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大賢者の転生人生譚  作者: 柊 裕
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第5話 聖剣と魔剣

女性は黒のストレートに伸びたセミロングヘア―なのだが所々に本紫色の髪の毛が混じっている。そして身に着けている鎧は胸元や腕甲、脚甲などの最低限の部位にしかないのだが鎧と下に着ている服が染まっている黒の中に所々ある髪の毛にあるのと同じ色の本紫や真紅の魔力線が凛々しさと禍々しさを醸し出している。腰にはさきほど取り出したグラムが鞘に入った状態で差してありそれがこの女性がグラムの精霊体であることを表している。

「久しぶりじゃのう。最後にあった時から全く変わっておらぬのう。」

「久しぶりね、ユリアス。そういうあなたは随分見た目が変わったじゃない。」

「それはのう、新しい肉体に生まれ変わっておるのだから見た目が変わっておるのは当然であろう。」

「まぁ別にそれはいいのだけど今回呼んだのはどういった要件なのかしら?」

急に話を変えて質問をしてきたが長い間共に戦ってきたユリアスはこれがグラムという魔剣の話し方だという事を知っている為特に気にする事もなく質問に答える。

「いやのう、魂魄倉庫に入れていなかったはずのお主たちがどうして入っているのか疑問に思って聞いてみようと思ったまでじゃ。」

早速質問の答えを返そうとグラムが話そうとすると『お待ちください!』という声が脳内に響いてきた。その声を聴き声の主が誰なのかを察したアウレクスはもう一度魂魄倉庫を開いて中から一振りの剣を取り出す。その剣はグラムとは対照的に銀を始めとした白を基調とした色合いに金色の鍔の中心にひし形の形をした白銀色の光宝石がはめられており全体的には柄や刀身は長めでグラムが直剣だとすればこの剣は長剣と呼ばれるものである。

『主様、早く私も顕現させてください。』

またもや頭の中に声が響く。間違いなく目の前の剣が発している言葉だ。

「はぁ…しょうがないのう。」

そういいつ精霊魔法でも高位であるはずの精霊顕現魔法である『精霊の顕現』を無演唱で発動する辺りはさすが大賢者と呼ばれるだけはあるらしく新しい人生が始まってまだ一日も立っていないのにこれほどの実力を持っているのは他の人が見れば恐ろしく感じる事だろう。

魔法が発動し剣から出てきたのは青みかかった銀髪のロングへアーに宿っていた剣と同じような感じで白を基調に水色と黄色で装飾された服の上に銀を基調として所々に金で装飾されている鎧を着ており如何にも戦う女騎士といった印象を持たせる服装をしていた。鎧はグラムよりも身に着けてはいるがそれでも普通の騎士よりは着込んではいなかった。

「久しいのう、シュワユーズ。待っておればいずれ出そうと思っておったのだがな。」

「だってお二人で何やら楽しそうにお話しているのを聞いたら我慢できなかったんですもの。」

彼女は戦王と呼ばれる聖剣なのだが時々こうして子供の様になることがあるので我の認識では娘の様に思っておるのだが、如何せん何百年以上も生きているので流石にそろそろこの一面も見れなくなるのかと思っておったが杞憂だった様だ。このまま久々の世間話に花を咲かせたいのだがメイドや家族の誰かがいつ来るかも分からないため早めに重要な話は終わらせることにした。

「まぁ我は話が聞ければそれでよいからのう、話を進ませてもらうぞ。」

「さてまずは先程も聞いたように何故お主たちが我のもとにいるのかだが…シュワユーズ、説明してもらおうかのう?」

「畏まりました。まず私やグラムその他の聖剣具、魔剣具とは全員との契約はされていると思いますが、契約とは本来私たちの霊核と契約者の魂をとつなぎ合わせて精霊の力をより大きくするものなのですが、一度契約すると契約者が死ぬまでは解けないんです。」

「それは分かるが何故契約が解けておらぬのじゃ?転生したら解けそうなものじゃが?」

転生すると新たな体を探して一度現世を離れるため契約が解除されるものかと思ったのだが…

「いいえ、今回の場合は違います。」

予想は外れたようじゃ。

「確かに契約者が死んだ際には契約が解かれますし、主様は一回現世から離れはしましたしたがそれは別に死んだわけではなく死んだ際に行われる魂の記憶などの削除が行われていないため未だに契約が続いている訳です。」

うむ、どうやら今回の我の場合は特別だったようじゃ。確かにユリアスの時の記憶をそのまま持ちこしている時点で常識の枠組みから外れている為まあそんな所かのうと思っていると今まで静かにしていたグラムが後ろから声をかけてきた。

「ユリアスはこれからどうするのですか?また私たちを振るってくれますか?」

どうやら剣としては早く戦いで振るってほしい様でリズムよく体を揺らしながら聞いてきた。

「そうじゃのう‥‥‥‥まぁこの時代が平和かどうかによるが振るう機会はあるとは思うぞ。」

頭の中で数秒ほど考えを巡らせた後にそう返答すると「そうですか!その時が来るのが楽しみですね!」と見た目からは想像できないような様子で鎧をリズム良く鳴らしながら部屋を飛び回って喜んでいた。

その様子を見ていたシュワユーズが「全く子供じゃありませんのに‥‥もう少し魔剣としての威厳を持ってほしいですね。」と半ば呆れたように呟いていたがシュワユーズも偶にこんな感じになるではないかと思うがそんなことは言わずに黙っておく。

久しぶりに顔を合わせた愛剣たちの元気なありのままの姿に改めて現世に戻って来たと感じているとこちらへと歩いてくるかすかな足音が耳に入った。足音からしてメイドが何らかの知らせを伝えに来たのかと辺りを付けておきつつ二人に声をかける。

「すまぬがメイドがこの部屋に向かってきておるから魂魄倉庫に戻ってもらえぬか?」

「しょうがないわね。また読んで下さいね。」

「畏まりました、主様。」

二人とも特に駄々など捏ねずに快く了承してくれたのでさっさとしまうとその直ぐ後に部屋の扉にがノックされた。

『アウレクス様、先ほどから部屋から話声が聞こえるのですが誰かいらっしゃるのでしょうか?』

成程、防音対策とかしてなかったからか話声が漏れていたようじゃ。次二人を呼ぶときにはそれらの対策をしておかないとなどと考えつつも当たり障りのない答えを返しておく。

「気のせいではないかのう。我の部屋には誰もいないぞ。」

『そうでしたか……もし何かありましたらお呼びください。では失礼いたします。』

そう言ってメイドは扉の前から立ち去って行った。

『危なかったですね。見られると色々面倒なことになる所でしたね。』

『別に見つかってしまってもいいじゃないの?』

魂魄倉庫の中にいるシュワユーズが見つからなかったことに安堵している声が頭の中に響いてきているとグラムが疑問に思うような感じでそんなことを言い始めた。

「確かにそれでもいいが今はゆっくりと過ごしたいのじゃ。せっかく子供に戻ったのじゃからのう。」

『なるほどね、そういう事なら何も言わないわ。だけど偶には私たちを使ってよね。』

「うむ、確かにこの体での戦闘も慣れぬとのう。それは気を付けることにしよう。

剣を振るうのはうんどうにもなる為特に異論もなく快く了承した。

「これからもよろしくのう…二人とも。」

『えぇ、よろしくね。』

『今後とも共に。』

さて明日から暇を見て特訓じゃな!

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