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家出、祖父との再会

 七年前。

 自分の名前は『オルネラ・ヴェッキオ』でこの当時は八歳。

 家はモンテーロ王国で宰相を務めるヴェッキオ公爵家。自分には嫡男となる六つ年上の兄と二つ年上の姉がいた。

 自分の髪と瞳の色は黒。兄と姉は母と同じ赤と青の色彩。父は金髪に青だった。自分の色は母方の祖父の色だったが『母に似ない』事を理由に冷遇を受けた。家の敷地の外にも出られなかった。

 ある日、その姉(当時十歳)が王子とのお茶の席に出席したくないと駄々をこねていた。父は王子以外に姉に相応しい男はいないと考え、何度も会わせようとしていた。しかし、会えば『相性が良さそう』と婚約までごり押しされる未来が見える。

 まだ遊んでいたい姉は王子に会いたくなくて、この時、妹である自分を身代わりに出席させた。

 自分は嫌がったが『姉命令だ』と使用人に取り押さえられ、姉に赤く腫れ上がるほど頬を叩かれ、無理矢理姉のドレスを着せられた。顔はベール付きの帽子で隠す事に。父にバレたら絶対切れる事が分かっていて、着せ替え人形遊びレベルで、この姉は自分に無理やりドレスを着せた。

 で、王城に着き、王子と二人っきりになり『姉が行きたくないからと身代わりで送り出された』と即座に謝罪した。

 顔が赤く腫れ上がったままなので王子は信じてくれたが、様子見でやって来た父が『何故ここにいる』とブチ切れた。一緒に来た国王の目の前だと言う事も忘れて、自分を殴った。当時ロクに鍛えていなかったから回避出来ず、もろに喰らった。

 国王と王子はまともな人間だった。即座に父を叱り飛ばし、自分は医務室に連れて行かれた。

 手当後、家にまで送ってくれたが、今度は母が『姉の振りをするとは卑しい女ね』としつこく罵って来た。姉に言われてと言っても聞く耳持たない。

 行きよりも更に顔が腫れた状態で帰って来たので、使用人と姉も流石に不味いと判断したのだろう。揃って擁護してくれたが『卑しい女を庇うとは良い子ね』と姉と使用人を誉め、自分には手を上げた。

 髪と瞳の色が違うだけで、何故ここまで冷遇されなければならないのか。

 耐えきれずに泣いて、自室に駆け込んだ。自室と言っても、ベッドと机しかない手狭な部屋だけど。

 日はまだ高い。大事な荷物は宝物庫に入れてある。姉に奪われるとか壊されるとかそう言った事はなかったが、念の為だ。

 ドレスを脱ぎ捨て、簡素なワンピースに着替えて、窓から外に出た。

 この日、自分は家出をした。

 行く当てはないが、この家に居たくなかった。母は他国出身なので、母の実家を頼る事は出来ない。

 通りすがりの人達が、自分の顔を見てギョッとしているが気にならない。

 この時、自分は後悔していたからだ。何故あんなに頑張っていたのかと。

 両親は兄や姉が何かを成すと『良く出来た流石我が子だ』と褒めていた。

 既に記憶が戻っていた自分は『兄や姉のように上手く出来れば自分を受け入れてくれるかもしれない』と考え、只管勉強に苦心したが、何を成しても『出来て当然だ。褒める価値はない』と逆に暴力を振るわれた。

 事ある毎に姉は『髪と目が黒い奴はね褒める価値がないのよ』と自分を蔑み、嫌がらせをして来た。恐ろしい事に、自作自演で罪までなすり付けて来た。家庭教師の人が証人になってくれたが信じて貰えず、両親から暴力を振るわれ、家に悪評が立った。この悪評も自分のせいにされた。

