閑話 ある屋敷の日常
最近忙しくてあんまり小説を書けていなかったので短めですが閑話を載せておきます。
ここはある王都に佇む一つの屋敷の中での出来事である。
質素ながらも美しさを醸し出している屋敷のリビングと繋がる外に造られた屋根だけの小屋に置かれた椅子に腰かけてお茶を飲んでいた青を基調にしたロングドレスを身にまとっていた少女は突然机で俯き「はぁー」とため息をついた。
「奥方様、どうされたのですか?」
傍で給仕をしながらもその様子を見ていたメイドの服を身にまとっていた少女がその様な様子の少女へと問いかけた。
「ユリアスがまだ帰ってこないから愛想つかれたのかなって思っちゃって‥‥‥」
そういうと再びため息をついた後にスカートであるにも関わらず両足を抱いて座り込んでしまった。
「旦那様は旅立たれるギリギリまで奥方様を愛されていたではありませんか。その愛を奥方様自身が信じないのなら一体誰が旦那様を信じるというのですか。」
その言葉を聞いた少女は何かに気づいたかのように頭を上げて姿勢を直し、居住まいを正した。
「そう‥‥‥そうよね。私がユリアスの事を信じなとダメよね。ありがとう、シース。大切なことを気づかせてくれて。」
「いえ、ハンニバル家のメイドとして当然のことしただけです。」
「それでもお礼を言わせて。じゃないと私の気がすまないから。」
「畏まりました。では、お気持ちだけ受け取ります。」
そうして話が終わった頃合いに少女の差し出したカップにシースと呼ばれたメイドが手に持っていたティーポットから紅茶を注いだ。
語るのが遅れたがため息をついていたのはユリアスの妻、クレア・ハンニバルでメイドの方がシースタリアである。
そう今語っているのはユリアスがいなくなった後のハンニバル邸の様子である。
そうして二人が話しをしていると玄関の方向から一人のメイドが息も絶え絶えといった様子で走って来た。
「どうしたのですか、シーナ?何かありましたか?」
シースタリアが走って来たメイドへと聞くと息を整えた後にその質問に答えた。
「まず一つ目が王家の方々からの使者の方の話ですが王家の方々が旦那様の遺産を国に献上せよとの事です。」
その話を聞いて二人は各々がため息をついた。そしてクレアよりも先に落ち着いたシースタリアが答えた。
「そのことを伝えてきたものに旦那様の遺産は旦那様がご自身で集められたものである為お渡しできないと返しておきなさい。」
その言葉を聞いたシーナは頭を一度下げてて了解の意思を示した後に再び口を動かしていた。
「そして次なのですがまだ再婚相手を決めていないなら第二王子はどうかと‥‥‥」
「それは絶対ありません!‥‥‥‥そう伝えておいてください。」
二つ目の話を聞いたクレアが大きな声を上げて断ったのを見て二人のメイドは少し微笑んだ後、「畏まりました。その様に返事しておきます。」とだけ伝えてシーナはまた玄関の方へと走っていった。
残ったシースはクレアへと「あいも変わらず奥方様も旦那様一筋なのですね。」という一言をかけると
クレアは顔を赤くしてもじもじと仕草をしながらも答えた。
「しょうがないじゃない‥‥‥彼に心が奪われたようなものだもの。」
それだけ言うと完全に真っ赤になった顔を隠すかのように俯いてしまった。
その様子を見たシースは(奥方様も可愛らしいですね。)と思ったがそれを口にしないようにするのでていいっぱいでこの後の作業は多少ぎこちなかったらしい。