1話 呆気ない死
初めて現代ファンタジー系を書くのでやさしく見守って下さい。 ン
「材料はこれで良し」
僕、大城悠里は夕食の材料を買い終え、店を出た。
「もうこんなに暗くなってきたのか」
時計は17時ちょっとを過ぎたくらいだが、周りはすでに暗闇に包まれていた。
「早く家に帰ろう」
急ぎ足で青になった信号機を確認して横断歩道を渡った。
―――――はずだった
ガンッ!!
突如大きな音がなった。その直後、僕の身体は身動き一つ出来なくなった。
(あれ、身体が熱い?)
彼の身体からは溢れ出るかのように血が雪へと染みわたっていた。
(頭もずきずきするし身体の至る所が痛い……もしかして死ぬのか?)
そう考えて確実に死が迫っているときだった。
『キミは生きたいかい?』
突然、頭に直接響くかのような声が聞こえた。
『もう一度聞こう。キミは生きたいかい?』
―――生きたい。だけど僕はもうじき死ぬんだ。
『確かにキミはこのままだと意識が途絶え、自我が消滅し、この世界から消えるだろう』
―――消える?それは存在が消えると言うこと?
『半分正解で半分不正解だ。正確に言うと魂に記憶されているキミと言う存在は消え、新たなキミと言う存在を構築し、次の生を辿ることになる。』
―――そうなのか……急に話を変えるけど、生きたいと言えば僕は死ななくていいの?
『それは違う。キミの死はいくつかの不確定要素があるが、死は死だ。この理屈は変えることが出来ない絶対なる世界の理さ。』
―――ならどうして生きたいか聞いたんだ?
『さっきも話したが、キミと言う存在は魂から消え、世界からも消える。それはつまり、真っ白の魂にし、新たな生を歩むことになる。簡単に言うと輪廻転生だ。しかしワタシは、キミの魂をそのまま転生させよう。』
―――転生………でもどうしてそんなことをしてくれるんだ?
『確かに神が輪廻転生に介入すると輪廻を歪ませてしまうだろう。だけどワタシもそれどころじゃなくてね。』
―――それどころじゃない?
『そうさ、ワタシは神だからね。ワタシの信徒がいなければワタシと言う存在は消える。そこでキミに白羽の矢が立ったのさ。』
―――僕が………?
『そうさ。キミが生きたいのならワタシが転生させよう。代わりに、ワタシの信徒になって欲しい。』
(なんだろうか。このとても心躍る気持ちは………そうか、僕は二度目の人生を生きてみたいのか。なら・・・・・・)
―――生きたい。僕は新たな生だろうと生きてみたい。
『いいの!ならここで契りを交わそう』
―――契り…?
『契約のことだ』
―――分かった
『ふぅ……我、宵闇神ルナは汝、オオシロユウリに新たな生を与える。汝、オオシロユウリは我、宵闇神ルナの信徒となる。これにて契りは交わされたり』
―――か――ま―!?
『もう魂の限界が来たのか。』
―――げ――界?
『契りは交わされたから、安心して身を任せるんだ』
(何を…言って、るんだ)
こうして彼、大城悠里の16年の人生は幕を下ろした。
『フフ、ボクの可愛い信徒ちゃん。頑張ってボクを楽しませてくれよ』
月の光に包まれた薄暗い空間で、彼女はそう呟いた。
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