 兄が自分に興味を持たなかったが、ある意味救いだった。やらかす奴が一人でも減るのは有難い。擁護もしてくれないけど。

 行く当てもなく、王都を彷徨い、気付けば王都と外を隔てる門の近くにまで来てしまった。

 門の傍にいる兵が自分に気付いてギョッとしている。

 ――このまま外に出てしまおうか。

 家に帰っても、冷遇の日々だ。

 通報と連れ戻し防止の為、夜まで時間を潰してから王都を出た。



 その後は、国内各地を一人彷徨った。

 人身売買組織に何度も狙われたが、返り討ちにして、どうにか振り切った。

 ――髪と瞳の色が違うだけで、何故こんな扱いを受けなければならないのか。

 放浪生活で心は荒み、何時しか、頭の中で家族への復讐を考えるようになった。

 もしかしたら、今度こそ、そう思って耐えたが、もう限界だった。

 そしてある日。国を出て隣国デストロ王国を彷徨い歩いていて、その男に出会った。

「私は、モンテーロ王国を潰し、手に入れたい。お前が私に手を貸すのならば、復讐の機会を作ってやってもいいぞ」

 そんな言葉と共に差し出された手を、自分は掴んだ。

 この日を境に色々と変わった。

 

 

 この時に出会った男はデストロ王国のグレゴリオ王子だった。立太子する前に身分の貴賎問わず『使えそうな人間』を探し出し、部下として集めて置く為に僅かな護衛と共に国内中を回っていたらしい。

 身の上を明かし、すっかり忘れていた、母方の祖父から貰ったペンダントを見せた。このペンダントには母の生国の国章が入っている。くれた祖父も『何かあったらこのペンダントを見せろ』と言っていたので、見せても問題はなかった。

 余談だが、このペンダントを見せた瞬間、グレゴリオ王子の顔は引き攣った。何故かVIP扱いまで受けた。

 デストロ王国とカヴァッリ王国は国交はほぼないが、この王子経由で母方の祖父に連絡が行った。頼んでいないんだけど。

 僅か数日で祖父がやって来た。デストロ国王以下、上層部が来国した祖父を見て凍り付いた。

 祖父と再会した時、既に実家の状況を確認済みだったらしく……激怒していた。

 王子に『孫の保護、感謝する』とお礼を言い、自分を抱き締め『もう大丈夫だと』頭を撫でてた。

 大丈夫とは何をするのか。非常に気になったが、聞いても意味はないだろう。

 母の生国カヴァッリ王国は大陸一位の軍事超大国で、祖父は王家の相談役を務める現国王の叔父。ヴェッキオ家が宰相の地位に付けたのも、この国の王の従妹である母が嫁いだから。

 祖父の怒りようから、実家が何かをやらかしたと判断し、念の為尋ねてみた。



 ・自分が家出をした時に宰相の地位から追い出された。自分が家に戻るまで地位は戻らない。

 ・王子と姉の婚約話しは完全に消えた。と言うよりも、一切の打診を受け付けない事になった。

 ・カヴァッリ王国は実家での自分の扱いを知り、完全にキレた。

 ・黒髪黒目の子供が生まれたらカヴァッリ王国に連絡し、王家で保護するようにと言われていた。

 ・両親の婚姻は政略だが『国同士で友好を結ぶ』意味も有ったので、カヴァッリ王国で国交断絶論争が起きている。

 


 王家が悪いと言うよりも、これは実家が悪いだろう。王家も強制的に保護しなかった理由を問われたら終わりだが。

 両親を差し出せば丸く収まりそうだけど、祖父の怒りようでは無理だろうね。父も『辛気臭い黒髪黒目は嫌だ』と暴言を吐いていたらしいし。実家は色んな意味で詰んだな。

 カヴァッリ王国ではロイヤルカラー扱いで、大陸でもこの色彩保持者は非常に少ない。更に、カヴァッリ王国建国時の言い伝えと王家の存在から神性視されている。



 カヴァッリ王国は建国時に『神を名乗る存在』と契約を結び、人の身では扱えない神の力――魔法が使えるようになった。

 この大陸で魔法が使えるのは各国の王家か、王家の血を引く人間のみで、カヴァッリ王国が魔法の始祖と言われている。なお、モンテーロ王家に魔法が使える人間はいない。

 ちなみに、母は王家の直系だが、魔法が使えず『能なし』と呼ばれていた。しかし、母のような存在は稀に生まれるらしく、差別される事なく王族として扱われた。祖母と一緒に何かをやらかした為に使えなくなったとも、聞いているが真相は闇の中である。

