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エピローグ

あの男との遭遇後に転生したが、記憶を取り戻すまでに数度転生したらしく、菊理としての記憶を取り戻した時ちょっと朧気だった。

 忘れる訳には行かないので、宝物庫から紙と筆記用具を取り出して、覚えている事を全て書き出し、記録として残した。

 この記録は――どこかの世界で再会出来たらが付くが――自分と同じ旅をするパーティメンバーである九人にも伝える。

 実は他のメンバーも『男に関して情報がない。どうする?』と言った状態なのだ。

 今回得た情報を教えた時、何を思うのだろうか。

 理想は『知っている』だが、何となく知らない気がする。

 ともあれ、最優先でやらなければならない事はやった。筆記用具と紙を宝物庫に仕舞い、立ち上がる。

 軽く伸びをし、潮騒を聞きながら空を見上げる。茜色に染まった空は夕刻が近い事を示していた。

 このあとも色々と行動する必要が有るのならば、野宿の準備か宿を探すのだが、自分は行わない。

 現在いる転生した世界は、所謂『遠未来』の世界だった。魔法は存在しないが、科学技術が魔法のように進歩している。

 そんな世界でも、自分は家族に捨てられた。

 諸悪の根源は愛人を作った父親に有るんだけどね。母親も裏切られたからって、普段から嫌っている娘に無理心中を迫らなくても良いと思う。

 ため息を零しながら、服装を見る。薄緑色のワンピースは血を吸って黒ずんでいる。母親に頸動脈を切られたからだ。

 目が覚め、記憶を取り戻した事に気付いて速攻で移動したから良いが、あのままあそこにいたらどうなっていたか。父親の許に連れ戻しは確定だろうね。それを避ける為に移動したってのも有るが、真横で横たわる母の傍からも離れたかった。狂気に満ちた死顔を見て、恐怖で思わず悲鳴を上げそうになった。

 現在いる場所は、海辺の林。母が死に場に選んだだけあって人気がない。ある意味好機だ。

 探索でこの世界にパーティメンバーである九人はいない事は確認済み。

 この世界でやる事はない。そもそも、母が無理心中を迫ったので死亡扱いされるだろう。死人が生きていても意味はない。

 辺りが暗い事を確認し、宝物庫から、転生魔法用のロザリオを取り出す。

 記憶を取り戻してから数時間しか経っていないので、魔力の充填はされていない。何時もなら充填をしてから起動しているが、転生魔法は今の魔力量でも起動出来る。

 充填はいざ魔法を使う時に魔力不足による不発を防ぐ為であって、必ずしも必要と言う訳ではない。

「因果の果て、旅路の終焉を求めて、我は往かん」

 ロザリオを両手で持ち、魔法を発動させた。

 いつもと違って、大量の魔力が急激に減った事でやって来る疲労から、片膝を着いた。

 荒く息を吐くが少し経つと体が軽くなった。

 ――次の世界に旅立つ。

 こんな短時間で別の世界に旅立つ事は余りない。皆無ではないが、レアケースだろう。

 手足の感覚が消え、意識が途切れた。



 オルネラとして転生して得たものが有った。

 男の情報は何より、もっと大事なものを得た。

 次に記憶を取り戻したら、クリスの言う通りにしてみるのも良いかも知れない。

 今後の指針に、一つ新しい大切なものが加わった。




 Fin


ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

鬱+転換+謎が深まるのコンボで非常に難産でした。ギャグ系のノリの落差に頭を抱える日々です。

人によっては『こんな話を書くな』と言われるような内容を入れましたが、今後必要と判断して入れました。

書き上がるまでに、並行して書いている話しの一章が終わりましたので、こちらも上げます。長編っぽくなったお話しも上げます。

中々出て来ないパーティメンバーである九人の内、パストラ編でちょろっとでたペドロ以外の八人の内六人が遂に登場します。

出せなかった二名が登場する話も書いているので、ある程度書き上がったら上げます。

今後もお読みいただけるとありがたいです。

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