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大賢者の転生人生譚  作者: 柊 裕
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第7話 街へと

話すだけでも面倒な二人から逃げたが、家にいてはまた二人に会ってしまっては面倒になりそうな為、さっさと出ていくことにする。

下の階へと降りようとして途中まで降りた階段をそのまま下って行って一階の廊下の左端へとたどり着いた。念のため後ろを振り返ってみたが無色魔法の《身体強化》を使ったからかバカ兄弟がおってくる気配は感じれない。絶対にないとは思うが追いつかれる可能性が無きにしもあらずなのでその様な事になる前に外へと出ようと玄関へ向かって廊下を走っていく。廊下を荷物を持って歩くメイドや執事達の傍を走りながら進むと大広間へと就いた。綺麗な装飾品が壁際に飾られており遠くから見ても中々の品である事が分かる。なぜそんなに装飾品が飾られているのかというとここが玄関から客人が入ってすぐに目に入る部屋だからだ。だが別に我からしたら特に凄いなと思えるような品はない為、さっさと屋敷から出る事にする。後ろから何人かのメイド達がこちらに来ているようだが気にせず淵に精巧な装飾の施されたダークオークの両開き扉を開けて屋敷を出るとそこには綺麗に整えられた花壇や生垣が一面に広がっていた。緑や茶色の草木の中に様々な色や形の花が咲き誇ており、美しさと自然の温かい色彩を感じられる庭園に少しの間、見惚れていた。

(いかん、いかん。時間がないというのに立ち止まってしもうた。‥‥‥‥じゃが、後でゆっくり見て回ることにしようかのう。)

この庭園は後で見て回ることにして庭園から出るためにまた進み始めた。


――――――――――――――――――――


アウレクスが庭園を出てから数十秒後、数人のメイドが息を切らせて庭園へと入って来た。

その手には櫛や子供用の直剣、動きやすいように装飾が入っていない服などを持っていた。

「はぁ‥‥はぁ‥‥‥。アウレクス様ぁ~!どちらに居られますかぁ~!」

一人のメイドがアウレクスの名前を読み上げるが、ここにいないので当然返事は返ってこない。

「本当にアウレクス様はこの方向に行かれたのですか?」

「はい。確かにこの方向に歩いて行かれたと思います。」

「ですが現にいないではありませんか!」

「もう少し探していないなら館内を探すことにしましょう。それでも見つからないならもう街へ出られたのでしょう。」

「それでしたら私が門番にアウレクス様が通られたか聞きに行きます。」

こうして数分間メイドが全力でアウレクスを探し回るのだがその事をアウレクスが知る事は無い。


――――――――――――――――――――


屋敷の門番に軽い挨拶をして街へと出ていたアウレクスだが大戦での被害により痛々しい見た目だった昔よりも発展し、活気的になった街を見てほっとしていた。

(どうやら我がいなくても十分復興は出来ていたみたいじゃのう。)

そんな街中を歩こうと向かおうとした時に自身の服が屋敷内で来ていた貴族服だったことに気が付いた。これでは変に気を使わせてしまうと思ったアウレクスは近くの裏路地へと歩みを進めた。

その後ろを怪しげな男たちが付けて来ている事に気づいていない振りをしながら。

(どうやら我を何も知らない貴族の子供だと思っておるらしいな。大体、我を捕らえて他で高値で売るつもりなのだろうが‥‥‥)

相手の目的を考えつつ、近くの丁度良い太さの木の棒を手に取り硬度強化の魔法をかけて待っていると三人のフード付きローブを羽織った男たちが歩いてきた。

「ちっ、貴族のガキがいっちょ前に待ち構えやがって‥‥‥まぁ、俺たちに気づいたことは褒めてやる。だがてめぇは俺たちの金になるんだ。余り抵抗するんじゃねぇぞ。傷物は言い値で売れねえからな!あっはっはっはっは!」

そう言って三人は笑い始めたが別にこの程度の輩は相手にすらしないのだが、如何せん生まれ変わったばかりでまだこの体での戦い方が分からない今の状況での彼らはいい練習相手なのだ。《魂魄倉庫》から鉄の短剣を取り出して腰のズボンとベルトの間に差し込んだ。

そうして木の棒を雑に構えて相手が動くのを待つ。

「はっ、ガキにしてはやけに肝が据わってるじゃねぇか。だがなぁ!ガキが大の大人に勝てる訳ねえだろがぁ!」

三人がそれぞれ直剣、斧、弓という得物を構える中、良く喋る一番前の男が背中から取り出した斧を振りかぶってこちらに向かってきた。我はその動きに合わせながら《身体強化》で強化された力を込めて鳩尾に突きを食らわせる。男は「がはっ」と口から血を垂らしながら膝を付いた。その様子を見て残りの二人は動きを止めたが、その隙を見逃すつもりはなくその内の一人の弓を持っている方へと走っていった。

それを見て急いでつがえていた矢を放ったが軌道が雑の一言で片付くようなものだったので軽く振り上げた木の棒で払いその男の右肩へと振り下ろした。余りの痛さに膝を付き、右肩を押さえる男の頭に木の棒を振り下ろした。

目の前で二人仲間がやられた最後の男は、手に持った直剣を振り下ろしてきたがそれを木の棒で軌道を逸らし無防備な横腹へ木の棒を薙ぎ払った。

「ふぅ‥‥何とか戦えるものじゃのう‥‥‥っ!」

戦いが終わりそう呟いたが後ろからの僅かな殺気に気づき咄嗟に木の棒で防ごうとするが斧の攻撃にはさすがの強化された木の棒でもダメ見たいらしく防いだ所から真っ二つに斬られていた。

「クソガキが!手こずらせやがって!」

そう言って男は斧を振り下ろしてきたが攻撃の一つ一つが大振りな為、特に難なくその一撃を避けた。男が自分の攻撃で地面に突き刺さった斧を抜こうと隙を晒しているのを狙い、男の一人が使っていた直剣を取り男の脇腹に突き刺した。

「ごふぁっ」

男は口と傷口から血を流しながら前へと倒れてそのまま息を引き取った。

本当に戦闘が終わり自分の手と服を見た後、一言呟いた。

「取り合えずは、着替える事にするかのう。」

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