 そして、自分は隔世遺伝らしい。

 


 祖父は一緒に連れて来たカヴァッリ王国の外務大臣に他の事を対応を任せて――丸投げと言ってはいけない。国交が少ない国での外交だから外務大臣が前に出ただけだ――グレゴリオ王子と対談した。その間、自分は祖父が連れて来た侍女と一緒に別部屋待機だった。

 そして、この侍女の顔をよく見ると見覚えが有った。ヴェッキオ家において、たった一人自分付きだった侍女そっくりだった。確認してみると、本人だった。普段は変装してヴェッキオ家の侍女として活動し、何かあったら祖父に報告を行う密偵だったようだ。

 現在は自分の侍女兼護衛らしい。護衛となるのは、家での事が原因だろう。

 密偵の存在を知り、ヴェッキオ家は終わったな、と感じた。

 てか、母よ。差別されずに王族として扱われていたのに、自分への対応はどう言う意味だ? 嫁ぎ先の国を亡ぼす気か?

 傾国の美女(笑)になってからでは遅いぞ。

 侍女が入れてくれたお茶を飲み、少し精神的に余裕が出て来たのか、グレゴリオ王子と交わした言葉を思い出す。

『お前が私に手を貸すのならば、復讐の機会を作ってやってもいいぞ』

 復讐か。

 放浪生活をしていた際に何度も脳裏に浮かんだ単語。

 過去一度も、行った事がない。この旅の原因となった人物への復讐が最初で最後だと思っていた。

 何故、こんな事を考えるようになったのか。

 恐らくだが――度重なる転生で記憶が薄れているものの――近い過去の転生先で、満ちた時間を歩んだ事が原因だろう。

 己で築き上げたものの中で、手に入れた幸福が『もしかしたら』と言う淡い期待を抱かせたのかもしれない。

 幸福を得て気が緩んだのかは不明だ。

 過去の家族だった人達にに対して、自分はどういった対応をしたかを振り返る。

 ……放置か、法に則った処罰を望んだな。どう言う訳か、犯罪に手を染める馬鹿が多かったし。それでも、基本的には放置だった。

 今の家族はどうか? 受けた事をやり返ししたいのか、復讐したいのか? 『やり返し』と『復讐』は似ているようで違う。

 自分はどうしたいのだろう?



 祖父が戻って来て、そう言えばと気付く事が有った。

 自分はヴェッキオ家に戻らなくてはならないのだろうか?

 気になって祖父に尋ねると『帰る必要はない』と返された。帰らなくて良いと言う事は、まさかもう潰したのか?

「ローゼ及びヴェッキオ家と縁を切った」

 縁を切っただけでしたか。けれど、驚くのは早かった。続きの言葉を聞いて、間抜けな声を上げた。

「ローゼは最早、我が娘ではない。オルネラ。お前を娘として儂が引き取る」

「え?」

「不満か?」

「いえ、想像していなかったです」

「そうか」

 孫を娘として引き取るって、流石にそこまで想像は出来ん。

 祖父は驚いて固まった自分を見て『祖父が父になったら驚くか』と大して気にしなかった。オルネラはまだ八歳児だから当然なんだけどね。

 カヴァッリ王国に帰るぞ、と祖父は自分の頭を撫でる。帰ると言う言葉を聞き、グレゴリオ王子と交わした口約束はどうしようかと考え始めると『律儀だな』と、自分の表情で考えている事を読み取ったらしい本人が苦笑しながら説明がしてくれた。

 モンテーロ王国はかなり不味い状況に陥ったらしい。

 何せ、大国に喧嘩を売ったに等しい行動を取ったのだ。それも先王弟の娘を娶った、宰相と言う重役の人間が行ったと言う事も有り、カヴァッリ王国内では『宣戦布告』と取る人間が多い。

