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大賢者の転生人生譚  作者: 柊 裕
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第12話 新しき昔の知識

 その二つを本当に買うのかと再度確認を取られたが、我の意思が変わらないのを理解すると品物を取りに店の奥に入っていった。

 サイラスが品物を持ってくるまで引き続き店の中を見ていると同じく店の中を見て回っていたリリーが傍まで来て声をかけてきた

「先ほどの話から察するにあの二つの鉱石で合金が出来るのですか?その様な話なんて聞いた事無いのですが‥‥」

考え込むようなポーズでそう言ってきたリリーに我は考え込む素振りを見せずに直ぐ返事を返した。

「そうじゃ。だがあの二つだけでは出来ぬ。後二つ程必要なものがあるからのう。もう少し探してはみるがのう。この店の品揃えを見るに残りの二つの内一つはあると思うのじゃ。」

探し物は続けづつそう答えを返すと少し考えるかの様な少しの時間の後に何かに気付いたのか質問を返してきた。

「一つはあると言っていましたが、もう一つはここにはないのですが?」

「そのもう一つの材料は鉱石じゃないからのう。鉱石を売る店にはおいておらんだろう?」

それを聞いて「確かに‥‥」と小声で呟いて少し考え込んだっきり声をかけてこないから聞きたい事が無いのかと探し物に戻ろうとしたら、リリーに再び声をかけられた。

「それなら何が必要なんですか鉱石ではないのなら私が知らないのかもしれないですが‥‥」

やはり鍛冶師としては新しい金属は気になるらしく、それを作る為にはどの様な素材を使うのかも気になったらしく申し訳なさそうに聞いてきた。

「師匠が教えてくれた秘伝の方法で無理ならいいですが、出来れば教えてほしいです。」

どうやらこの様なまだ知られていない知識などは師が認めた弟子にしか教えない物らしい。その様な事情があるからかリリーも出来れば知りたいという形で聞いてきている様だ。

だが我の今日の目的であった剣や他の武具を使用した戦闘の練習の方も忘れてはいないのだがまだ正午から1,2時間程過ぎただけでまだ時間は問題ない。それに何故だかは分からないが30年以上の月日で無くなった知識があるのならそれを知っている者である以上はそれを再び教える必要があると結論付けた。

「別に良いぞ。知識は才がある者達に教えて広めていった方が良いからのう。」

リリーの方を向いてからそう告げると今日何度見たか分からない笑顔で「ありがとうございます。」と言って何度か礼をした後にいつの間にか何処からか取り出した手帳におそらく今日初めて知ったことを書き記し始めた。

「では鈍石と柔鉄の他に何を使うのですか?これらと一緒で何か予想もしていない様な素材を使うのでしょうか?」

そういうがアルガイト鉱と話から考えるに柔鉄と呼ばれているらしいネルクト鉱は確かに変わった鉱石ではあるのだが特に特別な素材という訳ではないのだが、彼女からしたらそもそもこれらの鉱石の性質的に武具の素材に使う事がない為、これらを使用する際に必要な他の素材も検討が付かないらしく直ぐに聞いてきた。

「後は少しの錬鉄とジャイアントトラップスパイダーの粘糸じゃのう。」

残りの合金に必要な素材を上げるとそれを聞いていたリリーは錬鉄の時は頷いていたが、粘糸の時は何故それを入れるのかという疑問が顔に浮かんでいる様に思えた。

「錬鉄はまだわかりますが粘糸なんてどうやって使うんですか?」

「粘糸は乾かして粉末状にして入れると金属同士の結合が強まるのじゃ。錬鉄で硬性も高めるからのう、頑丈な合金が出来るという事じゃよ。」

「なるほど‥‥粘糸を金属に加えるという発想はなかったです。」

「それもそうじゃ。錬鉄だけじゃ上手く合金にならなかったからと色々考えて加えたのだからのう。」

昔に安価で簡単にできる強度の高い金属を作ろうと試行錯誤をしていた時に、価格も今ほどではないが安く条件に会っていたアルガイト鉱とネルクト鉱という硬さと柔らかさという対となる鉱石だがこの二つを組み合わせればと思い試し始めたが中々鉱石同士の結合が上手くいかず、金属同士を繋ぐような効果を持つ錬鉄を合わせても思ったような強度にはならなかった。

そこで思いついたのが鉱石以外で結合を強くする事だ。

そこで様々な素材を落とす魔物が多く生息しているダンジョンという構造物内を探索し、様々な素材を集めて検証を重ねた

だが、接着剤の様な役割を持つスライムの粘液は熱したら粘性が下がるし、他の粘性の高い素材は高価で安価で揃う物を使用するという目的に合わないので断念した。

そうして悩んでいた時に見かけたのがダンジョンの通路や部屋の隅や天井に張り巡らされていたジャイアントハントスパイダーの巣だった。

試しに触れてみると一度くっ付いたら相当の力が無いと離れにくく粘性は十分だという事が分かった。

次にどうして金属に入れるかだが溶けた金属の中に乾かして粉末状にした糸を入れると糸の中の粘着物が金属同士を繋ぎ、強度が上がることが分かった。

それに罠としても使う糸だからか糸自体の強度もあり、粘着物で出来ているからか熱しても粘性が無くなるという事は無く鍛冶にも使える事が分かった。

加工に多少の手間が必要だがその分安く。逆に売っていなさ過ぎて自分で手に入れなくてはいけない程の素材だった。そのお陰でもあるのか当初の予定道理の合金を生み出せたという事じゃ。

だがその様な事を言えば我の姿のせいで色々と勘繰られる恐れがある為、曖昧にではあるが話を伝えて信じてほしいとだけ伝えた。

「分かりました。こちらはほぼ無償で製法などを教えてもらいますしね。今度その合金で武器を作る際には私に任せてください!最高の作品をお作りします。」

熱のこもった様子で語る様子を見るとやはり綺麗な女性であるとはいっても鍛冶に情熱を持つ一人の鍛冶師であると改めて実感させられる。

そう思っていると「そうじゃのう……。その時は頼むとしようかのう。」と自然と頼む様な言葉が出てきているのだから、我も物好きだと思いながらもリリーと会話を交わしつつもまだ見つかっていない錬鉄を探していった。


次話の投稿はもう少し時間が掛かりそうです。

それでも粗削りな作品しか書けないですが、

少しずつでも腕を上げて行こうと思います。

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