が去年あげた腕輪しかつけてなかった。気に入ってくれているのなら嬉しいな。
今年はネックレスをあげよう。白い肌に似合う綺麗なネックレスを。値段は少し張るけれど、このために貯めてきたんだ。出し惜しみはしない。
「包装をお願いしていいですか?」
「ええ、もちろんです。彼女さんにプレゼントですか?」
「はい。そうなんです。」
レジの店員さんは「頑張ってくださいね!」と応援してくれた。来週までは勉強机の1番下、鍵付きの空の段を使おう。
「ひな〜。まだ彼氏と別れないの?」
「ごめんね。将来のこと考えたらあっち本命にしたくて、、、でも好きだよ!」
「おい、、こんな所で、、キスすんなよ!見られたらどうすんの?」
後ろの方で話し声がする。3年くらい付き合っててもそういった行為は疎か、キスすらもしていない。陽菜から望んでくれるまで、それまで待とうかなって思っている。陽菜はきっとこんな人々の往来のある所ではねだらないだろうな。きっとロマンチックに夕日の沈む海岸線とかでするんだろう。
「ふふ、もっと家では大胆な癖に、、、」
「それは言うなよ。彼氏はまだキスすらしてくれないの?」
「そうなの。透夜ったらハグまではしてくれるのに、キスはしてくれないんだよ?ヘタレだから。」
僕は走った。吐き気が込み上げてくるのも無視して、全力で、逃げるように走った。膝が震えても、息が切れて酸欠になっても、ずっと走った。
公園のベンチに座った僕は笑っていた。
「はは、は、ははは。結局、だめだったんだ。はは、ははは、、ははは、ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは。」
怒りよりも、悲しみよりも、絶望が込み上げてくる。
「全部、無駄だったんだ。これまでの思い出も、バイトも、告白の言葉も、、ははっ。」
周囲は夕焼けに染まっているが、山の向こうは少しずつ暗くなっていく。
「はは、、手紙書こ。」
それは陽菜に向けた手紙だった。
『陽菜へ
僕は君が大好きでした。何よりも、大好きでした。君もそうだと思っていました。でも違いました。君には別の男の人がいて、都合のいいだけの人でした。何が悪かったかな?どこで間違えたのかな?そう思えば思うほど、涙が止まりません。僕はどこか遠くへ行こうと思います。また、会えたら、どこかで逢えたら、また幼馴染としてやり直せますか?君とは人間として仲良くしたいです。決して恋人には戻れなくても。
君とすごした3年間は本当に楽しかったです。ありがとう。』
それを陽菜の家のポストに投函したら、陽菜とすれ違った。
「白神くん、、それって、、「明日になったら見ていいよ!」」
「、、、うん。」
口の前に指を立てて、精一杯笑顔でいった。決別であり、決意であった。
翌日、白神 透夜は遺体で発見された。