 で、いざカヴァッリ王国とモンテーロ王国の二国間で戦争に発展するのなら、デストロ王国と同盟を組んで、攻め落とす事になった。

 攻め落としが確定事項になっているのは、カヴァッリ王国の軍事力が有るからだろう。

 大陸一の大国と呼ばれるだけあって、カヴァッリ王国の国土はモンテーロ王国のおよそ三倍以上有り、軍事力に至っては技術力の差も含めると五倍近い差が出て来る。

 今回は小国が大国に喧嘩を売ったも同然なので、どこの国からも非難の声は出ないと推測される。逆だったら非難の声が上がりそうだけど。

 そんな滅びの兆しがある国との縁は不要と言わんばかりに、数多の国がモンテーロ王国との国交の見直しを始めたらしい。

 ここまで聞いて、グレゴリオ王子が『律儀』と言った理由が分かった。

 祖父との縁を繋いだ時点で『口約束は果たされた』と向こうは考えていたのだ。だから、それに気付かずにいた自分を見て『律儀』と言ったのだ。



 ……過去の教訓から、約束とは果たすものであり、身勝手な理由で一方的に破ってはいけないと、覚えている。自分は嘘も嫌悪する。可能な限り嘘は吐かないようにしている。その為か『嘘はついていないが、真実全ては話さない』と言う妙な癖がついた。

 これらから思うのは、やはり『過去に受けた行いを嫌悪するようになった』だろう。

 嘘を吐かれ、騙され、裏切られ、捨てられ……振り返ると『人の負の側面』を多く目の当たりにして来た。

 何故こうなってしまうのか、何度も考えたが答えは出なかった。いや、考えるよりも先に動かなければ、更に最悪な方向に進むから考えるのを止めたが正しいか。

 全てが終わって、後の祭りなのに、何故だと『もしも』について考えるようになったのは……後悔か。懺悔でないのは確かだろう。

 そして、この世界でも、自分は後悔する時が来るのだろうか?



 このあと、グレゴリオ王子から感謝と口約束達成の言葉を貰い受け祖父と共にカヴァッリ王国に向かった。

 王城での出迎えは、過剰反応では? と思う程の対応だったので思い出したくもない。

 この時、祖父の甥――自分からすると伯父か――にて、現カヴァッリ王国の国王と初めて会った。自分と同じ色彩を保有する男はどことなく祖父に似ている。王と共にいた再従兄弟の王子二人も自分と同じ色彩だ。王妃だけ茶髪に青い瞳をしていたので、嫁いで来たと思われる。

 最も、王妃からは良く思われていないのが一目で解った。

 嘲笑と言えばいいのか、明らかに見下しの視線を自分に送って来て……王と息子達に睨まれていた。祖父からの一睨みで引っ込める当たり、今後も何か起きそうだなと辺りを付ける。

 王達との挨拶が終わったあと、祖父に手を引かれて、今後の生活の場となる場所に移動となった。生活と言うか、暮らす場所は祖父が使用している、王宮敷地内に幾つか存在する離宮だ。王城内の貴賓室かと思っていたのでちょっと驚いたが、『先王弟の孫娘であり養女』の立場を思い出して納得した。今までの扱いで忘れがちだけど、自分、血筋的には王の姪なんだよね。

 そして、すっかり忘れていたが祖母はいない。自分が産まれる前に病死となっている。真実は確かめようがないので不明だ。

 今更どうでもよさげな事を思い出し、離宮の一室であるサンルームのソファーの祖父の隣に座らされ……今になって正面に王がいる事に気付いた。

 不覚と言うか、迂闊と言うか。展開が早いとどうも見落としがちになるな。

『覚えていられたらいつか直そう心のリスト』に加えつつ、祖父と王に向き直る。何を言われるのか、聞かれるのかと身構えてしまうの見逃して欲しい。見た目はまだ、八歳児だからね。

 離宮勤めの女官がお茶と茶菓子をテ―ブルにセットしてから退出する。

 お茶会を装って聞かれたくない話しをするのか。祖父に勧められたお茶を啜りながら内心身構え、お茶会に臨む。

 

