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移り変わり

こちらをじっと見つめる兄と姉。あわあわしてる間も無く、大きな影が二つやってきた。怖いものではなく、むしろ優しい影だ。


そっと俺を持ち上げて抱き抱えた。


「ふふっ、くーちゃんは難しい言葉を知ってるのね。かねがねっていうのは以前からって意味があるのよ。だからくーちゃんはれーくんのことを前から知っていたってことよ」

「ママ~」

「あら、れーちゃん、甘えん坊ね。よしよし」

「クオンは賢く育ちそうだな。レオはモノづくりが好きだから大工や機械技師に向いているな。レイナは美人になるぞ!」

「貴方、まだくーちゃんは1歳よ。それにれーくんとれーちゃんは6歳。この先のことはまだいいのよ」

「おかあさん」

「どうしたの?れーくん」

「ぼく、がっこうにいってみたい」

「いいわよ。ちょうど7歳から12歳までの学校が町にありますもの。ね、貴方もいいでしょ?」

「しかしだな…」

「そうしたら毎日会えるようになるわよ」

「引っ越そう。今すぐ引っ越そう。そうと決まれば、領主様に連絡しなくては!はっ、それより村長に…いやいや…」

「もう、貴方ったら…」


町か。ずっとここに住むものかと思っていたが、町も興味があるな。それにしておやじの兵士と言う仕事がどんなものか知らないけど、そんなにすぐ引っ越しできるのか?車とか見たことないんだけど。


そうこうしているうちに3ヶ月が過ぎ、引っ越しする準備が整った。町の名前はルグルタスといって、この国で四番目に大きな町で、領主は四大侯爵家の当主の一人だそうだ。それでおやじはその当主の近衛兵だ。


貴族だったの?と思ったが、貴族ではないらしい。ただ一般人よりも強いので待遇はいいそうだ。当主からは貴族にならないか?と言う話は出ているが、厳しい慣習と貴族制度に頭が追い付かないそうだ。


確かにうちのおやじはそこまで頭のいい感じがしなかった。どちらかといえば考えるのは母さんの方が向いている。


「よし、これで全部か?」

「私の方は十分よ。れーくんとれーちゃん、くーちゃんは?」

「ぼくはこれと、つくったものがあればいい」

「わ、わたしはあーたんさえいれば…」

「これー(へっへっへ、おらぁこのたばこさえあればなんでもいいぜ)」


おしゃぶり型たばこはいまもこのままだが、なんとなくわかる。これは成長とともに形を変えられるのだと。姉のあーたんは姉が大きくなるにつれ、大きくなっていった。兄の工具もそうだ。なにより種類が増えていっている。


母さんとおやじがなにを使えるかはまだわかっていないが、一人ひとつの能力があると思っていた方がいい。


荷物は馬車に詰め込んだ。あとは馬だが、肝心の馬が見当たらない。母さんはすでに乗り込んでおり、行く気満々だ。連れられて俺と兄と姉も乗り込んだが、どうやって進むのだろうか。


「パーパ(馬車だけ?)」

「お?クオンどした?」

「うまは?(動力は?)」

「おう、さすがはクオンだ。その点に気付いたか。安心せい」


え?なに、おやじが引いていくの?いや、まぁ、できそうだけどさ。


「紹介しよう。これが俺の召喚獣ベオルガだ」


おやじが何もない空間に拳を打ち付けると、空間がひび割れ、巨大な黒の塊が出てきた。それは馬車よりもおやじよりも大きく、なんなら家よりも大きかった。


「え?(はぁ!?)」

「まぁまぁ」

「うわぁ…おっきい…」

「くまさんだぁ!」

「はっはっは!どうだ、すごいだろ。なにより可愛かろう!」


おやじはベオルガをバシバシ叩くと、ベオルガは不機嫌そうに鳴いた。


「すまんすまん。見ろ、俺の家族だ」

「グマァ」

「そうだろう、そうだろう!はっはっは!」


機嫌がいいようで。で、どうやって運ぶの?引いてもらうの?


「危ないからしっかり掴まってるのよ」


え、どういう!?うわっまじか。その発想はなくぁwせdrftgyふじこlpった。


おやじは馬車を持ち上げ、ベオルガの上に乗せた。車輪はロープを通して固定するためのものだったのか。上に固定されると揺れることなく、それよりも視線の高さに驚くしかなかった。


「では行くぞ、ベオルガ。安全に頼むぞ」

「グマァ!」


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