 

 結論から言うと、身構えて正解だった。

 とんでもない話を聞かされて頭の整理が追い付かなくなりかけ、同時に疑問を抱く。内容的に元王族だった母も知っている筈なのに、自分に対するあの態度は何なのか? 覚えていない馬鹿なのか、頭から、スコーンと、抜け落ちているのか謎である。

 母はさておき、カヴァッリ王国初代王妃にして『先見の聖女』の予言の解釈理解が先だ。

 聖女曰く、次のように遺している。

『他国で生まれた我が血族の証を持つものの中に、異世界の記憶を持ったものが生まれるだろう。異端であるが故に正しく扱われず、心に昏き炎を抱く。闇に堕ちる時、大陸は炎で包まれるだろう』

 王家では、次のように解釈されている。

『異世界の記憶を持った子供が虐待を受けて育った結果、復讐に走る。復讐の果てに大陸中に戦火の火が広がる』

 戦火の火が広がるとあるが、これは予言が成就した七百年前と二百年前に大陸全土を巻き込んだ戦争が起きたからだ。

 七百年前の大戦終了時に聖女の予言について調査が始まり、五百年後に同じ経緯で大戦が起きた事から現在の解釈に落ち着いた。

 そして今、自分がこの予言に近い――と言うか、正にこの状況にある。

 説明を受けると、この解釈で妥当だと思う。

 だって自分は『王家の色』である黒髪黒目の転生者だ。母と同じ色彩を持たなかった事から冷遇を受け、放浪生活中何度か『復讐』の文字が脳裏にちらついた。そして、復讐の機会を求めて、グレゴリオ王子の手を取った。

 これが予言の該当者ではないって言えるか?

 この説明を受けて他に判った事も有る。黒髪黒目の子供が産まれたら、カヴァッリ王国に連絡とモンテーロ王家で保護と決まっていたのは『三度目の予言成就』を防ぐ為だった。しかし、父の虚偽報告が原因で予言成就の可能性が見えてしまった。

 祖父が自分の回収の為だけに動いたのは予言成就を防ぎ、カヴァッリ王家から他国に婚姻で行かせた人間が原因で『三度目の大戦』の火種を消す目的が有ったから。

 祖父と王から『異世界の記憶』の保持の有無について、直球で尋ねられた。正直に『有る』と答えた。やっぱりって顔をされたね。

「三度目の大戦を引き起こす訳には行かぬ。ここで静かに暮らしなさい。王妃はここに立ち入り禁止にするが、何かやらかしたら直ぐに言いなさい」

 そう言って、王は去った。後半部分に限るが、非常にありがたい御言葉だった。王妃は何か妙な動きが有りそうだったしね。

 祖父と幾つか言葉を交わし、自室となる部屋に案内された。ヴェッキオ家で与えられていた部屋の三倍以上に広い。

 その後、祖父と平穏な日々を過ごした。カヴァッリ王国についての勉強も受けた。

 王がきつく言ってくれたのだろう。懸念していた王妃の嫌がらせは……なかった。

 それと、忘れがちだったが再従兄弟の王子達とも交流を深めた。魔法は使えるが、魔力がかなり低い為日常生活程度にしか使えないらしい。平和的と思う反面、魔法戦闘が出来る自分は異端だなと思う。使っているところが見たいと言われなかったので良しとしよう。



 グレゴリオ王子だが、自分と別れたあとに立太子したそうだ。

 目出度く王太子になったと聞いたので、世話になった礼も兼ねて祖父相談の元、祝いの品を贈った。自分が今、国外に出ると何が起きるか分からないので、直接祝いの言葉も言えないのがちょっと残念である。

 代わりに、カヴァッリ王国からは外務大臣が挨拶に向かった。大国からの使者の相手は大変だろうが、接待の腕の見せどころだぞ。


中々鬱話なところ、ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

暗めの話しなのにある意味転換期なので、最後までお付き合いいただけるとありがたいです。


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